俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

安心

2013-05-14 10:01:32 | Weblog
 1万円札を5,000円で売っていたら誰でも買うだろうが、そんな馬鹿なことをする人はいない。ところが4,500円を1万円で買っている愚かな人がいる。宝くじだ。宝くじの配当率はたった45%で世界一配当率が悪いギャンブルだ。なぜこんな詐欺紛いの事業が成り立っているのだろうか。愚民政策の賜物だろう。
 平均的知的レベルが決して低くない日本人だが、こと確率に関しては野蛮人のレベルでしかない。「リスクは0でなければ安心できない」と主張する人を狂人とも阿呆とも非難しない不可解な社会だ。こんな人はリスクのあるものをリスク0と思い込んで勝手に安心しているだけであり、リスク0という盲信をブチ壊しておかなければまともな議論にはならない。リスク0などあり得ない。世界一頑丈な建物であろうとも隕石の直撃を受けたら一溜りもない。
 リスク0という幻想を持つ人に限って騙される。「絶対に儲かる」と言われて馬鹿な投資をする。もし絶対儲かる投資があるならそれを独り占めにして他人には知らせないと思うのだがそんなことにさえ気付かない。
 社会は不確実だから常に確率あるいは期待値に基づいて一番マシな選択肢を選ぶ必要がある。「確率」は○×式から最も懸け離れた概念だ。○も×も存在せず、△だけの世界だ。△をどう評価するかは、極論すれば自己責任だ。国やマスコミに安全かどうかの判断を丸投げしてその言いなりになって安心している人には不安だろうが、元々不確実なものを人の言いなりになって安心していただけのことだ。小学生じゃあるまいし、道路の横断が安全かどうかぐらいのことは自分で判断すべきだ。

歴史認識

2013-05-14 09:33:15 | Weblog
 歴史は戦勝者が決めるものであり、敗者はでっち上げられた歴史を受け入れざるを得ない。このことは中国史を学べばよく分かる。
 中国の王朝興亡史は呆れるほどワンパターンだ。「徳」を失った残虐な皇帝が悪政の限りを尽くして、虐げられた農民の苦しみに呼応して立ち上がった救国の士が新しい王朝を築く。つまり実際には天候不順による飢饉であろうとも、最後の皇帝の極悪非道が原因だったと捏造して下克上を正当化する。これが易姓革命だ。
 個人の喧嘩でさえどちらにも言い分があるように、戦争にも双方にそれなりの事情がある。敗者の言い分を抹殺して勝者の理屈だけを一方的に正しいと後付けするのが世界の戦後史だ。だから戦勝国の屁理屈は承認されねばならない。そうしなければ戦後秩序が崩壊するからだ。
 昨日(13日)の橋下市長の歴史解釈をほぼ全面的に支持する。流石に元弁護士らしく事実と虚構を正確に分別している。但し1つだけ不満がある。インドネシアでオランダ人を強制的に慰安婦にしたことが無視されている。多分、橋下市長はこの恥ずかしい歴史を知らないのだろう。これを穏便に解決したオランダと、ありもしない強制連行をいつまでも騒ぎ続ける韓国との違いは一体何なのだろうか?
 政治家であり公人である橋下氏が言いたくても言えなかったために歯切れが悪かった部分を私はこう修正する。「イエローモンキーの分際で生意気にも白人様の猿真似をして侵略や植民地支配をしたことについて我々日本人は痛切に反省せねばならない。」これが敗戦国だから公言を許されない歴史認識だろう。