俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

超能力漫画

2013-12-07 10:37:04 | Weblog
 ハリー・ポッターの影響かどうかは知らないが、近頃の漫画は妙に魔法や超能力を扱った作品が多い。魔法や超能力に頼ることはたとえ少年漫画であろうとも余りにも子供騙しであり、現実的な解決を放棄した逃避願望だと思う。それを安易な手法と考えるか夢を与えるロマンと考えるかは当然意見が分かれる所だろうが、下手な宗教的訓話における「神による救済」と同様に低レベルな物語だと思う。困ったら魔法や超能力で解決する、これでは超能力者以外は解決しなくても良いということになる。全くの「他力本願」だ。現実的な解決を放棄した責任回避だ。困った状況に陥ればとっておきの魔法で解決するという安易な物語設定にも呆れる。本来、知恵と努力で切り抜けるべきことを魔法や超能力で一件落着、これではまるで水戸黄門の印籠だ。
 確かに昔から子供は超人的なものに憧れていた。「鉄腕アトム」や「仮面ライダー」などが代表例だ。しかしこれらのヒーローには裏の問題提起があった。鉄腕アトムの場合はロボットの人権であり、差別や動物愛護などについて根底から問い掛ける重いテーマだった。仮面ライダーにも人造人間としての苦悩が描かれていた。原作者の石森章太郎氏の1960年代の作品には「ミュータント・サブ」という超能力者の漫画があり、タイトルから想像できるとおり例外者(怪物)としての孤独が大きなテーマだった。
 現代の魔法や超能力の漫画にはこんな重いテーマは無い。特別な能力を持ったヒーローが一般人とは懸け離れた活躍をするだけだ。魔法使いと超能力者以外を衆愚として蔑むエリート主義だ。たとえ漫画であろうともオカルト頼りになることは、通常の能力の蔑視であり主体性の喪失とさえ思える。

風評加害

2013-12-07 10:06:10 | Weblog
 安全神話があるように危険神話もある。特定の物を危険と騒ぎ立てることによって儲けようとする人がいるからだ。農薬や食品添加物の危険性を煽る人の中には少なからず無農薬野菜や無添加食品を高値で売ろうとする人が混じっている。ダイオキシンが危険と馬鹿騒ぎをした時には背後に高熱焼却炉のメーカーがいたのではないだろうか。原発事故の際、東北や関東の食品は総て汚染されているかのように騒ぐ西日本の事業者もいた。風評被害が広がる時には「風評利益」を得ようとする風評加害者がいる。
 健康関連において風評加害が特に目立つ。誰でも健康でありたいと願っている。その欲求に付け込むのが風評加害者だ。紫外線や生活習慣病などの恐怖を煽り立てて化粧品や健康食品を売り付けようと彼らは企む。紫外線の有益性を無視して有害性だけを騒ぎ立てるからくる病に罹る児童まで現れる始末だ。彼らには大義名分がある。「危険なものを危険と告知して何が悪い!これは啓蒙活動だ」と彼らは言い逃れをしようとする。しかし被害者がいるのだから彼らは加害者だ。
 私は薬を危険物と考えている。薬とは人体に異常な反応を起こさせる劇物であり、上手く働けば有効だが悪く働けば有害だ。たとえ上手く働いても副作用を伴うことが少なくない。日本人が薬の使用を半分に減らしたら今よりずっと健康になれることは確実だ。しかし残念ながら味方が殆んどいない。医師も厚生労働省もマスコミも、金を湯水のようにバラ撒く薬品メーカーに丸め込まれている。薬の使用に反対するのは怪しげな民間療法を唱えるグループか新興宗教のような風評利益を目論む連中ばかりだ。こんな連中は味方になるよりも敵に回って欲しい。
 風評被害が生まれる時、必ず風評加害者がいる。彼らは正義の味方の仮面を被って危険を煽り立てるが、実は自らの利益のための行動に過ぎない。私は風評ではなく事実として薬の危険性を訴えたい。