俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

手話

2013-12-20 09:38:13 | Weblog
 テレビなどで手話を見る機会が増えた。私は手話は全く分からないがその情報伝達力に驚く。もしかしたら言葉以上に伝達力が優れているのではないだろうか。
 話し言葉は口と耳を使う。手話は体と目を使う。昔から「百聞は一見にしかず」と言うように、人間が視覚から得られる情報量は聴覚よりも圧倒的に多い。視覚を使ったコミュニケーションのほうが聴覚を使ったものよりも優れていても全く不思議でない。
 会話する時、人は言葉だけで判断する訳ではない。仕種も含めた全体が判断材料になる。ボディラングィジという言葉があるように動作を通じて伝わる情報量は多い。だからこそ電話やメールではなく実際に会って話をすることが奨励されている。「目は口ほどに物を言う」という諺は誤りだ。正しくは「目は耳以上に話を聞く」だろう。
 いっそのこと言葉を放棄して手話によるコミュニケーションに変えたらどうだろうか。言葉より先に万国共通語が生まれるのではないだろうか。その時、重要なのは表意動作だろう。髯であれば顔をなでて種類を伝える。「男」を意味する動作として昔の「ジェスチャー」のようにネクタイを締める動作をするかどうかは知らない。
 表意文字を表音文字より劣っていると信じる人ならこんな表意動作を先祖返りと馬鹿にするかも知れない。しかし実はアルファベットにも沢山表意文字が使われている。$、&、%、?、!などだ。昔、初めて「I♡NY」の表記を見た時、私はそれを読めなかった。英語に表意文字的な表記があるとは当時は思っていなかったからだ。この言葉が流行したのはアメリカ人も表意文字の素晴らしさに気付いているからだろう。こう考えれば言語も表音文字も不便な伝達手段とさえ思える。全身と視覚を使う手話は言葉以上の可能性を持っているのではないだろうか。

贋患者

2013-12-20 08:57:31 | Weblog
 来年4月からの診療報酬はほぼ据え置かれる方向で最終調整に入っているようだ。このことが医療を更に歪めるかも知れない。
 医療は非課税だ。これは患者が消費税を負担しないという意味であって医療機関は消費税を負担させられている。医療側としては収入は非課税で支出は課税というとんでもない状況だ。消費税を全く転嫁できないので消費増税により最も深刻な影響を受ける。
 私は医療を税率0にすべきだと考えている。税率0であれば収入は増えないが支出に含まれる消費税が還付される。こんな見直しなどをせずに診療報酬が据え置かれたら、必要な医療ではなく儲かる医療が蔓延ることになるだろう。
 儲かる医療とは何か、病気ではない人に対する不必要な医療類似行為だ。具体的には風邪と生活習慣病だ。
 欧米の医師は風邪薬を処方しないそうだ。日本の医師は解熱剤を処方する。何度も書いていることだがこれは風邪を悪化させる。体温を下げれば熱に弱いウィルスが活性化され、その一方で免疫力は低下してダブルパンチになる。
 生活習慣病患者は殆んどが治療する必要の無い人だ。しかも薬には内臓機能を高める効果は無く単に検査数値を下げる効果しか持たない。高コレステロール治療薬に至ってはコレステロールを変質させて検査数値を誤魔化す役割しか果たしていないそうだ。もしかしたら生活習慣病が進行して病気になる人よりも薬の副作用で病気になる人のほうが多いのではないだろうか。
 医療費を増大させているのはこんな贋医療だ。こんな無駄な医療をやめれば医療費は劇的に削減されて国家財政も大きく改善されるだろう。
 逆に言えばこれは「美味しい患者」であり医療機関にとってはドル箱だ。診療報酬が抑えられれば医師がこんな贋患者を食い物にして稼がざるを得なくなる。こんな贋患者に対する3分間診療で稼ぐ構造になってしまえば、時間が掛かる本当の患者など相手にする暇が無くなってしまう。老人医療が無料だった時代に病院が元気な老人によって占拠されたように、今後は今以上に贋患者によって占拠されてしまうだろう。