俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

合唱

2013-12-11 09:23:12 | Weblog
 日本人は決して音楽が嫌いな訳ではないのになぜかハーモニーに対する理解が乏しい。西洋人は合唱をしようとするが日本人は斉唱をしようとする。これは音楽教育に問題があるのかも知れない。私が受けた教育は明らかに独唱と斉唱に偏っていた。一番楽しい筈の合唱の教育が不充分だった。
 合唱をすれば音楽の楽しみが大きく広がる。言わば1+1=3になる。斉唱をしても1+1=1.5にしかならない。一人では和音を楽しめない。二人以上がいて初めて得られる楽しみだ。
 今では見掛けないが昔は見栄えのしないオジさんたちの男声合唱団がいた。デュークエイセスとダークダックスは特に人気があった。彼らは高音のテノールから低音のバスまでそれぞれが異なった声質のメンバーで構成され重層的なハーモニーが特長だった。彼らの歌声は濃厚で豊潤なスープのように味わい深く、それと比べれば現代日本のアイドルグループの歌は金太郎飴のように薄っぺらい。
 これは均一性を好む国民性が災いしているのかも知れない。議論して最も実りが多いのは違った意見の人との議論だ。知らなかった背景や思い掛けない視点からの意見を知れば思考が深まる。敢えてヘーゲルの術語を借りれば「正」が「反」を理解して「合」へと止揚する。フランス人は99%同意していても更に残りの1%について議論したがるらしい。日本人なら異なる1%を無視して同調してしまう。
 人は姿形も考えもそれぞれが違うからこそ楽しい。育った環境も境遇もそれぞれが違うのだから異なった意見を持って当たり前だ。違いを認め合うのが真の民主主義であって多数決ほど非民主的な手法は無い。

ワシの党

2013-12-11 08:49:32 | Weblog
 みんなの党が分裂した。良いことだと思う。この党はみんなの党ではなく渡辺代表の「ワシの党」だったからだ。理念は良いのだが余りにも渡辺代表の独断専行が目立った。4割つまり殆んど半数近くの議員が離党という異常事態になったのは党内議論さえ碌に行われない独裁体制だったからだろう。昨年の衆院選で自民党が圧勝したのも維新との選挙協力を渡辺代表が突然反故にしたことによる共倒れが招いたものであり、第三極惨敗のA級戦犯だと考えて良かろう。
 今から思えば氏は自民党にとっての殊勲者であり野党潰しの功労者だった。自民党渡辺派が野党の仮面を被っていたようにも思える。反自民ということ以外に何の共通項も持たず綱領さえ無い民主党のような烏合の衆は政党とさえ言えないだけに、江田グループが第三極の核となることを期待したい。
 しかし離党した14人中13人が比例区ということには矛盾を感じる。有権者は個人ではなく政党に投票したのであり離党をすれば議席を失うのが筋だろう。但し繰り上げ当選にも問題がある。これは東国原議員だけの問題ではないが、議員を続ける気の無い客寄せパンダを候補者名簿に掲げることによって個人票を得て比例区の得票数を増やせるからだ。パンダが辞任しても個人票は政党票として有効なので落選者が繰り上げられる。
 これらの矛盾を解消するために2010年3月23日付けの「ヴァーチャル議員」制度を再提案したい。比例区で得た議席には議員を割り当てず議席数と位置付ける。10議席を得た政党には採決で10票を与えるという仕組みだ。こうすれば議員数を大幅に削減できる。
 死に票が少ないという意味で比例区は重要だ。選挙区以上に民意が反映される。但しその民意は抽象的なものであり議員という形で具象化する必要は全く無い。議席数さえ与えれば充分だ。抽象的な票は抽象的なままで良い。変に具象化して議員を割り当てるから矛盾が生じる。