俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

固有名詞

2016-08-19 09:43:50 | Weblog
 オリンピックで国名はアルファベット3文字で表記されることが多い。もし2文字で表記しようとすればアルファベットの26文字の組み合わせで表記できるのは26×26=676種類となりかなり厳しいが3文字であれば26×26×26=17,576種類となるから似た表記の誤解による混乱は容易に避けられる。
 日本はJPNだ。これをJAPと表記すれば日本人に対する蔑称である「ジャップ」と読まれてしまうからそれを避けるために選ばれた表記だろう。大半の国はUSAやCANやRUSやFRAなど容易に推測可能な表記になっている。
 しかし元々ややこしい国名もある。オーストリアはAUTでオーストラリアはAUSだ。インドはINDだがインドネシアはIDNだ。ポーランドはPOLでポルトガルはPRTだ。これらは当事国とIOCが協議した上で決めた略称だろう。
 日本人には分かりにくい表記もある。GERがGermanyであることなら比較的容易に推定できるがNEDがNederlandとは気付きにくい。もっと難解なのはGBRだ。これを予備知識無しでGreat Britainと理解できる人など殆んどいないだろう。
 ESPを初めて見た時はとんでもない想像をして驚いた。エスパーつまり超能力者と思ったからだ。実はEspañaのことだった。
 女子マラソンでKIMのゼッケンを付けた選手が3人並んでいた時には流石に考え込んでしまった。外見上は東アジア系のように見えたがアジアのどの国も該当しそうに思えない。ヤケクソで思い付いたのが「金王国」を意味するKIMだ。国家元首の世襲が3代続いていることを踏まえて「金の国」または「金正恩の国」という意味かと思ったがそんな名称を北朝鮮(日本ではいつからか抵抗無く使われるようになったが正式名称はあくまで「朝鮮民主主義人民共和国」)が承認するとは思えない。途方に暮れていたらアナウンサーが「北朝鮮のキム・ヘソンとキム・ヘギョン」と呼んだので一挙に謎が解けた。KIMは国名の略称ではなく選手の姓だった。3人のキムの内2人は双子のランナーでもう一人は赤の他人のキム・クモク選手だった。偶然が重なったために勝手な想像をしてしまった。
 南北朝鮮において金という姓は2割強を占めるそうだが、もし同姓不婚が今尚守られていれば、金さんが結婚できる相手は随分少なくなってしまう。日本のように姓が滅多矢鱈多いのも困るが少ないことによる弊害も小さくなかろう。