信用金庫のショーウィンドーにて。このかたはお内裏様なんでしょうか。だとするとお雛様はどうされたんでしょうか。おひとりでさびしくないだろうか。どこで生まれて、どうして今、ここにおひとりでおられるのだろうか。名前はなんていうんだろう。今にも語り始めそうなそのユーモラスな口元を、わたしはじっと見つめてしまった。
スウェーデンの地方都市、雪原の大木の枝から裸の死体が吊るされた事件を追う、シングルマザーの刑事モリーンが追う。調べを進めるにつれて被害者の近親者の周辺で凄惨なレイプ事件、児童虐待が起こっていた事が判明。異教徒の儀式? 家族の愛憎、暴力の連鎖、復讐? ときおり物語のなかに挿入される被害者の魂の声がせつない。