>>>>>> ENTER AT YOUR OWN RISK !! <<<<<<

流れ流れてきた此処は、終の棲家にふさわしいのか?入ってみなきゃ分からない、それがリスク。

妊娠カレンダー

2014年08月30日 00時15分22秒 | 読書事
小川洋子さんです。

3篇の短編集です。

表題作の「妊娠カレンダー」は芥川賞受賞作らしい。

「博士の愛した数式」で初めて小川さんの小説を読んだのですが、ミステリ作家でもSF作家でもないことを知り、その他の作品は今まで読んでいませんでした。

読む本も無くなったので。

裏表紙の要約を見てもダークな作品なのはわかったが、ミステリ若しくはホラーだったら楽しめそうだと思った。

結果。

ホラー色の強い(ホラーと勘違いする読み手が出てもおかしくない)純文学(たぶん)でした。

そもそも純文学がどんなのかは分からないが。

わたし的な解釈・分類によると



センスオブワンダーがあり、その世界の中で紡がれてゆく物語を描いたものがSF
推理と探偵役が存在して、論理的な思考の末に謎を含んだ解明があるのがミステリ
現実にはない社会を設計し、様々な事件がストーリーを紡いで終息に向かう(ただし、その世界は考証されない)のがライトノベル
現実には起きえない世界で、現実に「それをやったらかなり恥ずかしい」恋愛模様を綴ったのが恋愛小説
多くても3~5パターンのアプローチ・展開・フィニッシュで書き分け最後は因果応報めいた結末で終わるのが官能小説
読んだことがないので分類不能が「私小説」



最初の妊娠カレンダーは、筋立ても明快で好みにも合った。

妹がグレープフルーツマーマレイドを作るのをAmazonの書評子は「悪意」「嫌悪」「おそれ」などと評されていますが、率直に、胎児という存在に大きく振り回される姉夫婦と自分、もしかしたらすべての世界がその子に怯えて結果として姉の近くに居る私が対決姿勢をとったとも思えた。

彼女には胎児との対決=マーマレイドの効果測定の感慨しかないんだと読んだ。

そこには、りきみも悪意も熱意もなく、あるのは「結果がどうなるのであろう」ということ。

生きて生まれるのか?

奇形ではないのか?

そのあとはどう成長するのか?しないのか?



どうととも取れる幕引きでした。



それに引き換え「ドミトリイ」「給食室と雨のプール」の2作は、ミステリ・ファンタジイよりでもなく、ただ単に「何だかわからない物語」でした。

こういうのが純文学って言うんでしょうか?

「ドミトリイ」の内容なら江戸川乱歩がミステリとして書きそうな題材。

「給食室と雨のプール」は筋肉少女帯の歌詞のように普通のことを曰く有り気に書いているんだが、何が言いたいのかわからない。



それは私の読書力が低いせいかもしれない。

ミステリを読んでいれば必ず「結果」が求められるし、SFなら物語の中で必ず「センスオブワンダー」な事柄が起きるので、何となくわかった気になれるのですから。

やっぱり、見捨てエリとSFが好き!