フリードリヒの日記

日常の出来事を、やさしい気持ちで書いていきたい

ナイナイの岡村隆史さん

2020年06月17日 07時00分00秒 | 日々の出来事・雑記

前に話したが、僕は新聞配達しながら大学に通った。配達の場所は東京のど真ん中の千代田区だった。

すごいところだったので、政治家の事務所や有名人のマンションが多かった。

だから、有名人のところにも配達したし、有名人にもよく会った。

たとえば、小沢一郎の事務所にも配達していから、夕刊を配る時、小沢一郎と一緒のエレベーターによく乗り合わさせた。

彼はいつもムッとしていた。話しかけるなよといった雰囲気で。

僕も、当時は若くてとんがっていたから、政治家とか芸能人がなんだよ、くらいに思っていた。

そういう態度は良くなかったな、と今では思っている。


そんなあるとき、僕の新潟の友人が、家族を連れて遊びに来た。

奥さんとまだ小さい2人の子供だ。

僕の住んでいたところは、ビルとビルの間にある信じられないくらいのボロアパートだった。

販売所が借りてくれてたので、文句は言えない。

いや、むしろ、気に入ってたくらいだ。

今はもうない。

そのボロアパートで、下の男の子がグズって泣いていた。

それで、僕が上の女の子を連れて、千代田区の東郷公園に行った。

歩いて一分くらいのところにある公園だ。

そしたら、公園のベンチで、おしろいを塗って真っ白な格好をした人が休んでいた。

僕は女の子と手をつないで鳩を見ていた。

「鳩だよー」みたいなことを言って。

すると、おしろいを塗った人が、お菓子を投げて鳩を呼び寄せてくれた。

最初はピエロだと思った。だけど、よく顔をみると、ナイナイの岡村隆史さんだった。

当時は、日テレが千代田区にあったので、多分、めちゃイケか何かのロケがあったのだろう。

「こんにちは、撮影ですか?」と僕は言った。

「はい」と岡村さんは恥ずかしそうに答えた。テレビでの印象と違ってすごくシャイな人だった。

女の子はたくさん寄ってきた鳩を、ワーワー言って喜んでいた。

岡村さんは、優しい顔をしてそれを見ていた。

時代は、バブルがはじけ、山一證券が倒産し、一気に不景気に突入していた。

僕たちは、先の見えない不安の時代を、手探りに進んでいた。

僕はその当時、死にものぐるいで頑張っていた。

目の前の岡村さんも、ピエロのような格好をして、死にものぐるいで頑張っていた。

僕は、そこに、何か連帯意識のようなものを感じた。

疲れて休んでいるのに、子供を喜ばせてあげようとする岡村さんを、いっぺんに好きになってしまった。

彼の体から、やさしさがあふれていた。

ああいうのって、実際あってみないと雰囲気が伝わらないと思う。

ちょっと前に、風俗に関する暴言があったみたいだけど、それでも僕は彼の人間性を疑うことはできない。

彼は、やさしいがゆえに、傷つけられ、こじらせてしまったのではないかと思っている。

コメント (2)
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