「百年の孤独って何回もチャレンジしてるけど、全然読めないんですよね」って、福岡出身の先輩に言ったことがある。
「そうだよね、高いから。あんまり売っていないし」と彼は言った。
「はー、そうですか」
僕は、あの本そんなに高かったっけ、と思いながら聞いていた。
「今度、飲める店探しておくよ。でもあんまりアルコールは飲めないんだったよね」と彼は言った。
アホの僕も、さすがにここで気づいた。
「あれ、本の話してるんですけど。ガルシア・マルケスの百年の孤独」
「ああそうなの。俺は焼酎の話ね。宮崎の焼酎」
調べたら、宮崎の黒木本店という酒造メーカーに「百年の孤独」という麦焼酎があるそうだ。
僕が言っているのは、一応、現代の世界文学の最高傑作と言われている「百年の孤独」です。
ノーベル文学賞をとったガルシア・マルケスのマジック・リアリズムという手法で書かれた小説。
でも、20ページくらい読むと、もう読む気がしなくなってくる。
それで、一回も最後まで読んだことがない。
登場人物が多すぎてわけわからなくなる。それに、イマイチ面白さが分からない。
同じく傑作といわれている「カラマーゾフの兄弟」は何回も読んでるけど、百年の孤独はダメだ。
ほんとに読めない。
でも、もう一回だけチャレンジしてみようかな。昔よりちょっとは成長してるかも知れないし。
読んだ人の感想を聞くと、読む前と読んだ後で人生がガラッと変わってしまうそうだ。
ちょっと冒頭だけ紹介してみますね。
長い歳月が流れて銃殺隊の前に立つはめになったとき、恐らくアウレリャノ・ブエンディア大佐は、父親のお供をして、初めて氷というものを見た、あの遠い日の午後を思い出したに違いない。
変わった冒頭ですよね。ここで分析はしませんが、この一文だけでも、ちょっと複雑な構造をしています。
こんな感じのややこしさが、ずーっと続きます。
でも、あんまり気にしないで読んでいったらいいのかも知れない。
ちなみに、「百年の孤独」という焼酎の名前は、この小説に由来しているそうです。
なんでも、黒木本店の黒木敏之さんが、ガルシア・マルケスに直接頼んで名前をもらったそうだ。
それはそれで、すごいですよね。