宮本武蔵の独行道に、「我、事において後悔せず」という言葉がある。
最近、小林秀雄のエッセイに凝っていて、彼の「私の人生観」にそのことが書いてあった。
非常に難しい解釈です。
「後悔などというお目出度い手段で、自分をごまかさない決心をしろ。今日まで自分が生きてきたことについて、その掛け替えのない命の持続感を持て」といいます。
たぶん、後悔ではなく、今この一瞬の行為を真剣に生きていけ、ということなんだと思います。
なるほど。達人の言葉ですね。この考え方、すごーく好きです。
武士のように、命のかかった状況に生きていると、こういう考え方になるのかも知れません。
でも、人に説明はできませんよね。
だから、僕は、もっと単純に考えます。
後悔は、自分の失敗を後で悔いることです。反省は、自分の行為を評価し、悪いところは改めることです。
つまり、後悔は、過去を変えようとすることで、反省は、未来を変えようとすることです。
過去は変えられないから、後悔しても意味はない。だから、後悔しない。
でも、未来は変えられるので、反省はする。
僕たちにできることは、過去の失敗を客観的に振り返り、そこから教訓を得て、未来に活かすということなんだと思います。
失敗は、未来を良くするための材料に使うのです。
といいながら、失敗だらけの人生を正当化して、どんどん失敗していきましょう。
僕みたいな凡人は、小林秀雄や宮本武蔵にはなれませんから。