フリードリヒの日記

日常の出来事を、やさしい気持ちで書いていきたい

奥秩父縦走 2012 1月4日

2012年01月14日 01時09分32秒 | 登山

 
 高原ヒュッテ~乾徳山登山口~徳和(バス停)~山梨市駅~自宅

高原ヒュッテ  7:30
乾徳山登山口 8:40
徳和       9:30
バス       10:40
山梨市駅    11:10
自宅       15:00位


 
この日は、もう帰るだけである。しかし、次の日は仕事だから、怪我のないように気を引き締めて帰ろうと思う。

 高原ヒュッテも最初は気持ちが悪かったが、一晩過ごすと自分の家みたいな気分になる。慣れはこわい。


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杉檜の樹林帯になると、里が近くなってきたなぁという感じがする。少しだけほっとする。

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乾徳山登山口。



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ここから黒金山まで6時間かかるらしい。



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途中、広い駐車場がある。マイカーで来て乾徳山に登るなら、ここまで来るのが一番いい。




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バスの出発する時間まで、まだかなりある。そこで、その辺をブラブラすることにした。とりあえず、吉祥寺という寺があるから行ってみる。



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 甲州の七福神めぐりのひとつらしい。毘沙門天。
 カラフルな幕が、チベット仏教のお寺のようだ。そういえば、この寺は真言宗だから、密教と関係が深い。



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 上に行くと、煮豆やこんにゃく、漬物があった。すすめられたので、遠慮なくいただく。どれも手作りですごくうまかった。
 



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 寺のおばあちゃん。ごちそうさまでした。
 もう一人、おじいさんがいて、この辺の山で起こった遭難のことについていろいろ伺った。
 遭難があると、その付近に住んでいる人たちに迷惑がかかるということがよく分かった。だいたい昭和50~60年くらいが一番多かったとのことだ。最近は登山客が少なくなって、そういう騒動もなくなったらしい。多分、遭難が多かったのは、団塊の世代が元気のいい頃だったのだろう。


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 バスの時間がもうすぐ来る。その辺の小川で頭を洗って、ヘアーを整える。ヒゲもじゃで男っぽくなっている。私は毎日ちゃんとヒゲを剃るので、ここまで伸ばしたのは、人生で2,3回目くらいではないだろうか。ワイルド、野性的。悪く言えば飢えた野獣。
 
写真はここで終わり。ほっとして、駅とかその辺の写真を撮るのを忘れていた。
 無事に家につく。まぁ着いていなければブログを書けないから、当然といえば当然。


 縦走登山の記録は、一応、これで終わる。反省点について考えてみる。
 食べ物について、もう少し軽くなるように工夫したほうが良かったと思う。餅をやめてカップラーメン(カップはなくて中身だけのが100円で売っている)の量を増やせばよかった。また、米三合を持っていったが、浸す時間があり、炊くのが面倒だった。アルファ米にすべきだった。
 荷物が重いと体力の消耗が想像以上に激しい。できるだけ軽いほうがいい。
 良かった点は、寒さ対策をきっちりやったことである。テントの下からくる寒さをいかに遮断するかが重要になる。それから、ダウンジャケットは必須。厳冬期用のいい寝袋がないので、夏用の薄い寝袋を持っていって二重にした。荷物は多くなったが(必ずしも重くない)、そのおかげで快適なテント生活ができたと思う。
 それから、荷物とパッキングについてである。つまり、自分の荷物を完璧に記憶すること。そして、荷物をテント内にどう配置するかを予め決めておく(いくつかの袋にまとめその中に入れて置く)。それから、ザックに入れる順序を決めておく。
 こうすることで、起きてから出発するまでの時間が、かなり短縮できた。もたもたしていると、2時間くらいあっという間に過ぎてしまう。荷物のすべてを把握して、順序通りパッキングすることで、弱気になりがちな朝の時間帯を、うまくやりすごくことができたと思う。寝る前に、朝起きた時にどのように行動するか予めシュミレーションしておく。それは、完璧に自分の荷物を記憶し把握しておくからできることである。
 このように、朝早く起きて余裕を持って行動することが、事故防止にもなる。

 いろんな意味で、いい勉強になった。まぁ、楽しい
縦走登山だったと言ってもいいだろう。

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キリング・フロアー  リー・チャイルド

2012年01月10日 21時58分38秒 | 読書・書籍

 昨日、図書館で何気なく手にとって読んでみた本。読み始めたら止まらなくなってしまった。上下巻あるのだが、あっという間に読み終わってしまった。ここ最近読んだ中で一番面白かった。
 ただ、暴力的な場面が多いハードボイルド小説なので、そういうものが苦手な人は止めた方がいいかもしれない。

 いわゆる純文学と言われる小説とエンターテイメント小説の違いについて考えてみる。
 優れた純文学は、それを読むことによって読む人の今までの価値観を根底から覆す。つまり、それを読むことによって安定していた自我が揺るがされ、現状のままでいいのだろうかと考えさせられることになる。
 それに対し、エンターテイメント小説は自分の価値観を脅かされることはなく、ハラハラどきどきしながら、ストーリーを楽しむことができる。
 だけど、思うのだけど、この違いは相対的なものであって、純文学だからどうとか、エンターテイメント小説だからどうとか、の区別はどんどん無くなっていっているのではないかと思う。
 ただ、面白い小説があり、つまらない小説があるだけだ。時間がもったいないから、どんなに価値があったとしても、つまらないものは読みたくない。

 私は、何故ハードボイルド小説に惹かれるのだろうか。
 主人公はたいていマッチョである。だいたいの主人公は一般的な人より頭がよく強い。だが、個人で行動するがゆえに危険に晒される。やはり、個人より組織のほうが強いのだ。だから、いつも、組織に叩きのめされ、常に危機的な状況にさらされる。
 だが、まさしくそのこと、つまり、その危機的状況に立たされることが重要なのである。そのとき、主人公がどう振る舞うかが、問題になり試されているのである。
 
 
暴力は、単に恐怖を作り出す状況設定に過ぎない。恐怖の中で折れるか折れないかは、その行動するに至った動機による。自分の愛する人が危険に晒された時なのか、自分のしている時計を奪われようとしている時なのかで、全く違ってくるだろう。
 私は、闇雲に前に進むのではなく些細な問題の時は退くのもひとつの方法だと思っている。しかし、ここぞというときに、どんなに困難に陥っても、それでも前に進んでいく男が好きだ。その男は、自分の命より大切なものがあるに違いない。
 ハードボイルド小説はそういう振る舞い方を教えてくれる。
 こういう物語を繰り返し読んでいるアメリカ人は、問題があるにも関わらず、強いなぁと思う。

 ハードボイルドが好きな人にはお薦めする。
 

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奥秩父縦走 2012 1月3日

2012年01月10日 16時11分00秒 | 登山


 大弛小屋~北奥千丈岳~奥千丈岳~シラベ平~ゴトメキ~大ダオ~黒金山~笠盛山~乾徳山~高原ヒュッテ

 出発(大弛峠) 5:30
 北奥仙丈ヶ岳  6:50
 奥仙丈ヶ岳   7:50
 シラベ平     8:40
 ゴトメキ     9:20
 大ダオ     10:30
 黒金山     12:00
 笠盛山     13:00
 乾徳山     14:00
 高原ヒュッテ  15:00

 この日も早く起きた。まだ暗いうちに出発した。遭難はほとんどの場合、焦りから生じる。だから、精神的に優位に立つには早く出発して時間的に余裕を持たせることが重要である。
 ただ問題がある。それはこの時期、朝6時半を過ぎなければ明るくならないことである。早く出すぎれば暗い道を歩かなければならない。暗い道は危険である。なかなか難しい。
 だから、北奥仙丈ヶ岳に着く頃、夜が明けるように、時間を調整して出発した。
 
 今まで西へ西へ目指していたのだが、90℃方向転換して南のほうへ向かう。
 まずは石楠花(シャクナゲ)新道を行く。



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 前国師岳。寒い。が、晴れそうである。



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 ここから、南へ向かう。どういう道か分からないので、少し緊張する。雪が積もって歩きづらい。

 

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 なんの景色か忘れた。



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 これは南アルプス方面だと思う。



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 北奥仙丈ヶ岳。2601m。奥秩父の最高点。
 大弛峠までは、林道を通って車で来れる。大弛峠からおおよそ一時間で北奥千丈岳まで来れる。体力に自信がない人でも、マイカーを持っていれば、比較的簡単に登ってこれる。
 景色は最高。体力はないが高いところから景色が見たい人にはお薦め。



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 道迷いを心配していたが、赤いテープの道標がしっかりあって、非常に助かった。
 この辺は、石楠花(シャクナゲ)が多い。石楠花新道と言うのもよくわかる。しかし、低木の石楠花が登山道を塞いでいるので、歩きづらくて頭にくる。ザックに引っかかってひっくり返りそうになる。それが想像以上にストレスになる。多分、春夏はもっと酷いに違いない。要注意。



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 奥仙丈ヶ岳。2409m。景色もない。面白くもない。
 注意しなければならないのは、ここを境に大きく西側に道が折れるので、迷わないように。
 私は道がないのに強引にまっすぐ進んでしまった。途中で、何かおかしいと思い、引き返し、何とか助かった。赤いテープがないときは、必ず引き返すこと。~だろうと自分の都合のいいように推測するのは危険。




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 多少、テントが張れそうな場所がある。力尽きた時、ビバーグも可能である。
 石楠花新道は、心配していたが、まぁまぁ歩きやすい。大丈夫、迷うことはない。ただ、奥仙丈ヶ岳の方向転換に注意すること。

 この辺は獣のあしあとが多い。熊っぽいような気がする。写真をとっておけばよかった。




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 シラベ平。2154m。林道が通っている。ここは、もちろんテントが張れる。





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 昭文社の山と高原地図 「金峰山甲武信」によれば、ここから黒金山までの登山道は破線になっている。破線は難路という意味である。しかし、私の感想では難路というほど厳しい道ではない。それより、黒金山から乾徳山までの道のほうが迷いやすい。
 破線上は鹿が多い。だから、良い猟場となる。危険で一般人には近寄ってもらいたくないということで、破線にしたのではないか。違うか。
 まぁ、昭文社にはなんの利害もないから関係ないだろうけどね。

 

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 ゴトメキ分岐点。



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 この辺くらいから倒木が非常に多くなる。倒木の理由は幾つかあると思う。そのひとつに、鹿の食害があげられる。冬になると食べる草がなくなる。そこで木の皮を食べるのだ。木は皮を食べられると枯れてしまう。枯れて何年かすれば倒れる。そういう流れである。それを証拠に、倒木が多いところは鹿のフンだらけである。
 鹿は可愛らしい動物である。殺すのはかわいそうな気がする。しかし、森を守るために鹿を狩るのは仕方がないことだ。

 



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 大ダオ。景色が良い。そして、心地よい場所である。
 この時は知らなかったが、徳和のお寺で聞いた話し。ここで首をつって自殺をした人がいて、重くて下ろせず寝袋に入れて埋め、一年放置した後、里に下ろしたとのことだ。
 まぁ、最近こんな話を聞いても全くビビらなくなった。死体は死体である。その人と面識がなければ単なる物質である。人は死に土になる。別に変わったことではなく当たり前のことである。縄文時代からどれだけの人が死んだのか分からない。少し歩いたら、すぐそこは人が死んだ場所である。そんなこといちいち気にしていたら生活できない。
 むしろ、ほんとうに怖いのは、生きている人間である。ただ、私を傷つけるかもしれないその人も死ぬ。そして、私もいつか死ぬ。


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 綺麗な広場だが、鹿のフンだらけである。気にする人は注意。鹿は草ばっかり食っている。だから、そのフンもあまり汚くない、と思う。この間、テントを張る時、周りにたくさんあったので素手でつまんで放り投げた。20個くらい。もちろん、手は洗ったが、すぐその手で飯を食べた。山にいると神経が磨耗してくる。都会に戻ると、少し気持ちが悪い感じがする。
 山は人間を動物化する。


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 大ダワからの富士山。ここを下って徳和に行ける。山梨市駅行きのバスに間に合えば、今日中に家に帰れるかもしれない。ちょっと迷ったが、やっぱり、黒金山に行きたいので止める。ちょっとでも頭をかすめるのが私の弱さである。




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 大ダワから見る乾徳山。左から右に辿っていくと、尾根の先っぽが少しとんがっている(乳首みたいなの)のが見える。あれが乾徳山の岩場である。



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 黒金山までの登山道。シラビソかコメツガか分からないが、針葉樹の樹林帯の坂を登る。けっこうきつい。
 この辺は尾根道が広くどこを歩いたらいいのかわからなくなる。ただ、迷うことはない。



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 大ダオ分岐。ここまで来れば頂上まで、あと5分だ。





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 黒金山頂上。


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 黒金山山頂から見える景色。甲武信ヶ岳から北奥千丈岳、それから、今日歩いた石楠花新道、シラベ平、ゴトメキ、大ダオ、すべて見渡せる。正直言って、涙が出そうになるくらい感動した。自分が歩いてきた軌跡がよくわかるからである。自分のがんばりが誇らしく思える。
 一歩一歩少しずつ進めば、いつか知らないうちにすごいところまでやってこれる。
 奥秩父縦走について、瑞垣山を終点にするのも悪くないが、この黒金山経由で徳和に抜けていくコースの方がいいと思う。こっちのコースの方が感動が大きい。





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笠盛山頂上。

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 尾根沿いから見える乾徳山。富士山も見える。
 黒金山から乾徳山までの尾根は緩やかな下りである。一般論として、尾根沿いを下っていくときは要注意である。どうしても尾根から外れて、沢の方に降りていく危険があるからである。私も何回か道を外し沢のほうへ向かっていってしまった。おかしいと思いすぐ引き返したが。
 沢は水が岩を削って出来ているから切り立った崖になっていることが多い。だから、うっかり沢の方に降りてしまうと、崖に落ちてしまう危険がある。そして一回落ちてしまうと登れず、かつ降りられなくなってしまう。携帯電話がつながればいいが、繋がらなければ、多分、命が危なくなるだろう。

 

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 乾徳山山頂。乾徳山に登るだけの体力がなかった。だから、写真だけ撮って、下山道に降りる。


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 高原ヒュッテ方面に向かう。

 



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 このまま降りて、徳和におりることもできたが、高原ヒュッテで一泊することにした。ヒュッテの中でテントを張った。
 ストーブに薪をくべたら、かなり暖かくなった。快適である。ただ、すこし不気味だった。なんでだろう。外より廃墟の中のほうが気持ちが悪い。


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 10分くらい降りると、水場がある。じゃぶじゃぶ水が出ていた。久しぶりの水だ。その水で、ご飯を炊いて食べた。
 ほぼ、今回の登山は終了である。寂しい気もするが、早く帰りたい気もする。明日は10:30くらいのバスに乗って帰ろうと思う。

 ヒュッテにある鏡を見ると、ひげモジャの顔になっている。お腹は、仮面ライダーのように割れている。脂肪率は、多分一桁台になったと思われる。ただ、顔はむくんでパンパンだ。ぜんぜん痩せて見えない。丸くなっている。
 少し体臭がする。水が豊富にあるから、寒いのを我慢して体を拭く。人間社会に戻るには、それなりのエチケットが大事である。
 まぁ、早く寝よう。


 奥秩父縦走 2012 1月4日 へ続く
 

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奥秩父縦走 2012 1月2日

2012年01月10日 13時54分00秒 | 登山

 
 破風山避難小屋~サイノ河原~木賊山~甲武信岳~水師~富士見~国師岳~大弛峠

 
予定では元旦に破風山避難小屋に着くつもりだった。しかし、結果的に、一日遅れになってしまった。
 あと、3日間しかない。最終日は時間的に余裕をもたせないといけない。バスの時間に間に合わないと大変だからだ。そうすると、今日と明日は相当頑張らなければならない。
 今日は最低でも大弛峠まで行かなくてはならない。
 気合を入れて早起きをする。

 出発     5:40
 サイノ河原  6:45
 木賊山    7:45
 甲武信小屋 8:05
 甲武信岳   8:40
 水師      9:21 
 富士見    10:10
 両門の頭   10:40
 東梓      11:35
 国師岳    14:45
 大弛小屋   15:30

 朝、3時頃、避難小屋が吹っ飛ぶんじゃないかと思うくらいのすごい風が吹いていた。確か、北風ではなく南風だったような気がする。山谷風(放射冷却によって起こる風)か低気圧によって起こる風か定かではない。だが、凄まじい風だった。もしテントを張っていたら飛ばされていただろう。
 山の朝の風は要注意である。恐ろしくて寝ていられない。
 ただ、私の出かける時間にはすっかり止んでいた。外はまだ暗闇だった。ライトをつけて登り始める。



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 サイノ河原。日本庭園のようなところ。


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木賊山(とくさやま)。「とくさやま」とはなかなか読めない。2468m。甲武信岳よりすこし高い。だが、景色もなく地味。おかげでスルーされるかわいそうな山である。仕方がない。


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木賊山から見た甲武信岳。これから登る。けっこう登りがきつい。

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 今日は甲武信岳から国師岳につながるこの尾根を行く。割りと平坦な尾根である。しかし、尾根の最後のほうが、きつい登りになっている。多分、その辺が国師岳の登りなのだろう。そこはきつそうだ。覚悟しなければならない。

 


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 甲武信小屋。人の話し声がする。けっこう人気のある小屋。水も1リットル50円で売ってくれるという話だ。しかし、雪を溶かして水にすることに決めたので、スルーする。長い距離、水を持っていたら、必ずバテる。できるだけ軽く行く。




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甲武信岳山頂。2475m。立派な山頂標識。




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ここから先は行ったことのない未知の世界である。すこしワクワクする。どんな所なのだろうか。

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 この尾根を今日一日ずーっと歩き続けるつもり。
 左側の方に登って行っている尾根が国師岳へとつながる尾根である。そこから右側に重なるように連なっている山が金峰山である。国師岳と金峰山の間にあるダルミが、大弛峠である。
 今回は金峰山には行かない。




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 道はあまりよくない。
 


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 字が消えかかっているが、水師。ここで一人分のテントが張れる。もし、力尽きて甲武信小屋に辿りつけない人は、ここでビバーグすべし。



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 樹林帯の中にも、テント張れそうな場所がいくつかある。ただ、雪が積もって、かつ風が強いと倒木の恐れがある。テントに直撃することも考えられる。そのリスクも頭に入れておかなければならない。


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 富士見。ここもテント泊できる場所がある。水師よりここのほうがいいかもしれない。




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 北風が吹き始め天候がかなり荒れてきた。かなり寒い。大弛小屋はまだまだ先だ。すこし不安になる。




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両門の頭。下は切り立った崖である。落ちたら確実に死ぬ。風で吹き飛ばされそうなので、気をつけて渡る。気候のせいで展望はなし。




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正直言って、なんの写真だったか忘れる。多分、東梓だと思う。




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国師のタル付近か? 吹雪になってきて前がよく見えない。写真なんか撮っている余裕はない。
 この辺は精神的にきつかったなぁ。いつになったら国師岳に着くんだという感じ。
 それにしても、坂が辛かった。




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 やっと標識が出てくる。まだ国師岳にはつかないのか。




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 一時間くらいで、膝くらいまで雪が積もる。雪が降っているというより、横殴りの風で雪が舞っている感じだ。それでも、いつの間にか積もっている。




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 やっと国師岳に着く。2591m。ただ、景色はない。吹雪で前は見えない。周りは雪女が出てきそうなくらい幻想的である。だが、私はヘロヘロでそんなことを考える余裕すらない。かれこれ9時間くらい歩いている。疲れ、寒さ、不安、そういうネガティヴな感情が渦巻いている。だが、一歩一歩前に進むしかない。とにかく生きたかったら頑張る。それだけ。




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気持ちに余裕があったら、相当綺麗だったに違いない。しかし、完全にへたっている。景色どころではない。写真を撮る気力があったのが不思議なくらいである。
 だけど、下りだ。もう少しで大弛小屋につく。それだけを考えて前に進む。




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 雪が膝上に達してきた。歩きづらくなってきた。だけど、もう少し。

 15:30。暗くなる前に、大弛小屋に着く。誰もいない。だから、勝手にテントを張らせてもらう。
 水場は凍っていた。雪を溶かしてカップラーメンを食べた。とにかく今日は疲れた。

 物事は、事後的に起こったことを分析するのと、行為時に判断するのは全く違う。当然、事後的に判断する方が楽である。
 この日、肉体的にも精神的にも疲れきっていた。そして、明日どうすべきかの決断も迫られていた。というのも、ラジオの天気予報によれば、山岳部では雪が降ると言っていたからだ。
 明日の奥仙丈ヶ岳方面は、行ったことがなく、どういうところか全く想像できない。また、地図上では破線で迷いやすいコースである。そして、雪が積もれば道が不明瞭になる。倒木が多いという情報があるので、雪が積もれば、倒木の間を踏みぬいて大怪我をしかねない。このまま雪が降って積もれば、かなり危険な登山が予想される。
 そうすると、考えられる方法は3つある。1つは、来た道を戻ることである。つまり、甲武信岳に戻って徳ちゃん新道(西沢渓谷の方)を降りていくコースである。
 2つは、大弛峠につながっている林道を通って帰るコースである。
 3つは、予定通り、奥千丈岳方面から乾徳山に下っていくコースである。
 うーん、何のためにここまで来たのかと思う。楽をしたいならわざわざこんなところまで来ない。困難を乗り越えるために、自分を試すために、ここまで来たのだ。
 そこで、決断する。予定通り進もうと。どんなに地図を眺めても予定通りのコースが一番近道である。道を間違わなければ、このコースが必ず早い。だから、コンパスを慎重に使って迷わないようにすること。足元を気をつけ倒木の間を踏み抜かないようにすること。それらのことを頭に叩きこんで少しずつ前に進む。それで行こう。
 そう決断すると元気が出てきた。気持ちが闘う方に向いてきたからだ。
 
 結果的に、次の日は晴れていい天気になる。だから、全く問題はなかった。しかし、もし、天気が崩れていたら、また違った結果になったかもしれない。
 この2日は、槍ヶ岳や大菩薩嶺で遭難者が出たり、長野のスキー客が道に迷ったりした日である。
 あの吹雪はかなりすごかった。ホワイトアウトに近かったと思う。遭難するのもよくわかる。私も一歩間違えば危なかった。
 
 事後的に何も起こらなかったらOK、というだけではなく、行為時のあの不安と決断を忘れないようにしようと思っている。


 
奥秩父縦走 2012 1月3日 へ続く

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奥秩父縦走 2012 1月1日

2012年01月09日 11時00分00秒 | 登山

 
 雁峠小屋~雁坂峠~破風山~破風山避難小屋小屋

雁峠小屋出発    6:30
古礼山分岐      8:25
水晶山         9:15
雁坂峠         9:45
雁坂嶺        10:35
東破風山       11:40
西破風山       12:25
破風山非難小屋  13:20

 朝起きると、ずいぶん体調が良くなっている。テントをたたみ、荷物のパッキングを終え、荷物を担ぐとかなり軽くなっている。食べ物が減り始めているのだ。それから、水を持つのをやめて雪を溶かして飲むことにした。そのほうが荷物が軽くていい。そう決めてしまえば、水の心配をしなくてもよくなるから精神的にも楽になる。
 今日からは快調に進みそうな予感がする。

 


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  雁峠小屋前の広場。テントをいくつも張れそうだが、風が吹いたら寒そうだ。



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笠取山方面からの初日の出。寒いが、思わず見とれてしまう。



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 燕山付近からの景色。どれも素晴らしい。写真では(私の技術では)その半分も表現できない。



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 古礼山分岐。古礼山山頂には向かわず、北側の巻き道に向かう。



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 もう少しで、水晶山。


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 水晶山山頂。狭くて景観もない。



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 雁坂峠に向かう。

 

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 雁坂峠の尾根。綺麗な尾根道。



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 雁坂峠。
 そこで瑞牆山、金峰山からやってきた登山者と情報のやり取りをする。向こう側は雪が少なく、アイゼンは使わなかったとのことだ。私もここまでアイゼンは使っていないことを告げる。



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 富士山。


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 雁坂峠から雁坂嶺までの道は、倒木が多い。気をつけて歩く。転んだら串刺しになる。



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 東破風山までの、急坂。けっこうきつい。


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 東破風山山頂。



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 岩場の道をくぐり抜け、西破風山山頂。




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 これから向かう道。下の方の平場に、避難小屋がある。


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 破風山避難小屋。甲武信小屋まで行こうかここで泊まろうか迷ったが、たまにはテントじゃなくて広いところで寝たかったので、避難小屋に泊まることにする。
 ストーブと薪が準備してあるきれいで快適な避難小屋。早速、薪を燃やして温まる。
 一時間くらいすると、おじさんがやってくる。練馬からとのことだ。ここのストーブで火遊びをするのが楽しみで毎年やってくると言っていた。だから、薪をくべる役は、おじさんに任せる。
 うずらの卵の燻製、乾燥トマト、サラミ一本をもらう。タンパク質に飢えていたので、うれしい。





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 避難小屋でどんな人と一緒になるかは重要なことである。ちゃんとコニュニケーションがとれて、うまくやっていれば、少しくらい物音をたてられても腹が立たない。しかし、話しかけても返事すらしなかったり(たまにいる)、自慢話しかしなかったり、少しむかつく野郎だとちょっとの音でも腹がたって寝れなくなる。
 この辺は、日常の生活と同じ事なのかもしれない。まぁ、山に登る人は、私を含めて偏屈な人が多いから、そういういやなことに遭遇する率は高いかもしれない。
 今回一緒になった人は、フレンドリーですごくいい人だった。彼はかなり酒好きらしく遅くまで酒を飲んでいてガチャガチャ物音を立てていたけれど、全く気にならず、ぐっすり寝れた。薪をくべてもらって暖かかったのも、よく寝れた理由の一つだと思う。おかげで快適な夜を過ごせた。すごく感謝している。

 奥秩父縦走 2012 1月2日 へ続く

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浅草と吉原

2012年01月09日 10時14分19秒 | 日々の出来事・雑記

 昨日は、浅草で後輩と会った。浅草にくるのは何年ぶりだろうか。浅草は独特の雰囲気がある。
 おのぼりさんになった気分で、その辺をぶらぶらした。


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 朝日ビール本社の有名な変な像。簡単にいえば、うんこ像。



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 雷門。外人が多い。


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 新しい東京の観光地になりそうなスカイツリー。完成も近い。




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 花やしき。15年くらい前に入ったような気がする。




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 鷲神社。酉の市が有名。




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 吉原弁天の吉原観音。大正12年の関東大震災で、吉原の遊郭が延焼した際に、この近くにあった池に身を投げ溺死した遊女を祀ったところである。
 後輩とだいたい一年に一回くらいあうのだが、今回浅草で会うことにしたのは、後輩が浅草に行きたいと言ったからである。
 その理由は、ここの弁天と吉原神社に訪れることだったらしい。
 男どもがこの辺でぶらぶらしていると、いかにもソープランドを物色しているように見えるのだが、ソープランドには行っていないのであしからず。
 
 後輩は、かれこれ10年くらい関東大震災の資料を集めている。そして、関東大震災のノンフィクションのストーリーを執筆しようとしている。話を聞いていたら、すごく面白そうである。早く書いて欲しい。
 関東にもし地震が起こった場合、問題になるのは津波ではなく、火事である。住宅が密集しているため延焼がすごい。まさしく火の海である。それは、現代の東京でも同じことだと思う。
 吉原の遊郭は建物が密集していたため、その被害も凄まじかったとのことだ。

 遊郭とかソープランドとか、いわゆる売春についてはいろいろと考えさせられる。正直言って、そういうところには一回も行ったことはない。が、AVは観るから、間接的には女性をお金で買っていることになる。だから、まぁ、同じことである。だから、お金で女性を買うことについて、あれこれ私が言うことはできない。古くて新しい問題。
 昔は公娼制度があった。公娼とは、国で認められたソープである。最近、台湾ではそうなったらしい。
 日本では建前と本音のダブルスタンダードがあり、ソープが必要なことは認めながらも、ソープランドを国が運営するのは難しいかもしれない。が、それもありだと思う。

 後輩は、けっこう酒が強いので、それに付き合っていたら完全に酔っ払ってしまった。酔うほど飲んだのは何年ぶりだろうか。まぁ、たまにはいいだろう。

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 快速に乗ってしまい、浦安駅に着く。トボトボ歩いて帰る。
 浦安橋。綺麗な景色だったので写真に取る。
 酔っ払うと周りの景色も変わって見える。

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北壁の死闘 ボブ・ラングレー

2012年01月07日 19時55分52秒 | 読書・書籍

 個人的に、気分は今日からが正月という感じである。だから、今日は体を休める意味で、家でゆっくり本を読んでいた。
 山岳小説でも、評価の高い「北壁の死闘」を読んだ。うーん、確かに面白かった。

 舞台は、スイスを代表とする山、アイガーである。標高3975m。富士山よりちょっと高い。その北壁は困難な三大ルートのひとつと言われている。
 ときは、第2次世界大戦末期。ある任務を託されたナチス・ドイツの先鋭クライマーたちが、その北壁を登攀する話である。
 多分、実際にクライミングする人たちにとっては、すごくリアルな描写なのだろう。しかし、私はクライミングのことはよく分からないから、特にどうも思わなかった。ただ、緊迫感はよく伝わってきた。
 
 話の構成(プロット)は、主人公の過去のトラウマの乗り越えである。また、恋愛や友情が絡む。古典的といえば古典的なものといえる。ただ、そのような構成がしっかりしているもののほうが、面白い。
 専門家をうならせる描写の素晴らしさも、もちろん、大事かもしれないが、それだけでは話はもたない。やはり、骨太な構成が必要である。それがどんなに古典的なものであっても。
 というか、プロット自体は古典的であればあるほどいいのかもしれない。
 山登りやクライミングをしない人にもお薦めする。

 アイガー北壁がどんなところか示すわかりやすい動画があったのでアップする。
 映画「アイガー北壁」の予告だけど。

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奥秩父縦走 2011 12月31日

2012年01月07日 02時25分00秒 | 登山

出発     8:10
将監峠    8:20
山の神土  8:50 
唐松尾山  10:10
笠取山    12:30
雁峠小屋  13:20




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 将監峠。

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 山の神土。


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 唐松尾山。ここまで二時間。
 多分、ペースは遅い。



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 雲取山から飛龍山に向かう尾根。右側に見えるのが雲取山。そこからガクンと下って、凹んでいるところが三条ダルミ。

 

 

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 唐松尾山からなかなか険しい道が続く。



 

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 笠取山手前にテントが張れそうないい場所がある。力尽きてビバークしなければならない時、テントが張れそうな場所を知っておくことが重要である。将監峠から笠取山までの間なら、この辺が一番いいと思う。

 

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 およそ12:00頃。笠取山山頂へ向かう道と笠取小屋に向かう道の分岐点。
 この辺でゲロを吐く。しかし、アメしか舐めていないので、胃液しか出ない。
 うーん、調子が悪いから、笠取小屋でテントを張って休もうか、それとも、頑張って前に進もうか、迷う。
 とりあえず、三十分くらい休んで決める。
 前に進むことに決定。山頂に向かう。

 

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 頑張って、山頂に到着。狭い。ただ、山頂はどうやら東側と西側の2つあるらしい。西側に向かう。

 

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 西側の山頂に到着。こっちのほうが断然いい。東側の山頂で帰ってしまうのではなく、こっちの方まで足を運ぶべきである。景観が全く違う。

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 山頂からの景観。

 

 

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 笠取山から西に下る。笠取山西。

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 笠取山西から、笠取山を見上げる。あの禿げた道を下ってきた。

 


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 分水嶺。多摩川と荒川とどこか忘れた川の水の分かれるところらしい。
 正直言ってあまり興味がないが、重要な場所なのだろう。

 

 

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 13:20 雁峠小屋に到着。調子が悪いから、ここでテント泊。
 雁峠小屋はほとんど廃墟で、気持ちが悪い。中で休むのは無理である。
 こんな気持ちの悪いところで、新年を迎えるのかと思うと少し憂鬱になるが、体調が悪いので仕方がない。
 
 31日なので、ラジオで紅白を聴く。早く寝なければならないので、全部は聴けないが、聴いていたらなんとなく元気が出たきた。紅白なんて聴くのは何年ぶりだろう。紅白もいいものだ。
 正直言って、ダウンタウンの笑ってはいけないを見たかったのだけど。

 奥秩父縦走 2012 1月1日 へ続く
 

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奥秩父縦走 2011 12月30日

2012年01月06日 22時30分00秒 | 登山

 出発       7:00
 熊倉山      7:10
 前飛龍      9:35
 飛龍権現神社 10:40
 ハゲ岩      10:45
 将監小屋    13:20
 


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熊倉山山頂。

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 雲取方面がよく見える。

 

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   ミサカ尾根の急坂。この辺からかなりきつくなる。体力のない人は要注意。私は体力はあると思うが、荷物が重すぎてかなりバテた。

 

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 やっと前飛龍に着く。きつい。

 

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 前飛龍からの景観。

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 前飛龍を下ったところに、笹の平場がある。この辺ならテントが張れる。幾つかテントを張ったと思われる跡もある。

 

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 飛龍権現神社手前にテントを張る場所がある。ちょうど一人分くらい。

 

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 飛龍権現神社。

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 飛龍権現神社から将監峠方面へ5分くらい進むとハゲ岩がある。地図には詳しく書かれていないが、東京一の景観だということだ。飛龍は東京ではないかもしれないけれど。

 

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 ハゲ岩の景観。確かに素晴らしい。飛龍山山頂は時間をかけてまで行く必要はないが、ハゲ岩は行くべきである。

 

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 少しずつ雪が増えてくる。

 

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大ダル手前の水場。凍っている。

 

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 この辺は笹が多い。と同時に鹿も多い。

 

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 大ダワ。

 

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 将監小屋に着く。まだ一時回ったところだが、先に行く気力がない。今日は将監小屋にテント泊することに決めた。
 中に管理人のおじいさんがいた。受付をする。テン泊500円。

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 小屋の脇にある休憩所。

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 将監小屋の水場はジャブジャブ出ていた。頼もしい。結局、今回の縦走で出ていた水場はここだけであった。
 ここの水場は、小川の流れを利用しているのでなかなか枯れないのだろう。

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 今夜の我が家。水も組み放題だし、快適。
 しかし、この日、餅を食べ過ぎて(とはいっても5個だけど)凄まじい吐き気に襲われる。ただ、餅は1つの原因に過ぎないと思う。
 気持ちが悪くなった理由は幾つか考えられる。まず、荷物が重かったことと飛龍山付近の坂が急で、体力的に相当バテてしまったことが挙げられる。それが、軽い高山病を誘発したと思われる。
 荷物が重く、坂がきつい状態で、無酸素運動を繰り返した結果、体に疲労物質である乳酸が溜まってしまった。
 乳酸を分解するには、酸素が必要である。しかし、2000m位の高度だとけっこう酸素が少ない。だから、体がその高度に慣れていないと、乳酸を分解する速度が遅くなる。
 そのような状態で、沢山食べるのはよくない。なぜなら、それを消化するために血液が内蔵に集まるからである。乳酸を分解するために必要とされる血液(酸素)が、消化に使われるからである。
 こんな感じで、軽い高山病を誘発したのだと思う。
 それから、いつもは吐き気がするとすぐに吐くのだけど、今回はテント場ということもあり、汚してしまうので吐かずに我慢してしまった。それがよくなかったと思う。ちょっと離れたところまで行って吐けばかなり良くなったと思う。
 まぁ、良い教訓である。
 疲れたときは、たくさん食べないこと。深呼吸して酸素を多く取り、乳酸を早く分解すること。

 奥秩父縦走 2011 12月31日 へ続く

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上弦の月を喰べる獅子 夢枕獏

2012年01月06日 08時59分17秒 | 読書・書籍

 山に持っていった本、上弦の月を喰べる獅子を読み終わった。分厚い本で、上下巻ある。山に持って行くには重すぎたかもしれない。しかし、それでも良かったと思っている。ちょっと、今まで読んだことにない不思議な感じの内容だったからだ。

 夢枕獏の「神々の山嶺」が面白かったので、他に読んでみようと思い手にしたのが、この本である。
 岩手の詩人(宮沢賢治)と螺旋収集家がアシュヴィンという人間の中に融合し、天につながっている山に登っていくという話である。アシュヴィンは選ばれた人間であり、問いに答えるために天に登る。
 
 「汝は何者であるか」
 「存在とは何か」
 「野に咲く花は幸せか」
 「人は幸せになれるのか」
 
 これらはすべて同じ問いの違ったバージョンである。
 
 感想を書き始めてこういうことを言うのはおかしいが、それでも、感想を書くのは難しい。読んでもらうしか無い。
 仏教の存在に関する難しい主題を扱い、私の理解力では意味不明な部分が多いにも関わらず
、スラスラ読めてしまうという不思議な小説である。

樹 「野に咲く花は問うであろうか」

アシュヴィン 「分かりません」

樹 「答えなさい。アシュヴィンよ。野に咲く花は問うであろうか」

アシュヴィン 「問いません」

樹 「何故ですか、双人よ」

アシュヴィン 「野に咲く花は答えであるからです」アシュヴィンは叫んでいた。「野に咲く花は、問いであると同時に、答えであるからです。答えを得ている問いが、答えを問うでしょうか」

樹 「その通りである」「野に咲く花が問わないのは、野に咲く花はすでに答えであるからである。問と答えとが、まさにひとつの存在であるからである。問うたときには、その問いそのものが答えになっているのである。アシュヴィンよ、双人よ、これは比喩以上の意味を含んでいる。およそ、この宇宙に存在するあらゆるものは問いである。同時に答えである。アシュヴィンよ、お前もまた、この宇宙に存在するものである以上、問いである。問いであると同時に、答えである。しかし答えであるはずのお前が、何故、問うのか。
 自分は何者であるか、と」






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