アンティマキのいいかげん田舎暮らし

アンティマキは、愛知県北東部の山里にある、草木染めと焼き菓子の工房です。スローライフの忙しい日々を綴ります。

「ありあまるごちそう」

2012-07-12 07:24:36 | 映画とドラマと本と絵画
  「フードインク」の前にオーストリアでできた映画で、ありあまる食べ物を捨てている一方で、餓死寸前の生活を余儀なくされている人びとがいる現実を紹介している作品です。

   のっけから衝撃的な映像がうつされます。大量のパンが運び込まれたごみ処理場。場所はオーストリアのウィーンで、次々に捨てられるパンは、全粒粉やライ麦入りのまだまだおいしそうな黒パンです。製造して2日めのパンだそうで、カビなど入っていなくて十分食べられそうなのに、なぜか捨てられています。ウィーンはオーストリア第一の大きな都市。ここで捨てられる1年間のパンの量は、第二の都市グラーツ市民の1日のパン消費量に匹敵するのだそうです。うーん、なんということだ!

   黒パンはパンの中でもとりわけ私が好きなパン。食べるとクシュッとつぶれるような白いつまらないパンなら、もったいないなと思う程度ですんだかもしれませんが、大好きな黒パンが大量にごみとして捨てられている光景に、涙が出そうになりました。

   フランスの漁場の場面では、小型漁船で獲った新鮮な魚が死後硬直で固くなっているところを写しています。身がしまっていておいしいそう。ところが、大型漁船の進出のせいで漁業もどんどん工業化されはじめ、この小型漁船の操業が年々できにくくなりつつあるというのです。大型漁船の漁法は、大きな網で深海にすんでいる魚も何もかも一挙に獲るというやり方です。しかも、長時間網の中に入れっぱなしにしているため、新鮮さが失われ、身は柔らかくなるばかり。見るからにまずそうです。それに乱獲のため、資源の枯渇につながるといいます。

    ブラジルのアマゾンでは、原生林を切り開いた土地が広大な大豆畑に変わっています。ここで作られた大豆は、ヨーロッパの家畜に食べさせる飼料にしているのだといいます。大豆はもともと北の地方のもの。それを暑いアマゾンで育てるのだから無理があります。だから遺伝子組み換えした種を蒔き、大量の化学肥料を使って土地改良し、大量の農薬を投与して育てているのです。

   そのアマゾンで、たぶん森を追われた原住民一家が、餓死寸前の日々を送っていました。彼らは、水溜りにたまった汚い水を唯一の飲料水としています。上澄みをすくってそのまま赤ちゃんにも飲ませていました。病気になるかもしれないという知識がないわけではなく、ほかに飲むものが手に入らないからそうせざるを得ないのです。彼らがなぜあのような生活をさせられているのか、映画ではよくわかりませんでしたが、アマゾンの土地の所有権は原住民にはないからなのでしょう。ではだれのものなのか? 映画のナレーターは、大豆の生産をしている大会社の社長は、その地方の県か州の知事だと、さりげなく語っていました。

  映画の中で何度か登場する食糧問題の専門家は、こう言っていました。「今の発達した世界経済なら、全人口120億を食べさせることは可能だ」 人口が多過ぎて食糧が不足しているという認識は嘘だと、彼は言うのです。ありあまっているところから足りないところにうまく食糧が回れば、餓死はなくなる、ということなのですが、この映画を見たあとでは、確かにうなづける話でした。

   でも、その回し方には触れず、映画は最後まで希望的観測を与えることなく終わっています。あくまで現実を見せてくれているのでしょう。「フードインク」と両方見ると、ちょっと救われる道がありそうな気になります。   
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易しく優しいパンとスコーンの講習会、おわりました。

2012-07-12 05:32:12 | アンティマキの焼き菓子とパン
   7月8日(日)、今年2回目の「易しく優しいパンとスコーンの講習会」が、どんぐり工房で開かれました。5月に開いた講習会が好評だったので、つづけて2回目を開催することになったのですが、たった2ヶ月の間しかなかったので、参加者が集まるかどうか不安でした。でも、定員を上回る申し込みをいただき、無事実施することができました。

    メニューは前回と同じ、アンティマキのこねないパン3種とスコーン2種にスープ。ありあわせの夏野菜で、動物性食品もスープの素も使わないヘルシーなスープを作りました。たまたま渥美の友人が送ってくれたトウモロコシがあったので、実だけでなく芯も一緒に煮込んだため、いつも以上に甘くておいしいスープになりました。

    スコーンも好評。私の書き間違いで、胡桃と黒糖のスコーンの厚さが半分になってしまったのですが、それも思いのほか、おいしかった。新しい発見です。あまりパンが好きでない、というお子さんがパンをパクパク食べていて、お母さんがびっくりしていました。

    お客様は大人14名にこども4名。豊田市街地のほか、岡崎、名古屋、安城からもきてくださいました。

    今回も、定員オーバーのためお断りした方もいらしたので、また秋に開くことになりました。詳細は以下のとおりです。

    *日時;9月30日(日)10時から3時ころ
    *場所;どんぐり工房厨房
    *申し込み・問い合わせ;どんぐり工房 ℡0565-83-3838
      ただし、申し込みは8月20日から。木曜日は定休日です。
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「リミット」と「グリーンゾーン」

2012-07-12 05:12:18 | 映画とドラマと本と絵画
   どちらもしばらく前に見た映画ですが、たまたま借りてきた二つの映画がともにイラク戦争に関わる内容だったので、一緒に紹介します。

   「リミット」は原題が「Buried」。日本語だと「埋めた。埋葬した」。こちらのほうがすごいタイトルだと思うのですが、生々し過ぎて「リミット」としたのかもしれません。とにかく原題どおり、埋められた男の話です。

   彼はアメリカ人で、アメリカの会社の、イラクでの物品の運送をするトラックの運転手に雇われていました。ところが、テロに遭遇し、彼が気がついたときは棺の中。映画は終始、この棺の中が舞台です。棺の中に彼と一緒にはいっていた携帯電話と懐中電灯などの照明器具、それにポケットの中にはいっていたライター、小道具はそれだけで話は進みます。

   主人公は、携帯電話で犯人と話します。そして犯人の指示通り、アメリカ政府や主人公の勤める運送会社と交渉します。犯人は、身代金を引き出そうともくろんでいるのですが、アメリカ政府も会社も一切応じません。犯人のあせりと主人公のあせりが交錯し、見ている私たちも、主人公がともすれば陥る絶望的な気分をひしひしと感じ、ひやひやどきどきしっぱなしです。画面はずっと暗い棺の中なので、閉塞感も共有している気分になります。

   交渉の最中、主人公の会社から電話が来ます。会社は、彼に「他の社員との不倫」というぬれ衣を着せ、それを口実に突然解雇通告を出します。つまり、彼の災難にいっさい会社はタッチする義務はないということを、瀕死の社員に向かって宣言するのです。ひどい。主人公はプアホワイト。給料がいいから中東での危険な仕事にあえて就いたのでしょう。会社ははじめから臨時雇いの彼らを守る気はなかったのです。

   でも、最後のほうでは、交渉の仲介をするアメリカ人とのやりとりで、希望が見えてきます。これで、なんとかハッピーエンドか、とおもいきや、どんでん返しが。

   徹頭徹尾、政府と大会社を批判的な目で見ている映画です。お金はかかっていないのに、話がよくできています。臨場感抜群。アイデアと脚本さえおもしろければいい映画ができるというサンプルみたいです。こういう映画を見ると、お金がないからいい映画ができない、なんて弁解、絶対通らないと改めて思います。

   もうひとつは「グリーンゾーン」。マット・デイモン主演です。彼はアメリカ軍の軍曹で、イラク国内に隠されているはずの大量破壊兵器を探す任務を帯びています。兵器が隠されている倉庫があるという情報により出動するのですが、そこは何もないただの工場跡でした。作戦の失敗はこれで3度目。主人公は情報に誤りがあるのではないかと不信感を持ちはじめますが、上官にはとりあってもらえません。

    彼は次の作戦に入ります。その途中、あるイラク人と知り合うことによって情報がはいるようになり、はっきりした疑いに変わっていきます。そして、そもそもの戦争の原因になった情報提供者に怪しさを感じ始めます。CIA捜査官も味方になり、政府高官との対立が深まります。

    主人公のモデルとなった軍人はちゃんといて、ほぼ実話に基づく話のようです。ドキュメント映画の監督マイケル・ムーアは、「私は、この映画が作られたことが信じられない。愚かにも、アクション映画として公開されてしまった。ハリウッドで作られたイラク戦争映画では最もまっとうである」と述べているそうで、興行成績は上がらなかったようですが、きちんとした勉強映画でした。
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豚肉みたいな大豆タンパク食品

2012-07-12 04:06:38 | たべもの
   隣町・恵那市上矢作地区の道の駅の直売所「ラフォーレ福寿の里」で、こんな食べ物を見つけました。名前が変わっています。

   「肉らしい豆な姑

 長野県松本市の食品会社が販売元。姑の力の強そうな田舎ならではのネーミングです。右上に「豚肉みたいな」とあって、左下には「脇腹が気になるあなたへ」と書いてあります。

   そのまま食べてもまずくはないのですが、「豚しょうが焼き風にどうぞ」とあったので、袋裏に指示してあるとおり、ぬるま湯に30分ほどつけてから、自家製のたれと醤油麹をあわせたものに漬け込みました。そして油焼き。

   見ためは豚肉そのものです。で、食べてみました。大豆の臭みはなくて、歯ごたえがあります。味は、これまた豚肉そっくり。家人は、「これで十分だ」といいました。今度誰かに、何も言わず、食べさせてみたい。

   昔、マクロビオティックを知りたてのころ、グルテンミートやグルテンバーグなど、小麦粉のグルテンから作った肉もどきの食品をよく食べました。あるときから、そんなまがいものより、高野豆腐やこんにゃく、油揚げ、シイタケなどを工夫して料理したほうが、コクがあって肉っぽくなることを知りました。そのうち、お肉も、ときどき食べるようになったこともあって、もどきものはほとんど食べなくなっていました。

   というわけで、ひさびさに食べたもどき食品ですが、これはわりにいけます。

   値段は500円ちょっとくらい。かなりたくさん入っていて、半分使いましたが、残りました。薄切り肉の重ねとんかつ風にしてもおいしそうだし、カレーや肉じゃが風も作ってみたい。

   でも、気になる点がひとつあります。それは、原材料表示のところに、「脱脂大豆、粉末状大豆たん白、食用植物油」とあるのですが、どこにも、「遺伝子組み換え食品不使用」とは書いていないことです。食べてから気がつきました。ネットで調べたら、大豆は「アメリカ産と中国産の混合」とありました。がっかり。

   普段私は、普通の大豆はもちろん、豆腐、納豆、味噌、醤油そのほか、大豆加工食品はすべて、はっきり「国産丸大豆使用」と書いてあって、「遺伝子組み換えのしていない」大豆を使ったものしか買いません。だから、この食品、気に入りはしたけれど、また買う気にはなれません。その代わり、自然食品店に似たような商品があるはずなので、積極的に探してみたいと思います。

   
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