アンティマキのいいかげん田舎暮らし

アンティマキは、愛知県北東部の山里にある、草木染めと焼き菓子の工房です。スローライフの忙しい日々を綴ります。

映画「グランドマスター」

2018-01-08 10:36:32 | 映画とドラマと本と絵画
   ブルース・リーの師匠に当たるイップ・マンの半生を描いた映画。「花様年華」のウォン・カーウェイ監督の作品なので、迷わず借りました。

   冒頭から映像がすごい。アクションもすごい。時代は1930年代に始まる。ヒロイン役のチャン・ツイィーは「東北」のカンフーの強豪の娘。その強豪の葬列のシーンから始まります。海辺を歩く遺族たちが持つ旗が潮風にたなびくようすがうつくしいのですが、その葬列を遮る敵方の登場で旗が倒されるシーンがまた美しい。

   一方、トニー・レオン扮するイップ・マンは、ヒロインの父が死ぬ前に後を譲った、中国のカンフー(ある流派の中の話かもしれない)の新たな担い手。彼とヒロインの闘いのシーンも、まるで舞踊のように美しい。これほど美しくカンフーのアクションを撮った映画は、これまでなかったのではなかろうか、とおもうほど。

   しかし、日中戦争が激しくなり、カンフーの世界にも政治的思惑がはびこり、イップ・マンは孤立。ヒロインは父の敵を討ったあとはアヘン中毒にかかり、自滅の道をたどります。

    話の筋は単純で、セリフもとくになんということはないのですが、とにかく映像の美しさには舌を巻きます。ストーリーの展開も、さりげなくて、時代状況をよく知らないとついていけないかも。でも、何も知らなくても、画面に見惚れているだけで気持ちいい。血しぶきが飛び、死体がごろごろしているのだけれど、美しい。

     特に何度も描かれていて印象に残っているのは、満鉄の蒸気機関車の煙と、雨の中の闘いのシーンで跳ねる水たまりの水の映像です。どれだけの撮影と編集の手間をかけているのだろうかと、おどろきます。私の語彙がすくないので、この短いブログの文章に、「美しい」という言葉を7回も使ってしまった。ほかになんといっていいかわかりません。

      写真や映像にかかわるすべての人に見てほしい映画だと、わたしは思うのですが、みても、こういう映像を「作りすぎ」と思う人も多いのかもしれませんが。
   
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする