うちには、一本だけ花梨の木があります。ここ数年、毎年5個から10個ほどの実をつけるようになったのですが、あまりに高いところになっているので、落ちてくれないと手に入れられません。しかも、落ちるのが草むらや岩の陰。だから、落ちてしばらくたってから発見することがほとんどなので、たいていは黒ずんでいたり傷ついていたり。まともなものはまずありません。
先日、そんな花梨をいくつか玄関先に置いておいたら、立ち寄った知人が、「うちにもたくさんなっている。全く食べないから、いくらでも持っていって」と言ってくださいました。
お言葉に甘えて、知人宅に伺うと、「農薬を使っていないから、虫が食っていますよ」といいながら案内された裏庭には、たわわに実った花梨の木が。たった一本なのに、木の下には、数えきれないほどの実が落ちていました。確かに虫は食っていますが、うちの花梨よりはるかに上等。少し時期を逸していましたが、まだまだ使えそうです。段ボールにいっぱいいただいて帰り、友人知人にも十分おすそわけできました。
花梨はこれまで、お酒に浸けるか粗糖か蜂蜜に浸けるかしかしたことがありません。今年もそうするつもりでしたが、ネット検索したら、水を入れて煮て作るシロップを発見。急遽作ってみることにしました。
花梨は生では到底食べられないほどの渋みがあります。以前、友人がジャムを作ろうとして失敗しました。その失敗したジャムを私もなめてみましたが、とにかく渋くて使い道をありませんでした。だから、煮てこしても、渋みは残りそう。半信半疑で、ネットに紹介してある通りにやってみました。
まずピーラーで皮を剥きます。とても固いので、難儀なことでした。でも、この皮剥きがだいじなことかも、とおもって手を抜かずに丁寧に剥きました。そのあとは種も芯もいっしょに果肉をざく切り。
鍋に入れ、ひたひたに水を注ぎ、煮ます。わたしは薪ストーブの上で、数時間煮続けました。なんとなくトロっとしてきたらざるで漉し、液だけを火にかけて灰汁をとります。この灰汁とりも渋みを消すには大事なのでしょうが、おもったより灰汁は出ず、数回の作業で終わり。
ついで、花梨の半分量の粗糖を加えて、また煮ます。今度もストーブの上でかき混ぜながら。
しばらく煮たあと、冷めてから容器に入れてしまおう、とおもってしばらく放置しておいたら、こんなとろっとしたゼリーのようになりました。渋みはなくて、花梨のど飴の味がします。
成功です。きざんで粗糖や蜂蜜に浸けただけのシロップよりずっとおいしい。喉にもよさそうです。
皮剥き以外はさほどの手間はかからずできたので、今度は、残った、傷だらけのうちの花梨で、先日友人に教えてもらったばかりのスペインのお菓子、メンブリージョを作ってみたくなりました。
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