晴耕雨読とか

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『開高健 全集 第1巻』つづき

2009年01月05日 | 
全集の中から「パニック」を読む。昔読んだことがある気もしたけれど、まったく覚えていませんでした。

ネズミ大発生の話です。森で異常繁殖した野ネズミが町を襲うのです。で、その対策をする役人とか政治家の、、、えーと、ドロドロというか、駆け引きというか、ま、むなしい感じのお話です。

これを読んで数年前の出来事を思い出しました。2006年の夏に福島県の只見町に行ったのですが、地元の方が山から引いている用水路に野ネズミの死体がえらい流れてきて、たいへんなことになっていると聞いたのです。

わたしたちが行ったときには、流れの中で引っかかったやつ数匹がひらひらとしていただけですが、いっときは、水を一旦溜める池が死体でびっしりだったというからまさに大発生です。

そういうのを目の当たりにすることはそれほどないので興味深い体験でしたね。不思議なことに、町内はクスサンも異常繁殖していて、クリの木がどれも巨大イモムシで覆われて、これまたびっくりでした。

さて、「パニック」。この作品が開高のメジャーデビューと言うことで、それは開高健記念館のサイトによると「衝撃的デビュー」だったそうです。

それは、、、やっぱり「ネイチャー・クライシス・ノベル」という意味じゃないんでしょうね。昭和32年がどういう年かよく知りませんが、やっぱりこの小説は政治的というか、こう……大衆と政治あるいは国家権力の関係を揶揄した「衝撃」なんでしょうかね。サイトをめぐるといくつかそういう書評というか評論があって勉強にはなりますが、結局、個人的にはそういうメタファーに興味はなく、今自分が読んでおもしろいかどうかが大切なので、、、、ま、開高さんはこの当時から自然に興味があったのかなあ、、、というおバカな感想しかもちませんでした。すみません。