銀ステ根なし草

銀のステッキ旅行・スタッフの雑記帳

「青い部屋」のこと

2010年11月18日 | のほほん同志Aの日常
お別れはいつも突然です。

「当店は10月31日をもって閉店します」
事務所の近くにあった百均ショップ、
ダイソーが先月末、閉店しました。

文具やちょっとした小物の調達…
重宝していました。

馴染みの店が閉店するというのは
程度の差こそあれ淋しいもので、
これまでで一番こたえたのが
家族まるごとお世話になっていた
自宅向かいの処方箋薬局が閉店したとき。

初老の、薬剤師のご主人と奥様。
こぢんまりと営業されてましたが、
処方箋を扱っていた内科病院の
たったひとりの先生が
急な病気のために閉院されることとなり、
やむなく閉店を決意されたそうです。

「まさかねぇ・・・震災のあとにもう一度、
 こんな大地震が来るとは思うてませんでしたわ」

いつも朗らかなご主人から力なく切り出され、
その夜はふとんをかぶってワァワァ泣きました。

**** **** **** ****

ある日、シャッターに1枚の貼り紙。
「これまでのご愛顧ありがとうございました」

お別れはいつも、事後通達です。
ひるがえりようがありません。

町を歩いていると
知っている店がいつのまにか消えており、
あら?と足が止まります。

お気に入りの店がなくなると、
ひりひり後悔がやってきます。

お気に入りって言いながら、
最近、あんた疎遠だったんじゃないの?

――そんな後悔はイヤなので
お気に入りの店には通います。

超微力ながら買い支えなければと、
毎日どこかで食べ歩き、呑んで帰り、
パンを買い、コーヒーを飲み、
本を買い、CDを求め、ライブに行き…
財布はあっという間に空っぽになります。

でも、それでいいと思っています。

**** **** **** ****

この夏、初めて行って
とても気に入った店がありました。

ギーッ…

地下への階段を下り、重い扉を開けると
青い灯りに包まれた、大きなエディット・ピアフの写真。

東京・渋谷で43年の歴史を刻んできた
シャンソンの殿堂「青い部屋」。

年内いっぱいで閉店の危機に瀕しているそうです。

新参者の私にとっては、
たった1回行っただけの縁ですが、
今年一番、濃厚な時間をくれた空間です。

お別れは、いつも突然です。
でも今回は少なくとも…事後通達ではないようです。

三島由紀夫や美輪明宏も通ったという「青い部屋」。

43年の歴史のなかでは、
かつてあの空間で青春時代を過ごされた方、
懐かしさを感じられる方もいらっしゃるのでは――
そう思い、お知らせをいたしました。

知らないうちに失っていた
これが一番、こたえますから。


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