ATSUー歴女(おばさん?)のひとりごとー

見たこと・聞いたこと・ちょっと調べたこと,気ままに「My 日記」として書いています。

鍛冶田遺跡:その2

2016-09-10 06:42:04 | 日記 地域 遺跡
さて,鍛冶田遺跡です。

発掘現場に着き,立ち入り禁止のぎりぎり手前を歩いていました。
2メートル下の(後で2メートルぐらい掘っている,と聞きました。)
片づけをしていると思われるおじさんたちを見ながら。

すると,向こうから,女の人が2人,こちらに歩いてきました。
私が,
「すみません,高いところや低いところがありますが,これは時代の差ですか?」
と尋ねると,
「私たちは勉強のために来ている学生です。 
 ちょっと待ってください,ここの人が説明してくれますから。」
と,現場のすぐ南のプレハブ小屋に入っていきました。
そこから出てきたのは,いかにも現場の責任者・発掘調査のリーダーといった感じの人で,
恐縮してしまいました。

その方の話から…。

今回の南半分は,田んぼがあったと思われる場所です。
前回よりも少し掘り進め,2メートルほど掘っています。
(地層がはっきり見えます。)
年代測定というのは,難しいです。
わざわざ田んぼに土器を捨てる人はいません。田んぼの仕事の邪魔になりますから。
(土器により年代測定ができることは,以前行った県立考古博物館で見たことがあります。)
(カーボンフォーティーンのことを聞くと,)
カーボンフォーティーンによる年代測定も難しいものがあります。
木が見つかったとしても,それが流れてきたものであるかもしれません。
(ここは,揖保川・林田川のすぐ近く,この川の氾濫により土地は恵まれていたと思われます。)
例えば,100の木片を集め,そのすべてでカーボンフォーティーンを測れば,推測できるかもしれません。
しかし,それには莫大な費用がかかります。
そこまでの費用をかける意味もありません。
地層から,見て,2800年から2300年前であろうということはわかりますが,
それ以上の特定はできません。

さらに,いろいろ話をしてくださいました。

今回は縄文時代終り頃から,鎌倉時代までここに住んでいたであろう跡が出てきました。
しかし,ずっと住み続けていたかどうかはわかりません。
川は荒れます。
場所を移します。
(そのおかげで,土地は潤うんですよね。昔,「エジプトはナイルのたまもの」って勉強しましたよね。)
(広いですね,と言うと)
たぶん,県下でも有数の広さだろうと思います。

5分か10分ぐらいは現場を見ながら話してくださったと思います。
私一人のために,時間を割いてくださってありがとうございました。
(たぶん,あとは片づけて,現地説明会をするだけというタイミングが良かったのだと思います。
 いつも説明してくれるというものでもないと思います。)
私自身は,考古学よりも歴史学が専門・・・?・・・
(でもないですけど,文献から入ろうとして古文書勉強中)
でも,鎌倉時代の福井荘の農民が住んでいた,生活していた場所なのです。
(福井荘は,網干近辺,ほぼ現在の魚吹八幡神社の祭りの範囲,神護寺領など)
(この発掘現場のすぐ横には,現代の家が建って,現代の人が生活しています。)

日陰で,今聞いたことをメモしていると,
中から私ぐらいかちょっと若いぐらいの女に人が出てきました。
私がぺこっと頭を下げると,
「好きなんですか?」と聞かれたので,
「好きじゃなかったら,女一人でここに来ませんよ。」と答えると,
その女の方,
出てきた土器を洗って乾かす仕事をしている方でした。
土器を復元する人は別の方だそうです。
「暑いのにたいへんですね。」と私が言うと,
「私は部屋の中ですから。」
プレハブ小屋の横には,黄色い入れ物がたくさん積み上げられています。
中には土器の破片が入っているのでしょう。
「ここは,埋めてしまうんですよね。」と私が言うと,
「そうですね。」
私「残念ですが,道路をつくるんですよね。もったいないですね。」
女の人「ここに,ずっと昔の人も住んでいたと思うと不思議な気がします。」
(蒸し器が出てきたときは,感動したようです。)
(その方,発掘現場があると「来てくれないか?」とお呼びがかかるパートの職員さんだそうです。
 私以上に,好きなんでしょうね。)

でも,前回に書いたように,私自身も時々不便をしています。
「ここが終わったら,すぐ近くをまた発掘します。
 ぜひそちらも見に来てくださいね。」と教えてくださいました。

現場では,実際に暑い中,掘っていたと思われる作業員の方が,足場等の片づけを始めました。
私は一礼して,現場を去りました。

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