私達はクリスチャンではありませんが、クリスマスというのも慌ただしい年末、一年を振り返るよい機会と考えています。
作家の伊集院静さんがシグニチャーという雑誌の12月号にとても素敵なエッセーを書いていました。
彼は人に孤独を味わうことを勧めています。孤独になればそれだけ様々な絆の大切さを味わうことができるから、というのがその理由です。そして若い男の人には一人で異国を旅することを勧めています。
彼は若い頃(多分独身時代??)コマーシャル撮影の段取りのため、クリスマスシーズンのパリで一人滞在していたことがあるそうです。クリスマス命の地域であるため、仕事ははかどらず、ホテルの従業員もそそくさと帰り支度を急ぐ中、サンドウィッチを買った後、冷えたビールを買うためホテルのバーに立ち寄りました。
そこのコックに「クリスマスは一人かい?」と聞かれます。そうだと答えると、彼の家族が集うイブのパーティに誘われたそうです。見ず知らずの異国人を家族は美味しい料理とプレゼントで温かく迎え、先に帰ろうとする伊集院さんに「あなたとご家族に神のご加護がありますように」と言葉をかけてくれました。そのコックはレバノン人で、当時内戦状態のレバノンに心を痛めていました。
人の痛みを知る者はその分人に優しくなれるのでしょう。人を傷つける者はその痛みを知らない哀れな心の持ち主なのでしょう。平和な祖国に感謝しつつ、すべての人に神のご加護がありますように。メリー・クリスマス
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