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ヨーロッパモルモン研究学会発足(2)

2007-08-12 01:18:42 | モルモン教関連
私がこの度初めて出会って注目したのは、唯一会員で
ないダーラム大学のダグラス・J・デービス教授で、重
みを感じさせる学者であった。英国でモルモニズムに
ついて多数著書論文を発表している英国教会(Anglican
Church)会員で、2005年5月BYUがワシントンDCで主催
したジョセフ・スミス生誕二百周年シンポジウムにも
参加している。教授はモルモニズムにおけるイエスの
位置づけについて語った。

そして以前から発表内容の深さと明瞭さに感銘し、ま
た共感を覚えていたオランダの人類学者ウオルター・
バン・ビーク教授もペーパーを発表し、シンポジウム
に参加した。彼は欧州における世俗主義(secularism)
についてよく言及するが、今の時代において教会は社
会の倫理について監視人的役割を果たすべきである、
と語った。また、会員で知識を得た研究者は、その理
解や知識をいわば別々のひきだしに入れ(compartmentalizeし)、
時機に応じ異なった表現ができることが必要である、
と述べた。
 教会が周辺と緊張関係がなければ”church”であり、
あれば”denomination”(宗派)、 緊張関係が激しけ
ればカルトである、と一つの明瞭な尺度を示し、もし
周辺との関係がよくなければ、他者との協力や対話は
困難である、と指摘した。
 知識を提供することはわれわれの義務であり権利で
ある、われわれは適切な信頼できる情報を一般に提供
しなければならない、とシンポジウムで語りかけた。

アメリカを代表して、長老格のアーマンド・L・マー
スが参加し、この第一回大会を支援した。マースは戦
後日本で伝道部長を務めたバイナル・G・マースの息
子である。それでパークシティで開催されたモルモン
歴史学会以来、小生に親しく語りかけてくれる。最近
教会幹部は、一部けげんそうにする人も残っているが、
研究者との関係が友好的になっている、とシンポジウ
ムで語った。司会者のロナン・J・ヘッドも最近のPBS
ドキュメンタリー「モルモン教徒」に対して教会が、
中に批判的な内容が含まれているにも係わらず、「建
設的、有益」と評価していることに注目していた。
 マースはまた、モルモンが普通の、標準的(normal)
存在で、モルモンについての研究も普通に認識される
ものになるためには、学会で発表することが肝要であ
る、内輪の研究誌だけでなく外の学会誌にも投稿する
必要がある、目にとまる存在にならなければ、と出席
者に訴えていた。

筆者はいつか英国に行くことを考えていたが、このヨ
ーロッパモルモン学研究会発足を機に訪問し、学会に
参加できたことを喜んでいる。次回はフィンランドで
開催される。時期は未定。今回発表された内容は後日
「発表論文集」(proceedings)として出版される予定
である。

EMSAのURL: http://www.euromormonstudies.com


発表はしなかったが記念写真に収まった筆者


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