FARMS (Foundation for Ancient Research & Mormon Studies) 略史
1
ジョン・W・ウェルチが1979年にロサンゼルスで非営利組織「古代
研究とモルモン学」を設立し、興味ある記事のコピーを会員に送付
するなど研究を促進・援助する活動を開始。ダイアログ、サンスト
ーンの重要な記事も入手でき、私は大変重宝した記憶がある。
2
ニュースレター発行、カタログの充実、研究ノート(working paper)
を追加するなど発展。熱心でまじめな研究者のニーズに応えていた。
80年代モルモン書の厳密な本文の整理(3巻からなるcritical text
刊行)を行い、後に本格的な批判本文の2巻発行に至る基礎的な資料
となった。
福音の教義クラスに参考文献(教会内外とも)を紹介、販売。関連記
事をニュースレターに掲載。
書籍刊行、叢書、ニブレー全集(1984-)、数種の定期刊行物を意欲的
に刊行するに至る。またモルモン書を散文 / 韻文(交差対句法を含
む)に区分した組版で発行している (‘92ドナルド・パリー)。但し、
全般的には護教的色彩が濃厚になっていった。
3
90年代にシグナチャー出版の「モルモン書の新しい研究」(New Approaches
to the Book of Mormon 1993) などをめぐって厳しい論争が繰り広げ
られた。これは批判に対してFARMSが反論する形であったが、枝葉末
節をついて論破しようとする面(米国論争技術の常道?)が数多く見
られ、私は愛想をつかし失望したのであった。(個人的に会えば、舌
鋒厳しい人士も意外に穏やかな人々が多いのであるが・・)
4
97年にヒンクレー大管長の呼びかけでFARMSはBYU組織内に吸収される
方向に向かった。私はこれでFARMSの独立性は失われるのではないか
と感じた。果たして98年に送付された「モルモン書研究誌」は豪華な
グラビア版の出版物に変貌し、内容的にはPR記事のような軽薄さを免
れないものとなっていった。組織的には、BYUの関連研究所の傘下に
移り、現在はマックスウエル宗教研究所 (Neal A. Maxwell Institute
for Religious Scholarship)の一部門となってこれまでの活動を続け
ている。
このような経緯をへてFARMSは幾多の貢献もあるものの、教会の護教
的論陣の砦と化し、掲載される記事の客観性・慎重な姿勢が後退し、
魅力は発足当時に比べむしろ減退することとなった。
かつてユタ大学の哲学教授スターリング・マクマリンが、BYUの学者に
ついて宗教に関する発言や発表内容に制約を受けることになると指摘
したが、それが当てはまる例と言える。
1
ジョン・W・ウェルチが1979年にロサンゼルスで非営利組織「古代
研究とモルモン学」を設立し、興味ある記事のコピーを会員に送付
するなど研究を促進・援助する活動を開始。ダイアログ、サンスト
ーンの重要な記事も入手でき、私は大変重宝した記憶がある。
2
ニュースレター発行、カタログの充実、研究ノート(working paper)
を追加するなど発展。熱心でまじめな研究者のニーズに応えていた。
80年代モルモン書の厳密な本文の整理(3巻からなるcritical text
刊行)を行い、後に本格的な批判本文の2巻発行に至る基礎的な資料
となった。
福音の教義クラスに参考文献(教会内外とも)を紹介、販売。関連記
事をニュースレターに掲載。
書籍刊行、叢書、ニブレー全集(1984-)、数種の定期刊行物を意欲的
に刊行するに至る。またモルモン書を散文 / 韻文(交差対句法を含
む)に区分した組版で発行している (‘92ドナルド・パリー)。但し、
全般的には護教的色彩が濃厚になっていった。
3
90年代にシグナチャー出版の「モルモン書の新しい研究」(New Approaches
to the Book of Mormon 1993) などをめぐって厳しい論争が繰り広げ
られた。これは批判に対してFARMSが反論する形であったが、枝葉末
節をついて論破しようとする面(米国論争技術の常道?)が数多く見
られ、私は愛想をつかし失望したのであった。(個人的に会えば、舌
鋒厳しい人士も意外に穏やかな人々が多いのであるが・・)
4
97年にヒンクレー大管長の呼びかけでFARMSはBYU組織内に吸収される
方向に向かった。私はこれでFARMSの独立性は失われるのではないか
と感じた。果たして98年に送付された「モルモン書研究誌」は豪華な
グラビア版の出版物に変貌し、内容的にはPR記事のような軽薄さを免
れないものとなっていった。組織的には、BYUの関連研究所の傘下に
移り、現在はマックスウエル宗教研究所 (Neal A. Maxwell Institute
for Religious Scholarship)の一部門となってこれまでの活動を続け
ている。
このような経緯をへてFARMSは幾多の貢献もあるものの、教会の護教
的論陣の砦と化し、掲載される記事の客観性・慎重な姿勢が後退し、
魅力は発足当時に比べむしろ減退することとなった。
かつてユタ大学の哲学教授スターリング・マクマリンが、BYUの学者に
ついて宗教に関する発言や発表内容に制約を受けることになると指摘
したが、それが当てはまる例と言える。
今年も宜しくお願いします。
いまFARMSの
Uncovering
the Original Text
of the Book of Mormon
を読んでいます。例によってノロノロと。
NJさんの評価があれば教えて頂けませんか?
最近ブリガムヤング大学のローヤル・スカウセンを中心として、モルモン書の学術的本文(Book of Mormon Critical Text 3巻)が刊行されています。
Wasatch さんが読んでおられるUncovering the Original Text of the Book of Mormon – History and Findings of the Critical Text Project – はそのいきさつや背景を、また内容の一部を紹介したもので、読む価値のある冊子(71ページ)だと思います。モルモン書のための本文批評の元になる貴重な作業をスカウセンたちのチームが丹念に年月をかけて仕上げたわけです。
書評ありがとうございます。
色々読み進めている本がある中で年末にサイトで発見し正月はずっこれを読んでいました。流し読みしないで丁寧に読んでみます。