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モルモン歴史学会(MHA)年次大会(ユタ州レイトン)報告

2013-06-16 21:59:31 | モルモン教関連
レイトンの風景

ソルトレークシティから車で小一時間北にあるレイトン(Layton)で、6月6-9日モルモン歴史学会の第48回年次大会が開催された。このレイトンに私の次女とその家族が住んでいるので、昨年のカナダに続いて出席することにした。今回のテーマは「ユタ州北部の集合要衝の地、ワサッチ山麓から環太平洋へ。モルモン教徒の前線における活動とその足跡」で、二日間で45の部会(各部会に平均3人の発表者)、5つの講演が行われた。出席者は800人に達すると言う。同時に7-8つの部会が並行して行われたため、私は7つの部会にしか参加できなかった。

モルモン歴史学会(Mormon History Association)は、1965年サンフランシスコで発足しレナード・アリントンが初代会長に就いている。教会員が中心になっているが、外部の学者も名を連ね学術的な学会として今日に至っている。現在1,100人の会員を擁している。来年はテキサス州サンアントニオで行なわれる予定である。

1960年代アリントンの時代から、客観的に得られる資料に基づいて学術的にモルモン史を研究する動きが展開され、「新モルモン史」(New Mormon History) の研究と呼ばれた。それは今日も引き継がれているが、歴史の分野から神学、社会問題などにも分野を拡大してモルモニズムを研究する今日の状況を、「モルモン関連研究」(Mormon Studies)の段階に入ったと研究者たちは受けとめている。

それで当学会も今回ユタにおけるモルモン教徒の入植や経済、ブリガム・ヤングの環境保全の工夫(当時)などから、若い女性の指導者として著名だったイレイン・キャノンの女性地位向上の苦労、ネイティブ・アメリカンとモルモン教会の問題に至る多様な数多くのテーマが扱われた。

そんな中で私は先回に続いて香港のメリッサ・ウェイ・ツィン・イノウエ(Melissa Wei-Tsing Inouye)がパネリストとして招かれていたことに注目した。前回同様中国の「真耶稣教会」(True Jesus Church)とlds教会を比較して、末日聖徒の場合カリスマは周辺からも生じ、バンヤンの木のような形をしているのではないか、それでいて一本の根から出ていることに変わりはない、と述べた。聴衆の反応から見ても、メリッサ・井上は今後アジアを代表してMormon Studies の世界で活躍していく人物であろうと思われた。なお、このパネルディスカッションにはマイケル・イン(Michael Ing, 呉栄桂、インディアナ大助教授)という中国系アメリカ人も加わっていて、見ごたえのあるセッションであった。

この二人の登場もそうであるが、若い研究者を司会、コメンテーターなど大会運営に活用したり、ゲストに招いたり、学会役員に登用したりして、当学会は若返りに努めている。

この会期中、私は拙著「モルモン教をどう見るか」を幾人かの人に紹介し贈呈した。アーマンド・L・マウスは久しぶりに会えたことを喜び、快く受け取ってくれた。リチャード・L・ブッシュマンは私の説明*に耳を傾けてくれ、よい業績に数えられると言ってくれた。また日本に伝道したアンダーソン氏(BYU美術館勤務、ラヴィナ・フィールディング女史の夫君)は読めないけれど光栄ですと言った。

今後またこの種の大会に出る機会があるかどうかわからないが、私にとって大変楽しく居心地のよいlds関連の知的でアカデミックな世界である。末日聖徒であり続ける意義を感じさせてくれる貴重な存在である。

参考
当ブログ 2012/07/11 モルモン歴史学会2012年カルガリー年次大会に参加して

* Jiro Numano, “How should Mormonism be viewed? A third view”

Perhaps the first book written by a Japanese LDS from a researcher’s perspective in Japanese. It is neither apologetic nor anti, but the author tried to be as objective as possible patterning after Bushman’s style.

The book covers a broad scope of themes such as origin of Mormonism, the Book of Mormon, Polygamy, Temple ordinance, Priesthood ban on black race, Japan mission before and after WWII, and current problems facing LDS Church and the Church in Japan.

It is well received by prominent scholars of Mormonism and Christianity in Japan, including Machiko Takayama, a scholar comparable to Jan Shipps of America.


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