第六話、≪復習会≫
「おはようございま~す。初めてなんですが、宜しくお願いします」
「ふーん あの方も先生でいらっしゃるのですか
」
「あっ、あの方も。。えっ、あなたもそうですか」
・・どうやらここは、新米講師人のたまり場のようである。
月に一度の 『無料講習会』 なるものである。
今までに習ったことのみ、何度でも練習できる場らしいのだ。
そういや、最初の説明で 『月一度の講習会』 なんてものがある、と言っていたっけ
入場券や回数券でもう一度受けれますよ、なんてのはよくあるが、
何回参加してもよく、しかも、タダ(⇒私はこの言葉でここに決めたのだった)
何という良心的な学院なんでしょ。
だって、家でいくら復習したって、(一人じゃつまんな~いぃ)
勘違いしたままだったり、(知らぬが仏っ)
形が悪いまま練習したりじゃ、時間の無駄でしょうが・・(ほんま、ほんま
)
『タダより怖いものはない』ーーとも言うがぁ・・今はぁ横に置いといてぇ。。
まだまだ、着付けは奥が深い。
習いたての生徒さんよりも多い、新米講師の方々の復習会は、
凄くレベルが高く思えて、自分の復習はそっちのけで
講師の方々の技術を盗む会と、変化していったのである。
これが、後々とっても役に立つこととなるのである。
つづく。。。
『二重太鼓セッティング』の補足です。
上のが帯枕
下の方にたれが
めくれ上がらないよう綿が入っています。
これが、「お道具」とか「姿」とかよばれているものです。
きもの学院によって呼び方が違います。この形は進化系です。(当時の)
すべてのきもの学院が、扱っているとは限らないです。
ピンクの紐を胴にくくりつけると、もう落ちません。
この姿とお太鼓の間を巻いていくのです。両手があくのでしっかり締められます。
ギネス級の人でない限り、かなりなぽっちゃりさんでも大丈夫
食べすぎったってゆるめられる。
長距離旅行でもら~くらくな、すぐれものです。
今回は、「見たことあるけど、何に使うの?」という、
女性の方々のために、 致しました。
今日は、ちょっと「思い出語り」はお休みです。
男性諸君にはよくわからないようですので、
ご要望にお答え致しまして、第五話での 『二重太鼓セッティング』 を紹介します。
こっちが手先
これが「二重太鼓」
このように、袋帯をセッティングしておいて、
二重太鼓の部分を持って、背中に付けます。
それから、手先(左側)の部分を胴に巻いていくのです。
手結びとは、逆ですよね。
ふつうは、手先の方から巻いて、お太鼓を作ります。
何となく、解っていただけたでしょうか
第五話、≪入園式≫
「御入園おめでとうございます。」
「いゃ~、自分で着はったん やっぱり着物っていいわねぇ~
似合ってるやん。私着れないからスーツ買っちゃったわよ。」
「ありがとうございます。」
まるで、ファッションショーのような派手なスーツ、
えーと、今日は何の日だっけ と、悩みそうになった。
入園・入学・卒園・卒業などの式典は、子供が主体だから、
親は子供より目立たない服装にしないとだめですよ。
お師匠様にそう教えて頂いたはずだが・・・
ちょいと時刻はさかのぼる。
こちら、私の部屋、今まさに着替え奮闘中・・
確かに、確かに3分で帯は付けれる。(いや、も少しかかるかも)
しっか~し、着物がっ、着物がっうまく着れないよー
気に入らないのである。ーーそりゃそうだろ
浴衣さえ着たことのないズブの素人が、何回か練習したところで
気に入るように着れるわけがない
お師匠様だって2・3日着ないときは気に入らないときがある、
とおっしゃっていたぐらいである。
なんせ、着付けを習い始めて短期間しかなかったので、
最初疑った『3分でお太鼓結び』の方を慌てて覚えたのだった。
式典では、『お太鼓』ではなく、袋帯の『二重太鼓』なのだ。
実は、前日の晩にセッティングしておいたのである。
後は、背中につけるだけ~...だったのだが。
ーーーともあれ、最初の目標が達成した。
ーーーさて、次は何を目指そうか。
つづく。。。
第四話、≪練習日≫
「とにかく毎日、一度でもいいから練習するといいですよ。
できたら姿見で全身を見て、チェックするようにね」
「はい解りました。ありがとうございました。」
『着付けの日』ーーー子供たちにとっては、夢のような日。
お菓子はてんこ盛り (お腹すいた~と言わせないっ
)
ジュースは飲み放題 (喉乾いた~と言わせないっ
)
おもちゃは使い放題、お片付けなし。 (うれしいはずだろ・・
)
その代り、朝早くから、子供らはたたき起こされる。(途中で寝てくれよ)
子供は小悪魔 、どんな衝撃の事態に襲われるやも・・・
という私の内にあった危惧やルールプランも何処へやら・・・。
二人共、初めてみる着付けの授業にくびったけ。
二回目からは、帯を自分で巻きつけていた。
「ほらほら、着付け、着付け」
お師匠様にも、まるで猫が体を擦り付けるような態度で馴染んでる。
こっちは、人見知りするタイプで、緊張してるっちゅうのに・・・
いたたた・・、手が・・、手が・・後ろに回らない。
これは困った、練習不足か?
(↑ いやいや、単なるお肉の付き過ぎでしょ)
そんなこんなで時は過ぎ、
そして、来る入園式の日となるのである。
つづく。。。
第三話 ≪訪問≫
「今、キャンペーンでこの近所を回らせて頂いております○○学院なんですけど、
『ご自分でお太鼓結びが3分でできる』って言うのを、見てみませんか
マンツーマンで家にいながら習えますよ。」
・・・訪問販売
こいつは、何でもかんでもあやしいと思え(若かりし頃の教訓である)
普段なら、あっさり「結構です!」
と、玄関を開けぬことにしていた私だった。しかし、このときは
やはり、着付けを習いたいという気持ちがあったからであろう、
『3分でできる、お太鼓結び』というフレーズと、
『家にいながら・・マンツーマン』 に誘われてしまったのである。
うっそー!どっちみち作り帯やろ。 ん・・、聞くだけならぁタダやし、
まっ、時間もぉあるし~、ヒマやし~。一人寝とるし~。
長男一人遊びしとるし~。 (←どんだけ言い訳しとんねん
)
ってなもんである。
結構、お気楽さんだったようだ。この頃の私は。
このとき、まだ長男が5歳、次男、3歳という手のかかる時期、
長男が入園という年の、何か月か前のことだった。
ーーーこれなら、私にもできそうだ
ーーー今からなら、入園式に間に合う
つづく。。。
第二話、≪思案≫
「そりゃあ、いつかは、習おうと思ってるよ。お義母さん。」
「えっ、そうなん!自分で着るねんやったら、教えたるで。我流やけど。」
「でも、どうせなら、きちんと習って資格のひとつでもとりたいやん。
だけど、着付けって、ちゃんと習おう思うたら高いやろ練習用持ってないし。」
私は、この間の『カッチン叔母様』の件以来、闘志が湧いてしかたがなかった。
お~お~!、自分で着れるようになったろうじゃあ~りませんか
今に見・・・ろっとと、(・・いけない、いけない。。お上品に。。お上品に)
今に、見ておきなさいませよ。お前様より上手になってみせますわよ。
ん。。。 なんか変な闘志である。
しかし、このときはまだ、自分で着れさえすればいい。そんな気持ちだった。
その時持っていた着物は、なんと,たったの二枚。自分で買った振袖 と、色無地。
結婚するとき、すでに母がいない私に気を使ってか、義母は、
「着物何もそろえやんでええで。体ひとつで着たらいいよ。
うちにいっぱいあるから一緒に着たらええで。なにも持ってこんでいいで。」
とまで言ってくれたのだった。
今、改めて言葉にしてみると、凄く慈愛のこもった温かいセリフである。
ーーーで、練習用の着物はできた。(おし、義母にかりれるぞ
)
ーーーさて、どこで習おうか。
つづく。。。
第一話、≪きっかけ≫
「いいよねえ。着物自分で着れて。髪も自分で結うやろ。
この間、美容院で両方してもろたら、めちゃめちゃとられたわ」
「ねえ なんで着付けを習いはったん
」
ーーー おっ、忘れてた、まだ書いてなかった。
そもそも、このブログを立ち上げた理由のひとつは、
このことをしたためたかったのである。
そうそう、・・・あれは、結婚して初めての身内の不幸の時だった。
うちの家系(嫁ぎ先)は京都に親戚が多いのだそうだ。
そのせいか我流ながらも自分で着物を着れる人が多いらしいのだ。
ホントに近い身内だけ残ったときのこと、何処ぞの、着物を着た大おばさまが、
「あんた着物着れるよなあ。やっぱり着物ぐらい自分で着れやんとな。」
と、一言、いや二言おっしゃったのである。
カチ~~ン!!ときたね。
穏やかな性格のこの私がそう感じたのだから、よっぽどきつい言い方だったと思う。
「まあまあ、私が着せたるからいいねんって!。」
流石に、わが夫の母上がわたしのフォローをしてくださったが・・・。
この日のことが、私を、 『着付け道』へと導くきっかけとなったのである。
つづく。。。