六月一日は氷の朔日とも呼ばれ古来意いろいろな行事があった。
室町時代には、宮中でも幕府でも氷の餅を献上したり進物する日とされていた。
大阪府北部の各郡、福井の南条・今立郡、岐阜県古城・大野郡に及び、
また熊本県御船町にまで分布している。
氷を食べる例は少ないが、この日雪が降れば豊年だという言い伝えの
ある土地もある。主として、正月に搗いた餅で作ったアラレや、カキモチを、
多くは凍み餅にしておいて、この日に神に供え贈り物にしたり、朝食の後
に食べたりして、厄除けとするのである。
正月の尊い供物が、
なお威力を保持しているという信仰から生じたまじないの一つ。
石川県・・・ヒムロノツイタチ、
兵庫県・・・氷餅ヤスミ
岐阜県揖斐郡徳山村・・・氷茶(正月の(※)餅花を豆と共に炒って食べる)
氷を炒るともいう
≪「歯固め」と呼ぶ地方≫
歯固めの餅を食べる日とされる地方もある。
(正月の餅や豆炒を食べて身体を丈夫にすることをいいあらわしたもの)
青森県西津軽地方、岩手県各郡、秋田・宮城・山形各諸県、北陸地方、
大阪、山陰地方九州南部の屋久島に至るまで、歯固めと呼ぶのが一般的。
富山県・・・鬼ノコウベコワシ、鬼の骨
福井県坂井郡・・・オニツイタチ
鹿児島県肝属郡・・・ホシ
≪「尻あぶり、ケツアブリ」という地方≫
埼玉県西部の各郡
六月一日の早朝に、小麦藁やバカヌカを燃やして、家内一同その火にあたる習わしがある。
(腹の病気が治り、また腫瘍が出ない、またこれをしないと田に虫がつくという
虫祈祷をする地方もあり、東北では蚕送りをするところもある。
≪「焼餅節供」という地方≫
岡山県邑久郡、愛媛県大三島
小麦の焼餅を作って神仏に供える
(麦の収穫祭にあたる名称であり作法である)
≪「キヌヌギツイタチ・ムケノツイタチ・ムケゼック」ともいう≫
蛇が皮を脱ぐ日だといい、あるいは人間の皮もむける日だともいって、
それについての禁忌をともなっている。
蛇が桑の木下で皮を脱ぐ脱皮新生の日とし桑作へ行くことを戒めている
所は東日本に多く、かつてこの日が物忌すべき日であったことをうかがえる。
こうした禁忌は、おそらく物忌・謹慎から生じたものと思われる。
ハヤリ正月といって、世の中の悪い年に、もう一度正月の式をして
年取り直しをしたりするのもこの日が多い。
大きな改まりの期待をもって物忌謹慎すべき日と考えられていたらしい。
1日と限らずに全体をみると、旧暦での半夏(はんげ)などのように、
忌み慎むべき日としている日は多く、田植終了後の月として、物忌が
期待される月であったらしい。
6月には祇園の祭りで代表されるように水神祭が顕著であり、
一日はそれらの物忌開始の日だと考える事ができる。
↓
川入り朔日は十二月一日に関係する。
ナゴシ、川浸り

【夏越し(ナゴシ)】
旧暦六月晦日の行事。
かつては宮中や各神社では、身の不浄を祓い災いを防ぐために、
大晦日と同じように、この日にも大祓えが行われていたが、民間に
おいても、同じような意味をもってナゴシの行事が行われている。
ただ民間のおいては、祓いよりも禊(みそぎ)の要素が強い。
≪ナゴシの語≫
山口県から北九州にまで分布
牛・馬を川で1日遊ばせるというのが一般的
人間の禊祓が家畜にまで及んだ風習だと考えられる。
島原地方・・・牛馬のほか人間も海水で身を清めるという。
関東地方・・・藁の人形に木刀を持たせて川に送り流す所もあり、紙人形に
家族の名を書いて神社に納めるなど、形式化して残っている。
≪ワゴシ祭り(茅の輪くぐり)≫
また、この日神社の鳥居の下で竹に茅(ち)を巻きつけて作った
茅の輪をくぐって、罪・穢れを祓う習俗も近畿地方を中心として
一般的、ワゴシ祭などと呼ばれる。
茅の輪は蛇を形どったものだと言われ、祇園の祭りなどと関係
しつつ六月に顕著な水神の祭りと関連があるものだろう。
6月は田植終了後の月として、物忌が期待される斎月だとみな
される一方、大いなるあらたまりに入るべき月とも考えられる。
これらナゴシの行事も先祖祭りを前提として解されており、正月に
対しては、6月末の水無月祓え、六月祓えがあって、かつては暦制が
1年を2分していた証左されているようだが、まだ、未解決の点が多い。
「茅の輪」画像、参考HPはこちら→ 夏越祓≪茅の輪神事≫
『年中行事図説』柳田國男監修:民俗学研究所偏集より 
『日本民族辞典 大塚民俗学会編』 弘文堂 
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