第十一話、≪高等師範科≫
「みなさん、おはようございます。これより、第一回、高等師範科を開校致します。」
「担当講師とサブの講師の紹介と、生徒さんの紹介をしましょう・・」
「では、授業要領をご説明いたします。」
まだ、生徒さんを受け持つ半年ぐらい前のことである。
手結びを軸とした、主に『変わり結び』の基本技術を教える
『高等師範科』という新しい科ができた。
当然のように、私にも話がきた。
手結びは、基本はOK (でも、見ただけでも結べれるようなりた~い
)
まだよく理解できてないとこもあるよね。(そうやんね~)
だいたいでしてみるけど。(やっぱ、仕上がり、みっともな~い)
だから、着付けをもっとよく理解できるようになりたいんやん
しかし、ここで唯一の難関 ーー夫の猛反対。
「もう着れるのに、なんでー」 (私は人にも着せたいのっ!)
「子供どうすんねん」 (おばあちゃんにみてもらうやんか!)
「とにかく、あかんあかん
」 (なんでやねん!)
高等師範は学院へ通うことが必要だったが、主婦が家を空けるということが、
許せなかったようだ。まだ、次男が幼稚園児だったこともある。
それに自営業だったことも理由の一つか・・
このころの夫はなんだか、考えが古臭く、頑固だった。
ーーーこうなりゃ、最後の手段。
ーーー夫の弱みにつけこんで、丸めこむしかないね。。
そそくさ~と私は義母に相談しに行った。・・そう、夫は母に弱いのだ。
効き目はてきめん
めでたく冒頭の高等師範科へと進めたのであった。
今も昔も、義母は私の味方であり、
実の親娘と間違われるぐらいである。
つづく。。。
ーーー昨日の夕方の話。
マーちゃんの友達から、なぜか血圧計が送られてきた。
「血圧計、持ってる」
「持ってないけど・・」
「じゃっ、送るわ」
・・・えっ、どういうこと??と思うのだが、これがいつものマーちゃんと、
その友人のマゴちゃんとの会話である。
私がお風呂から上がってくると、マーちゃんが、そそくさと何やらしようとするではないか。
「・・何よ。何すんのんさぁ」
「ハイ、ハイ、手首、手首。出してっ」
と、何やら巻きつけた。
「手首より1cm下のところに巻くだけでいいのか、ふ~ん」
「心臓と同じぐらいの高さにすんねんて。ハイ、スタート押して~と。」
「ちょ、ちょっと。きっつ~い 締めすぎちゃう
」
ヴィ~ン・・・ンゥィ~ン、 しかし、血圧計も簡単になったもんだ。
「ほら~、150~118 もあるやん。もうちょっと経ってからやろ。普通」
2分とたたずにまた、スタート押した。
「だからぁ~、まだ早いって」
「138~92、まだ高いかな。メモリー、メモリーっと。」
また、5分後・・、
「どれどれ、・・121~88、おっ平均なった。これをメモリーして・・っと。
30データ記録できるらしいで、これ。」
「ええやん、ええやん。これで、健康管理できるやん。」
そういいながら、自分のパソコンの前に腰を落とした。
ふう~ やっと、気が済んだか・・。
第十話、≪確認≫
「明日○月○日、午後一時からでしたね。間違いございませんね
では、お伺い致しますので宜しくお願いします。」
「はい、お待ちしております。」
「では今日、午後一時前に最寄りの駅に着いたら一度お電話しますね。」
授業の約束日・時間は、前回には取り付けておくのだが、一度、
家を出る時、慌ててしまって、うっかり確認の電話をするのを忘れたことがあった。
時間どおりにお宅へ伺ったのだが、お留守だった。ということがあった。
それからというもの必ず、確認の電話をするようにしていた。
ところが・・である。何度かけても電話に出ない
家に行っても留守。学院にも連絡なし。
ーーーうっそ~ 信じられな~い
(な~に考えてんでしょ!)
ーーー折角着物着て来たのに~ (やっと、着付けできる!言ってたのにぃ。)
と、初めは思うのだが、すぐに 、
『急な用事でもできたのだろう。もう帰って来るかも、後10分・・』
と思い直して、電話のある喫茶店で好きな本を読みながら待っていたり、
初めて来た所だったら、近くを散策したりして楽しんでいた。
いつまでも腹立たしく思うのは心に余裕がないから・・・
どんなに悪態をつく人でも、必ず一つは良いところがあるもんだ。
そう思って付き合ってみると、あ~ら 不思議・・
どんどん、良いところが見えてくるのである。
当時まだ、携帯電話も今のように広まってなかったので、
公衆電話が連絡手段だったが、探すのも一苦労だった。
・・・もしあの頃、ブログをやっていたなら、
カメラ片手に、ブログネタでも探しながら散策できて、
もっと楽しかったかも知れないなあ。。。
つづく。。。
第九話、≪わがまま≫
「だって、先生 今日しんどいねんもん。
」
「でも、ちょっとだけでも授業させてね。
さっ、一度でもいいから、体動かしましょうよ」
「折角先生来てくれはったんだから、お話しましょうよ~」
出たよ 出たっ
何よりおしゃべり好きな大阪のおばちゃんの本性が。。。
・・・唖然である。
違うでしょ!折角を使うなら「授業しよう。」じゃないの?
可笑しいよ、この人はっ・・。
しゃべりだしたら、もう~どうにも止まらない・・
そうなる前に少しでも、授業を進めるのだ (負けるものか!)
この生徒さんに限り、戦闘モードでお宅訪問である。
ーーー初めて本性表したときは、負けてしまったが・・。
(もう少し、授業の方の戦闘ならなんとかなったのだが・・)
得てしてこういう人は、何につけ出来る人であることが多い。
案の定、着付けも上手だった。
一度習ったけど、忘れたのでもう一度習いたいという人だった。
思うに忘れたのではなく、普段、着ないからそう思い込んでいるだけ、
じゃあないの
ーーーしかし、いろいろな生徒さんがいるものである。
ーーー今回の方は、まだ好感が持てる方である。
つづく。。。
第八話、≪授業≫
「少しでも、着付けを習ったことありますか」
「習ったけど忘れたってならないように、体で覚えていきましょうね。」
「頭で考えずに、手が勝手に動くようになるまで毎日練習して下さいね。
じゃあ、一緒にしてみましょうか」
一度はやったことある。でも着れない人が多いのである。
折角習うのだから、生徒さんにとってはやっぱりベテランの先生が
いいと思われるのは当然のこと。(見た目、年配が得)
そういや、私はベテランの先生をお願いしますっ。と言った覚えがある。
しっかりと教えてもらいたいので、とまで言ったのも思い出した。
自分が生徒になる前のことを思い出して、
自分のような生徒だったらいややなと、急に怖くなった。
勝手なものである。立場が違えば、こうも変わるものか
学院長の手ほどきで、「あー言えば、こー言う」 なんて方法も
少しはマスターした。(ちょっと、理屈っぽくなったかも・・)
質問攻めにあった時の逃げ方などもバッチリ (うまくいくかしら?)
OK OK
大丈夫
大丈夫
(ドキドキ、どきどき。。
)
半ば、自分に元気をつけながら授業を重ねて行った。
ーーー初めての生徒さんは、無事このまま最後まで行きそうだ。
ーーーさて、今度の方は・・っと。
つづく。。。
第七話、≪着装指導講師≫
「すっごくきれいに着れるよう、なってきはったね~
覚えも早いし。。素質あるから先生やってみませんか」
「えっ、でもまだまだ自信ありませんし、教えるなんて・・。」
「誰でも最初は自信ないのは当たり前ですよ。でも、人に教えることにより
自分の確かな技術となっていくものだと思いませんか」
当時、まだ高等の科ができていなかった。
復習講座へやってくる生徒の中から、学院長の目にとまった人だけが
声をかけられ、先生の道へと進むことができたのである。
ほめ上手な学院長に、おだて上手な講師陣。
ついその気になって、『着装指導講師』、(このとき初めて知ったのだが、
着装を指導する先生のことを、そう呼ぶらしい←そのままやん)になったのである。
この時代、生徒上がりの講師は少なく求人募集の講師の方が多かった。
こうして、着付けの生徒さんを受け持つこととなったのである。
その頃の私は、
教えるなんてとんでもない。(聞いてる方が大好きなのよ~ )
だって、話の進め方がわからない。(ほんとは話、へたなのよ)
うわ~、どうしょうしゃべれな~い。(・・・沈黙・・・)
どうして、どうして先生になったのさ。。
ー--と、内心ひやひやの連続だった。
ここで役にたったのが、復習会の講師陣のたわいない会話だった。
何でも好奇心を持って聞いておくのも為になるなあ。
後は、学院長直伝の、長時間にわたるトーク技術
ーーーこれが一番つらかった~
しかし、これが一番人生に役立っているなあと今になって思う。
つづく。。。
実は、顔文字ってめんどくさ~い
と思っていたんですよね。(いちいち入力してるのだとばかり・・)
昨日、お義母さんが使いだしたんですよ。
えっ、と思ってきいてみた。
「顔文字って入力したら、出てくんねんで~。雰囲気でつこたらいいんちゃう?」
おお、そうだったのか というわけで、昨日使ってみた。
そういや~、携帯電話も義母が先だったな。
絵文字も先に使ってたし・・。孫からみたら、
「なんか、ハイカラなかわいいおばあちゃん」だってさ
ホントにお久しぶり~です。
ファミリーレストランでランチってのは・・。ヽ(^o^)丿
お義母さんに誘われて、ちょっとそこのファミレスまで行ってきました。
最近、義父の腰の手術の後のリハビリでつきっきりなので、
「ストレス満杯~、ちょっと付き合って~!」 (^◇^)
とメールで呼び出されたのですが、これは、
義母の「ビール飲みた~い!」という、いつものサイン。
流石に、家の前の喫茶店では、真昼間からマダムがおビールなど
頼めませんものね。
ランチは主役メニューに、バイキングメニューが付いているらしく、なんか
おかずが満載なのです。サラダ・ごはん・ドリンクならわかるのですが・・。
「まっ、私たちにとってはその方がいいね。」 (^_-)-☆
と義母は二つ、ビールを二回、注文したのでした。
私はこの家に嫁いで、朝昼晩となんらjかのお酒が出てくるのには
最初、びっくりしたのですが、「飲むやろ?」「うん!」
が当たり前になってしまった自分がこわ~い。\(゜ロ\)(/ロ゜)/
まっ、とにかく、お義母さんがすがすがしく
「じゃ、また行こな~!」 と立ち去るすがたを見て,
ーーー私もちょっと似てきたかな? と感じた日なのでした。(^-^)
第六話、≪復習会≫
「おはようございま~す。初めてなんですが、宜しくお願いします」
「ふーん あの方も先生でいらっしゃるのですか
」
「あっ、あの方も。。えっ、あなたもそうですか」
・・どうやらここは、新米講師人のたまり場のようである。
月に一度の 『無料講習会』 なるものである。
今までに習ったことのみ、何度でも練習できる場らしいのだ。
そういや、最初の説明で 『月一度の講習会』 なんてものがある、と言っていたっけ
入場券や回数券でもう一度受けれますよ、なんてのはよくあるが、
何回参加してもよく、しかも、タダ(⇒私はこの言葉でここに決めたのだった)
何という良心的な学院なんでしょ。
だって、家でいくら復習したって、(一人じゃつまんな~いぃ)
勘違いしたままだったり、(知らぬが仏っ)
形が悪いまま練習したりじゃ、時間の無駄でしょうが・・(ほんま、ほんま
)
『タダより怖いものはない』ーーとも言うがぁ・・今はぁ横に置いといてぇ。。
まだまだ、着付けは奥が深い。
習いたての生徒さんよりも多い、新米講師の方々の復習会は、
凄くレベルが高く思えて、自分の復習はそっちのけで
講師の方々の技術を盗む会と、変化していったのである。
これが、後々とっても役に立つこととなるのである。
つづく。。。
『二重太鼓セッティング』の補足です。
上のが帯枕
下の方にたれが
めくれ上がらないよう綿が入っています。
これが、「お道具」とか「姿」とかよばれているものです。
きもの学院によって呼び方が違います。この形は進化系です。(当時の)
すべてのきもの学院が、扱っているとは限らないです。
ピンクの紐を胴にくくりつけると、もう落ちません。
この姿とお太鼓の間を巻いていくのです。両手があくのでしっかり締められます。
ギネス級の人でない限り、かなりなぽっちゃりさんでも大丈夫
食べすぎったってゆるめられる。
長距離旅行でもら~くらくな、すぐれものです。
今回は、「見たことあるけど、何に使うの?」という、
女性の方々のために、 致しました。