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うまいッ! NHK「ちゅら海の恵み“塩”~沖縄 粟国島~」

2024-01-17 07:58:43 | うまいッ!NHK

 うまいッ! 「ちゅら海の恵み“塩”~沖縄 粟国島~」 2012年09月23日

 番組内容
 沖縄県粟国島で作られる塩は、強いうまみと深いコクがあり、海外でも評判の塩。生産者の小渡幸信さんは、20年にわたり製塩を研究。「自然の力」にこだわって塩を作る。自然風を使って海水を濃縮、30時間かけて、じっくり煮つめるのだ。味を左右するのが「にがり」の量。煮詰めて出来た塩を細かくかき混ぜ、微妙に「にがり」を残している。番組では料理の出来を左右する「塩の使い方」も紹介。「塩」の魅力を徹底紹介する。

*https://www.nhk.or.jp/archives/chronicle/detail/?crnid=A201209230615001302100 より

 詳細不明につき、勝手に調べてみました。

 

 沖縄「美(ちゅ)ら海の塩」

 沖縄の海を島の人々は“美(ちゅ)ら海”と呼んでいます。青く澄んだ珊瑚礁の海にはさまざまな生命をはぐくむ生物の宝庫。この美ら海という言葉には、沖縄の人々の豊かな海の恵みへの感謝と誇りがこめられています。

 温暖な黒潮を“真潮”といい、そのきれいな海水から塩職人たちの手によってつくられるシママース(島の真塩)は、沖縄の人々の暮らしに深く溶け込んで、沖縄独自の食べものの文化を育んできました。

 わが国の塩業史では、沖縄・西南諸島の塩作りの歴史について、史実が極めて少ないですが、沖縄に本格的な塩づくりが発祥したのは、『湧川製塩伝説』によれば、12世紀、源為朝が伊豆の大島から逃れ、今帰仁の運天港に漂着し、湧川村の方法を浜の老人に製塩法を教えたという伝説があります。

 一方、1609年、薩摩の島津義久が琉球侵略を命じた折、運天港に上陸した年寄りの僧侶が、島民が海水で味付けするのを見て、竹の笊に泥を塗って天日で乾かし、塩鍋をつくり、海水を天日で晒して塩をつくる方法を村人たちに教えたという伝説が残っています。当時、鹿児島湾や天草の沿岸では、直径150㎝ほどの竹篭に石灰、砂を苦汁で練った粘土で塗り固めた「網代釜」が使われていましたが、竹富島の民具博物館に展示されていた大きな竹籠をみて、網代釜を連想した覚えがあります。

 沖縄における塩田は、1694年に薩摩の弓削次郎衛門が干潟や自然浜を利用して入浜式塩田を教えたのが始まりとされ、泊の塩浜から琉球諸島の島々に伝播していったという史実があります。

 四方を海に囲まれた沖縄では、泊、泡瀬、豊見代、美里、具志川、今帰川など、各地にある入浜式塩田の土地の名をとって、泡瀬マース、泊マース、与根マースなどとよばれ、戦前は本土にも移出した良質な塩がつくられていました。                    

 太平洋戦争の戦火で200年の歴史を持ち、島の塩の消費量の75%を占めていた泡瀬の塩田と製塩工場が焼失しましたが、戦後すぐに塩業組合、沖縄製塩が設立され、念願のシママースが復興しました。島民のシママースへの強い思いがその原動力になったのです。

 シママース復活の「青い海」

 島民の間から、「ヤマトマース(本土の塩)はおかしい」という疑問の声があがり、シママース復活の期待が一挙に盛り上がってきたのです。マーケットでは専売の並塩を海水で炊き直した密造塩が飛ぶように売れたといわれます。

 しだいに沖縄の海水を使った塩田を復活させて沖縄の食文化を守ろうという機運が高まってきます。こうした島民の思いを背景に、自然食のCI協会の知念隆一氏を中心にした有志が集い、シママース復活に立ち上がります。それが現在の「青い海」です。 

 政府にくりかえしシママースの製塩を求めて陳情しました。そして昭和49年(1974)に日本専売公社から「特殊用塩」として、公社が輸入する天日塩の使用を条件に、海水で溶解し再結晶する再製塩の生産が認められます。

 青い海は、沖縄の製塩工場「沖縄1号」として許可され、7年ぶりに宿願の沖縄の塩、シママースが再現しました。

 1997年4月に塩専売法が廃止となり、新たな塩事業法に変わり、海水から直接塩をつくることが可能になり、青い海の設立当初からの念願であった沖縄の海水100%を原料にした自然海塩が誕生したのです。

 糸満の沖合2000mのきれいな海水を引き込み、国内最大の平釜で一週間、じっくりと時間をかけて煮詰め濃縮する、塩本来の味をつくり上げていきます。こうしてできた粗塩は、杉の木箱に入れて寝かせ、にがりを切って、しっとりとした昔ながらの平釜仕込みの塩に仕上げられます。

 本土でも同時期に塩田復活運動が起きていましたが、それは純度の高いイオン塩の人体への安全性が論争の焦点になったのに対し、沖縄では「味の質」を問う、沖縄の食文化を守る「味の自決権」を主張する色彩が強い復活運動になっています。

 今日では、塩の自由化により、琉球諸島ではミネラル豊富な美の海の海水を使い、昔ながらの平釜焚きの塩、海水を噴霧してつくる塩など、多彩なシママースが塩市場を賑わせています。

 沖縄の海水を100%原料にした自然再製塩実現の道を開いたのは青い海です。「沖縄の豊かな食文化を支える」という塩の普遍的な価値を提唱する「味の自決権」の精神が、今も脈々と青い海に息づいています。

 身体に優しい「いのちの塩」

 “いのちを守る塩” 自然海塩を黒潮のきれいな海水から再現しようと、ひとりの塩づくりの匠が挑戦しました。粟国島に「粟国の塩」を創業した沖縄海塩研究所の小渡幸信所長です。昭和50年(1975)、自然塩復活運動の中心的な存在であった「食用塩調査会谷克彦(故人)が伝統的な製塩法の研究・開発に沖縄に移住したとき、読谷村都屋の用地700坪を借り、揚浜式塩田をつくり、彼と一緒に理想の塩づくりをしていた経験があります。

 その後、谷は熱エネルギーを使わないタワー式の製塩による自然海塩をつくるために沖縄を去り伊豆大島に移りますが、小渡氏はひとり沖縄に残り、タイル業を営みながら粟国島に風力による自然蒸発する立体式タワーを実現したのです。

 塩づくりに自然海塩をつくるには、なによりもきれいな海水が必須の条件だというこだわりをもっていたので、沖縄の島々を探し求めた結果、那覇から北西へ約60キロも離れた珊瑚礁のきれいな海水が採れる粟国島を選んだ理由です。

 小渡氏は、すでにこのときタイル職人の世界では名声を博していましたが、それを捨ててまで海づくりを始めた動機は、若いころ体が弱かったので自然食の療法をしていた過去があり、身体によい自然海塩への強い思いがあったからだといいます。

 塩づくりの作業場に一歩踏み込むと、白いタイルの清潔感が溢れ、タイル職人だからこそできた設備だと感じます。隣のブロックを積み上げた高さ10mのタワーの内部をのぞくと、水滴が太陽の光でキラキラと輝いて降り注いでいます。

 15000本もの竹の枝が逆さに吊るされ、海水をポンプでタワーの上まで汲み上げ天井から流すと、竹の枝を伝わって落ちる海水は、タワーを吹き抜ける海風で蒸発し、濃縮していきます。

 風と太陽熱で7日間、自然蒸発させて海水の六倍ほどの濃度になると、平釜に入れて15時間かけてゆっくり薪で炊きあげるのです。普通、小規模な平釜では、重油がつかわれるケースがありますが、粟国の塩は、薪でじっくり焚かれます。

 薪の炎は、なべ底をなめるように広がっていき、その遠赤外線の効果が結晶の育ち具合や味に微妙に影響するからだといわれます。

 濃縮塩水の沸いてくると、平釜に向かって塩の結晶を育てるように、木の柄で休みなく丹念にかき混ぜる作業を黙々と続けます。浮き上がってくる石膏などを取り除かれた塩の結晶が釜から採りだされ、木箱に入れて7日間かけて脱水・自然乾燥してできあがります。やや湿り気を帯び、わずかに木成り色をした塩で甘味のある塩で、塩づくりでとくに気を配っているのは、にがりの度合いだといわれています。

 小渡所長が敬愛する谷は、「塩の生命は海水に含まれている多くの微量ミネラルのバランスにあり、専売のイオン交換膜の塩は、塩に似て非なるものだ」という言葉を遺し、それを常に心に刻んで塩づくりをしているとのことです。

 小渡氏は「いのちは海からという言葉は、私の塩づくとりの原点です。自然に感謝しながら、できるだけ海水に近いミネラルバランスをもった自然海塩をつくっていきたい」と熱く語ってくれました。

 「海は身体の中でいのちの海となる」。粟国の塩のパンフレットに書かれている一節です。長い歳月にわたり塩づくりを支えてきたのは、身体に優しい塩への熱い思いであったのではないでしょうか。わが国の「美味ししい塩の系譜」を伝承している、塩の歴史に刻んでおきたい伝説の塩職人です。  *粟国の塩 伝統的な平釜焚きする小渡幸信所長

*https://saltstory.wordpress.com/2014/01/14/%E6%9C%80%E7%B5%82%E7%AB%A0%E3%80%80%EF%BC%92%EF%BC%91%E4%B8%96%E7%B4%80%E3%81%AE%E5%A1%A9%E3%82%92%E6%B1%82%E3%82%81%E3%81%A6/ より

 


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