登録番号 第25号 特産松阪牛
特定農林水産物等の区分 第6類 生鮮肉類 牛肉
特定農林水産物等の生産地 平成16年11月1日当時の行政区画名としての22市町村(松阪市、津市、伊勢市、久居市、香良洲町、一志町、白山町、嬉野町、美杉村、三雲町、飯南町、飯高町、多気町、明和町、大台町、勢和村、宮川村、玉城町、小俣町、大宮町、御薗村、度会町)
登録生産者団体 松阪牛連絡協議会
特定農林水産物等の特性 特産松阪牛は、兵庫県で生まれた黒毛和種の未経産雌牛を12ヶ月齢に達するまでに、平成16年11月1日当時の22市町村の区域内(以下、「生産地」という。)に導入し、生産地のみで900日以上肥育し、かつ、生産地における肥育期間が最長かつ最終である、最も伝統的な最たる松阪牛を称するものである。
特産松阪牛は、古くから兵庫県で生まれた未経産の雌牛だけを、生産地で他産地よりも長い期間肥育し、特産松阪牛の枝重は雌牛の全国平均と比較して約70kg(資料1(PDF : 46KB))も少ないが、その兵庫県産雌牛が故の増体面の不利性を補って余りあるほどに肉質が探求されてきた。長い歴史の中で、特産松阪牛の特徴であるキメ細かなサシと甘く上品な香り、人肌で溶ける脂質に由来する最高の食味が、今日の評価に至っている。
理化学的分野からも、同じ30ケ月齢の黒毛和種での現場検定において、一価不飽和脂肪酸(MUFA)割合は雌63.3%と去勢の60.1%と比較して相当高いことが判明している。またMUFAは22~34ケ月齢においては肥育期間が1ケ月長くなるごとに約0.5%増加することが分かってきた。不飽和脂肪酸が多く含まれることで脂肪が溶け出す温度が低くなる。
これらのことは、特産松阪牛が900日以上もの長期に渡り生産者の手で1頭1頭手塩にかけ肥育していると言われる所以であり、昔から特産松阪牛は柔らかく脂がとろけるような舌触りと形容されてきたことを説明する根拠となっている。
特産松阪牛はそのキメ細かなサシと食味は抜群であるものの、増体面の効率に劣る兵庫県産素牛を長期肥育するという不利性は否めないが、長期肥育に耐えられる剛健な牛を厳選し、黎明期より確立した長期肥育の技術を末永く伝承していくため、優良素牛を広く全国から導入する今日にあっても、産地として志向する最たるものとして、兵庫県産の雌子牛を導入し長期肥育する特産松阪牛の飼養の継続が強く奨励されてきた。
多くの他産地では、肉質等級等によってブランド牛として差別化しているのに対し、生産地では、多くの生産者がこの特産松阪牛を飼い続けることで特産松阪牛たる技術を伝え、特産松阪牛だけが出場できる松阪牛共進会での栄誉を目指し切磋琢磨し続けることでさらにその技術を高め、品質維持に繋げている。
これらの非効率とも言える独自の技術伝承方法が、高いブランド価値の裏付けとして評価されている。
生産地では、長年、雌の子牛に特化した長期肥育の技法により育てた特産松阪牛を、消費者に安心な食材として提供するため、松阪牛関係団体で構築した農家情報をはじめ、牛の血統、飼養管理情報、と畜情報、生まれてからの日数等を整備し、消費者がより多くの情報を得ることができることとなっている。
平成26年度の松阪牛の生産状況は、出荷頭数6,951頭、現在の登録数は、11,080頭となっており、これらすべての個体情報を徹底管理している。
中でも特産松阪牛の出荷は、239頭と少ないが、松阪牛の生産者の中でも1頭でも兵庫県産の雌子牛を導入し特産松阪牛に取組む生産者を「特産松阪牛推進農家」として認定し、3年間に導入が確認できなければ認定を取り消すなど、特産松阪牛の長期肥育の伝統を継承することで、その技術が大いに活かされ、特産松阪牛の出荷頭数から格付割合を見るとAB5等級、AB4等級が約83%と高い格付等級の特産松阪牛が作り出される。
今も伝統を継承し続けることで、現在でも、数ある和牛ブランドの中でトップブランドの評価を得ている。
特産松阪牛のニューヨーク初となるお披露目試食会が2015年1月24日に開催され、現地のレストラン、食品関係者や、メディア関係者からは、900日以上肥育することの驚きの声や、上質な脂肪分が多くてジューシーで美味しいとの評価を得ている。
2013年には、松阪牛の歴史、伝統を紹介する書籍「SUKIYAKI」が出版され、特産松阪牛「グルマン世界料理本大賞2013」世界NO.1グランプリを受賞。
また、昭和24年に初めて松阪で開催された品評会(現在の松阪肉牛共進会)は、現在でも毎年11月に特産松阪牛の女王を決める品評会として開催しており、平成14年の優秀賞1席牛には5千万円の高値がついたことが知られている。
地域との結び付き -
*https://www.maff.go.jp/j/shokusan/gi_act/register/25.html より
特産松阪牛は、兵庫県で生まれた12ヶ月齢までの黒毛和種の未経産雌牛を厳選し、三重県内の松阪市ほか指定された市町村の区域内に導入し、その生産地のみで900日以上肥育し、かつ、その生産地で肥育を終える肉用牛です。その肉質は、キメ細かなサシと甘く上品な香り、そして柔らかく脂がとろけるような舌触りが特徴です。脂肪成分を分析すると、同じ30ケ月齢の黒毛和種と比較して、一価不飽和脂肪酸(MUFA)割合が高いことが確認されます。不飽和脂肪酸が多く含まれることにより脂肪が溶け出す温度が低くなりますので、昔から特産松阪牛は柔らかく脂がとろけるような舌触りと形容されてきたことを裏付ける結果と言えます。
兵庫県産素牛は、キメ細かなサシと食味は抜群であるものの、増体が効率的でなく長期肥育が必要とされる点では経営的に不利ですが、群を抜くキメ細かなサシと食味を求めて、「特産松阪牛」として飼養する技術が形成され、伝承されてきました。
導入した子牛は、900日以上に及ぶ長期肥育に耐え得る様、13ヶ月齢まで「腹づくり」を主眼においた飼養が行われます。すなわち、ルーメンと呼ばれる第1胃をできるだけ大きく、また胃壁や胃の筋肉を強くすることが重要であるため、咀嚼時間が長くなるように、できるだけ繊維質が多く硬めの粗飼料を与えます。次いで22ヶ月齢までは、ロースなど価値が高い筋肉を発達させることに主眼を置いた肥育期になります。筋肉を大きくするため、粗タンパク含量が高めの濃厚飼料を多給します。また霜降り肉をつくるための技術として、血中ビタミンA濃度の調整を行う場合もあります。
平均月齢41ヶ月の出荷までが、最終的な仕上げの肥育期です。筋肉内の脂肪細胞を大きくして、きれいな霜降り肉に仕上げるために、タンパク質含量は抑え、デンプン質を高めた濃厚飼料を多給します。
この地域には、雲出川、宮川、櫛田川と三つの河川が流れており、これらの流れによる豊富な水や肥沃な土地、温暖な気候により、古来から水田作を中心とする豊かな農耕文化が定着し、役牛として扱いやすく従順な兵庫県産の雌牛が盛んに導入されました。これらの役牛は次第に肥育されるようになり、今日の特産松阪牛のルーツとなりました。
古くよりこの地域は、京都・大阪、名古屋、東京の各方面からお伊勢参りを目指す多くの人々の往来があり、その往来に伴って兵庫県産の素牛が導入され、肥育された牛が都市部に出荷されるという形態の交易が発展していきました。その過程で、この地域の先人たちが長期肥育による肉質の探求にいち早く特化しその長期肥育の技術を継承したことで、ブランド和牛として確固たる地位を得るに至りました。
*https://gi-act.maff.go.jp/register/entry/25.html より
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