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<B級ご当地グルメ> 沖縄 沖縄の天ぷら

2025-03-06 07:41:21 | B級ご当地グルメ

 「沖縄の天ぷら」

 琉球王朝文化を感じる固い衣が特徴
 めずらしい「タネのない天ぷら」も
 活気溢れる牧志公設市場。沖縄の食材が何でも揃う、まさに沖縄の台所。
 豊かな自然、美しい海、そして、温暖な気候に包まれた沖縄。ここでは、食べ物を「ヌチグスイ」と呼びます。その意味は、「命の薬」。 日本一長寿の秘訣は、気候や環境のほか、食べ物にもありそうです。

 「現在の沖縄の食文化は、主に2つの流れを受けています」と沖縄料理学校の校長。1つは、琉球王朝時代より受け継がれる「琉球料理」からの流れ。チャンプルーや天ぷらなどが、その代表的な料理でしょうか。もう1つは、戦後、地域を統治したアメリカの食文化からの流れ。タコライス、ランチョンミートを使った料理などがこちらです。最近では、チャンプルーにランチョンミートを使うなど、2つの流れを上手にミックスしながら、新たな沖縄料理に進化しています。

 衣が厚く、腹持ちが良いため
 おやつとしても人気
 沖縄の天ぷらは、琉球文化において、祝い事や法事などの席で、豚肉、大根、昆布の煮しめ、カステラカマボコ、揚げ豆腐などとともに、重箱に詰めて振る舞われました。最近では、おもてなしや行事の場だけでなく、家庭料理としてもよく食べるのだとか。

 那覇市の目抜き通りである国際通りと接した牧志公設市場では、市場内の天ぷら店で、男性が袋いっぱいの天ぷらを買い求めていました。「おかずとしてだけでなく、3時のおやつとして食べることも多いんですよ」とのこと。これから職場の仲間に振る舞い、お茶のおともにするといいます。 女性には、イモやヤサイ(エンドウ豆)が人気。男性にはイカ、魚が人気なのだそうです。

 浦添市にある大型スーパーでも、やはり天ぷらが人気。チキンや魚のから揚げの隣に、アラカルトで買える天ぷらのコーナーがあります。 並んでいるのは、イカ、エビ、サツマイモのほか、紅イモ、モズク、アオサなど、沖縄ならではの天ぷらも。値段は、1つ50~100円前後。サーターアンダギーも、天ぷらコーナーに置かれています。
 スーパー惣菜事業部のバイヤーさんによれば、人気は定番の魚の天ぷら。白身魚をスティック状にカットして揚げた天ぷらです。 「魚の種類は日によって様々ですが、今日はキングという魚。沖縄の人はわりと濃い味のものが好きなので、魚はあらかじめ塩水加工をほどこしたものを使っています。
 生地にも味がついてますので、何もつけずにそのまま食べる人が多いですね。若い人では、さらにウスターソースをかける人もいます」

 ザクッとした衣の食感は沖縄の水にあり
 スティック状の魚の芯をポテッとした衣で包み天ぷらを揚げます。スティック状の魚の芯をポテッとした衣で包み天ぷらを揚げます。
 スティック状の魚の芯をポテッとした衣で包み天ぷらを揚げます。

 沖縄の天ぷらは、衣が厚く、固めなのが特徴。また、天ぷらのタネ(魚や野菜など)を、沖縄では「芯」と呼びます。ちなみに、うどんやソバに乗せたり、ご飯に乗せて天丼として食べることはほとんどないそうです。
 本土では、エビ、白身の魚、山菜などの「タネ」に、衣を〝からめ〟て揚げます。沖縄の天ぷらは、衣が厚く、固めであるため、イモ、イカ、メカジキ、エンドウ豆などの「芯」を〝包む〟ように衣をつけ、揚げます。粘り気があるため、楽にモズクなどを包んで揚げることもできます。

 衣が厚く、固い理由は、ベーキンパウダーを使わず、卵を多く使うため。また、水にも実は理由があります。
 「大きな違いは、水」と、製粉会社の研究開発室の主任さん。
 「本土では、衣を作る時、氷水を使って小麦粉のグルテンの働きを抑え、サクサク感を出します。沖縄では氷水を使ってもすぐにぬるくなってしまいますので、最初から水道水を使います。沖縄の水はアルカリ性の硬水なので、グルテンが出やすくなり、粘り気が出ます。それで、揚げるとザクッとした食感になるのです」

 「芯」のない天ぷらはカツオだしの豊かな風味
 めずらしいのは、衣の天ぷら。つまり、「芯(タネ)」のない天ぷらです。
 名前は、カタハランブー。「片側が重たい」という意味の名前の通り、片側が大きく、もう片方が薄い形をしています。サイズは、女性の手の平ほど。
 カタハランブーは、おもに子孫繁栄などの願いを込めて、結納などの縁起物として食べられているのだとか。その際には、サーターアンダギーとセットで振る舞われることが多く、  そのため、白アンダギーとも呼ばれるそうです。
 「昔はおやつ感覚で食べられていましたが、今は家ではあまり作られなくなりました。天ぷら屋さんでも、常時置いてあるところは限られています」と、前出の製粉会社の主任さん。
 それでも、しきたりを重んじる家では、天ぷら屋さんにあらかじめ注文し、カタハランブーとサーターアンダギーをセットにして、結納のお土産に持たせることもまだあるそうです。
 薄い部分はパリパリした食感、厚い部分は固めの衣の独特な食感を楽しむことができます。さらに、琉球料理の基本のだしであるカツオのうまみも味わうことができます。
 なかなかお目にかかれないカタハランブーですが、シンプルな味の向こう側に、琉球王朝時代から続く、沖縄の天ぷらそのもののおいしさを感じることができます。

 この“沖縄の天ぷら”、ご家庭でも簡単に作ることができます。塩気のきいた、厚めの衣が沖縄の食材を引き立てます。
 ご当地の味を是非、ご家庭で試してみてはいかがでしょう。

*https://www.nisshin-oillio.com/report/kikou/vol11.html より


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