ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

自民総裁戦

2018-08-31 16:26:14 | 徒然の記

 8月18日から、共同通信社が、千葉日報に表記のタイトルで、連載記事を配信しています。上中下の三回シリーズです。

 偏向記事より、読書を優先しているので、8月19日までしか読んでいませんが、意見を述べるには、これで十分です。安倍総理と石破氏の顔写真を並べ。それぞれの主張を囲み枠で対比させています。上下二回の主張を、そのまま並べてみました。

  [ 安倍総理 ]

   1. 次期国会に、自民党憲法案の提出をめざす。いつまでも、議論ばかり続けない。

   2. 戦力不保持の9条2項を保持し、自衛隊を明記するのが現実的だ。

   3. 「安倍一強」といわれるが、私は極めて融和的な人間だ。

   4. 旧民主党政権は、「決められない政治」。官邸主導で、機動的な政策展開が可能となった。

   [ 石 破 氏 ]

   1. 9条は緊急性が低い。スケジュールありきで、行くべきでない。

   2. 合区解消や、緊急事態条項の新設を優先すべきだ。

   3. 私は正直で公正、そして謙虚で丁寧な政治をつくりたい。

   4. 党紀刷新、官邸の信頼回復を掲げ、一強政治を改める。

  憲法改正について、正論を述べているのは、石破氏です。安倍氏のように、9条2項を残したまま、自衛隊を明記すれば、複雑な憲法がさらにややこしくなります。解釈の積み重ねで、自衛隊を合憲にしていますから、このうえまた解釈を付加するのでは、つぎはぎだらけの憲法になります、

 しかし石破氏の正論は、現在の日本の状況を考えれば、とても実現性がありません。2項の削除ができないばかりに、戦後73年が空費されてきました。この状況で正論を述べるというのは、「憲法改正反対」を主張していることに他なりません。そこが分かっているから、「9条は緊急性が低い。スケジュールありきで、行くべきでない。」という発言が出てきます。

 敗戦以来の保守自民党の党是であり、現在では多くの国民の悲願ともなった「憲法改正」を、かくも軽々しく扱う人物が総理になるなど、私にはとうてい考えられません。国の安全保障体制をいびつなままにし、国の独立を望まないというのなら、石破氏は総裁候補どころか、自民党の議員としても不要な人物です。

 ネットの情報では、野党から石破氏へ、「反安倍」「憲法反対」で結集しないかと、再度の離党の勧めがあったと言われています。ガサネタの多いネット情報ですが、そもそもこんな話が最もらしく出てくるところからして、石破氏の資質が問われます。

 しかも石破氏は、女性宮家創設の賛同者です。女性宮家の創設は、やがて皇室の崩壊をもたらす、アリの一穴ですが、氏は考慮していません。「男女平等の時代だから、」などと、お花畑の国民へリップサーピスし、日本の歴史や文化への、知識の欠如を公言しています。

 軍事オタクと言われるほど、軍艦や戦車の名前など、軍事については知識が深いのでしょうが、日本の基本となる政策で無知、無能を晒しながら、よくも総裁選に手を挙げたものです。

 1. 憲法を改正し、自国の軍隊を持ち、独立国としての日本を国際社会で明確にする。

 2. 日本の中心である皇室を守り、培われてきた、歴史と伝統と文化を守る。

 反日・左翼が目の敵にし、崩壊させようとしてきた、この二つこそが、自民党総裁としての政策であり、議論されるべき争点です。私は安倍氏の、グローバリゼーションに偏った経済政策や、安易な外国人受け入れ策には、大反対ですが、それでも石破に比べれば、よりマシな総理です。

 昨日まで、私が取り上げたブログの、日露戦争や朝鮮戦争や、国際政治の力のせめぎ合いが少しでも頭にあれば、石破氏の言葉は、「児戯に等しい、たわ言」と、分かります。

  「私は正直で公正、そして謙虚で丁寧な政治をつくりたい。」

  「党紀刷新、官邸の信頼回復を掲げ、一強政治を改める。」

 海千山千の政治家が、自国のエゴをむき出しに、権謀術作で戦う国際社会で、こんな寝言が通じましょうか。これは、いかに氏が、国民のレベルを低く見ているのかとという、証拠でもあります。「モリ・カケ問題」で、曖昧な答弁しかできなかった、総理を揶揄した悪意のスローガンでしかありません。

 現在の日本において、こんな些事で日本の総理を辞めさせたがるのは、反日・左翼の「お花畑の住民」くらいです。多くの国民の判断基準は、石破氏の考えている以上にレベルが高く、まともな思考をしています。国を大切にする国民の気持ちも、斟酌できないような議員が、なんで自民党に在籍しているのか。

  私に言わせれば、総裁選以前の問題です。

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日露戦争 - 7 ( 日露戦争の戦費について )

2018-08-31 00:24:34 | 徒然の記

 本日はロシアに関する、古屋氏の簡潔な説明を紹介します。 

 「世界一の陸軍国として自負を持つ、ロシアの支配階級には、日本との戦争に敗北するなどという懸念を抱く者はいなかった。」「ロシアが撤兵した後、日本や他の列国が入り込んで来ることは、ロシアの利権を弱め地域の安全をおびやかすという主張が高まっていた。」

 「国家の安全のため朝鮮を支配して防壁とし、その外側にさらに利権を扶植し、防壁の安全を図ろうとする日本側の論理も、論理のたてかたはロシアと同じであった。同じであったからこそ、両国の衝突は避けられなくなってきたのであった。」

  満州からの撤兵と、朝鮮への侵入に関し、日本とロシアは何度も会談を行いますが一向に進展せず、世論は次第に主戦論へと熱く傾いていきました。

 「新聞は、ロシアとの戦争は最早避けえないとするムードを煽り、政府は無為無策であると激しい言葉で非難した。」

 平成の今はNHKと朝日新聞が先頭に立ち、「平和を守れ」「戦争は絶対反対」と叫んでいますが、明治時代はマスコミが戦争を扇動していました。

  氏の本に戻ります。日露戦争に際しての、清国の中立化という課題です。

 「12月の閣議では、開戦の場合の清国と韓国に対する方針を決定した。」「まず清国は、日本の側に参戦させることなく、中立を取らせることが肝要だとした。」「清国を日本側に参戦させれば、欧米人一般への反抗を誘発し、義和団事件の再現となるやもしれない。」

 「それは清朝の内乱・革命へとつながり、列強がたちまち干渉をし、利権の奪取へ狂奔するであろう。」「列強の利権を、全身に背負い込んでいる清国を動かしてはならず、中立を取らせ、秩序と統一を保たせるのが良いというのであった。」

 清国はこの勧告を受け入れ、開戦直後に中立を宣言します。しかし韓国については、簡単にいきません。

  「韓国皇帝は日本に反感を持っており、反日派の勢力も強く、韓国皇帝は日露両国に使者を送り、局外中立を認めるよう要請するなどしていた。」「日本が最も心配したのは日清戦争の翌年、皇帝がロシア大使館へ逃げ込み、親日政権の打倒を命じたような事態が再現することであった。」

 「京城では、皇帝がロシアの同盟国である、フランス公使館へ逃げ込むのではないかという風評が流れていた。」「日本がロシアとの交渉で、最後まで朝鮮の支配力確保の条項に固執したのは、こういう事情からであった。」

 明治37年の2月、日本はロシアに宣戦布告し、日露戦争始まりました。戦争は翌年の9月まで続き、満州を主戦場として、旅順攻撃、遼陽の戦い、ロシア艦隊との海戦、そして最後には日本海海戦でのバルチック艦隊との戦いでした。

 戦費という点からの氏の説明は、私の知らない日露戦争の内情です。

 「開戦の主戦論者である井口少将は、日清戦争の戦費が2億2千万円であったことと対比し、日露戦争では5億円あれば足りると考えていた。」

 「国庫で負担できるのは、1億5千万円であるから、残りを同盟国のイギリスからの外債で賄うと構想していた。」「逆算して言えば、地理的にはハルビンまで、時間的には、戦争を1年と限定していることとなる。」

 「これに対して児玉参謀次長は、8億円と予想したと言われるが、実際には約20億円と、予想をはるかに上回る金額となった。」「増税で賄われたのは2億1千5百万円に過ぎず、78パーセントは内外からの公債、特に英米市場を中心とする外債に依存にした。」

 「そこから当然、イギリス、アメリカへの依存という事態が生まれる。」「財政的な面での依存と同時に、適当な時期に戦争に待ったをかけてくれる、調停者になってもらうという依存だった。」「いろいろな弱点を知る日本政府の首脳は、出来るだけ早い時期の講和の実現を、最初から明確に認識していた。つまり講和条件を懐にしながら、戦争を始めたのであった。」

  「薄氷を踏む思いで戦った戦争だった。」というのは、公然の事実です。長期戦になれば、戦費がなくなるだけでなく、伸びきった前線への補給手段もありませんでした。

 日露戦争時の指導者たちが、日本の国力を弁え、長期戦を避け、講和の決意を忘れなかったのは偉業だと、そんな気がします。

 書評はやっと190ページで、残りが50ページほどありますが、このあたりで古屋教授とお別れしたくなりました。

 貴重な事実を沢山教えて頂きましたが、自分の国を愛せない方の意見を紹介する作業に、意欲を削がれています。日本を褒める必要はないとしても、軍国主義の日本が侵略したという視点でだけで説明されると、不快感が生じます。ロシア、イギリス、ドイツ、フランス、そして清国でさえ、軍国主義国で武力の信奉者なのに、氏はなぜ日本だけに厳しい批判の目を向けるのか、本は最後まで読みましたが、書評を続ける気持ちが消えました。

 無知を開いてくれた氏に感謝しつつ、不愉快にも感じつつこれで終わります。

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