ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

「おことば」をめぐる諸事実について - 3 ( 講談社プラスα文庫 )

2025-01-08 16:08:18 | 徒然の記

 「ねこ庭」の知らなかった事実が一つ見つかると、関連する新事実が出てきます。新事実が出てくると、当然「ねこ庭」の意見は修正を促されます。

 平成28年8月8日の「おことば」は、上皇陛下の個人的な意見でなく、国民の立場を常に思われている陛下の御心とコメントを寄せられた方が、正しかったことになります。

 陛下は、お言葉の中で次のように述べられていました。

 〈 天皇が健康を損ない、深刻な状態に立ち至った場合、これまでにも見られたように、社会が停滞し、国民の暮らしにも様々な影響が及ぶことが懸念されます。〉

 ご自分の最後に際しては、昭和天皇のように長い期間、国民の暮らしに重い負担をかけたくない、社会を停滞させてはならないというお気持ちを述べられていたことがやっと理解できました。

 NHKの報道と、「戦後っ子」堀氏の遠慮のない記事の効用で、上皇陛下の真摯なお気持ちが伝わりました。

 そうなりますと、陛下の「おことば」に風岡長官の意見が強く影響しているという、「ねこ庭」の推測が揺らいできます。

  ・平成28年8月8日の陛下の「おことば」は、陛下ご自身の言葉だったのだろうか ? 

 この視点からデータを探しますと、言論の自由な日本なので、やはり情報が見つかりました。

 平成6年に、講談社プラスα文庫が出版した、『共同通信社 社会部』という本です。著者名の部分に、共同通信社社会部編  (高橋宏氏著 )と書かれています。高橋氏は共同通信社の社会部部長なので、実質の著者でしょうか。

 上皇陛下について、氏が次のように述べていました。

  ・天皇の几帳面な性格も、随所に現れている。

  ・例えば国賓が来日した際の、贈り物の交換だ。

  ・日本側からは陶器の花瓶や、蒔絵の宝石箱などを贈るが、天皇は自ら相手国によって何が一番ふさわしいか、じっくり、吟味して決める。

  ・気配りを示す、一例とも言える。

 氏も戦後世代の人物なのか、堀氏同様陛下に敬語や丁寧語を使いません。

  ・昭和天皇は、全部側近任せだった。

  ・今の天皇は、何かにつけて細かい面があり、来日直前まで決まらずやきもきすると漏らす、宮内庁職員もいる。

  ・お言葉にもぎりぎりまで手を入れるため、なかなか、決定版ができないこともあるという。

 昭和天皇のときには、こうした皇室の私的なことは外に漏れませんでしたが、平成時代以後は、良い悪いのお構いなしに「開かれた皇室」が進みます。

 氏に説明されなくても、上皇陛下がなぜこのように慎重なのか、「開かれ過ぎた皇室」のお陰で国民が既に知っています。

  ・陛下は天皇の座に就かれる以前から、なにごとも美智子様とご相談の上で決められている。

  ・「男女平等」を信条とされる陛下は、すべてお二人で相談され、しかもそれを国民に隠されず、「開かれた皇室」を作ろうと努力されている。

 「温故知新の読書」で「おおよそは知っていましたが、氏が説明するように具代的な事実は稀に知るくらいです。

 国賓への贈り物がなかなか決まらないのも、お言葉のお手入れに時間がかかるのも、美智子様の同意無しに陛下が先へ進まれないからです。

 陛下への美智子様の影響力については過去記事で書き、苦しい思いをその度にしました。しかし今回は、苦しくても「ねこ庭」の二つの推測を訂正しなくてなりません。

  1.  平成28年8月8日の陛下の「おことば」は、陛下と美智子様で推敲されたお言葉だった 

  2.  風岡宮内庁長官の影響力は、ほとんどなかった。

 この視点からネット内を探しますと、やはり情報が見つかりました。平成21年9月の文芸春秋に掲載されている、皇室問題に関する6人の対談記事です。

 出席者の名前は、ノンフィクション作家保坂正康氏、ジャーナリスト櫻井よしこ氏、皇室研究家高橋紘氏、朝日新聞編集委員岩井克己氏、精神科医香山リカ氏などでした。

 ここまで書いて「皇室研究家高橋紘氏」のところで手が止まりました。この高橋氏は、先程紹介した共同通信社社会部長の高橋氏と同一人物なのだろうか。それとも、同姓同名の別人なのか。

 ウィキペディアで経歴を調べますと、驚く事実が判明しました。

 〈 高橋紘 ( ひろし  )氏の経歴 〉 ・・ジャーナリスト、皇室研究者

   ・昭和16年12月東京都生まれ、平成23年9月死去  ( 69 ) 才

   ・早稲田大学卒業後、昭和40年共同通信社入社

   ・社会部部長・仙台支社長、ラジオ・テレビ局長、取締役事業本部長などを経て退職

   ・平成17年小泉政権下での、「皇室典範に関する有識者会議」のメンバー

   ・皇位継承問題に関し、女系天皇化を主張   

   ・平成20年まで、静岡福祉大学社会福祉学部教授(専攻・皇室制度、近現代日本史)   

   ・平成23年9月30日に、転移性肝がんのため東京都内の病院で死去

 こういう人が「皇室典範に関する有識者会議」のメンバーであったとは、驚きが隠せません。その後大学教授となり、皇室制度について学生に講義をしていたのですから、「事実は小説より奇なり」とはこのことでしょうか。

 気持を落ち着かせて続きにかかろうと思いますので、少し時間を頂きたいと思います。

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