ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

天皇陛下の「おことば」 - 2( ウィキペディアの解説 )

2025-01-04 19:40:58 | 徒然の記

 陛下の「おことば」に続き、今回からウィキペディアとBBC NEWSの解説を紹介します。

 重要な事柄なので、なるべく客観的な事実を息子たちと「ねこ庭」を訪問される方々へお伝えしたいと考えています。「ねこ庭」のコメントは、その後で述べたいと思います。

 〈 ウィキペディアの解説 〉

  ・平成28年7月13日にNHKが『NHKニュース7 』の冒頭において、「天皇が数年内の生前退位(当時の皇太子徳仁親王への譲位)の意向を示していることが、宮内庁関係者への取材で分かった」とスクープした。

  ・宮内庁側は、(報道されたようなことは)「あり得ない」「事実とは異なる」等といったように否定をしたが

  ・5月半ばから、風岡典之宮内庁長官や河相周夫 ( かわい ちかお ) 侍従長らの会合で検討が進められてきていたと修正され、8月4日に、天皇自身による「おことば」が放送されることが発表された

  ・8月7日に皇居宮殿・表御座所(執務棟)において皇后美智子の立ち合いの下、「おことば」の朗読を収録し、

  ・翌8日15時をもって解禁、公共放送NHK・民放全国網の地上波テレビ各局で、急遽編成された特別番組内で放送された

  ・「おことば」の中で天皇は「憲法上の制約により、具体的な制度についての言及は避ける」と述べていたが、「加齢による体力の低下から、象徴としての職務を勤め続けることが困難になりつつあり、そのため、生前退位の意向をにじませる」と報道される

  ・そのほか、「おことば」では摂政を置くことには否定的であり、身体不良時の社会の自粛傾向や、長期の葬儀関連行事による負担にも触れられており、それらも含め、象徴天皇の務めに対する国民の理解を求めている。

  ・天皇の生前退位は 、江戸時代後期にあたる文化14年の、光格天皇以来行われていない。

  ・現行の「皇室典範」には天皇が退位する規定はなく、既存の君主制にも倣い、天皇は即位したら崩御(死去)するまで天皇の位にある、「終身制」が採用されているため、生前退位を実現するには、皇室典範の改正や特別法の制定などの法整備が必要である

  ・しかしながら、「日本国憲法」では「天皇は国政に関する一切の権能を有さない」(罤4条)と規定されているため、天皇が退位の意向を明確にし、法整備を求めることは憲法に違反する懸念があった。

 ウィキペディアの解説を読みますと、陛下の「おことば」放送は、関係者の間で十分に検討されないまま行われたのではないかと推察されてきます。

 国の重大事であるのに「あり得ない」「事実とは異なる」と、7月の時点で宮内庁が否定し8月には放送されています。

 ウィキペディアの解説では、

  ・5月半ばから、風岡典之宮内庁長官や河相周夫 ( かわい ちかお )らの会合で検討が進められてきていた

 と内情が語られています。みっともない間違いをしないのが宮内庁のはずですから、辻褄合わせのような言い訳しかできない不始末は更に疑問を生じさせました。

 陛下が「おことば」の中で「退位」の意向を明確にされなかったのは、憲法違反の恐れがあったからだというウィキペディアの解説が、さらに疑問を深めさせます。

 陛下のお立場であれば、「憲法違反」にならない手立てを考える学者がいくらでも集まります。一流の学者は、世間を騒がせないための知恵を絞るのが役目ですから、陛下のためなら、白を黒とする意見をと知恵を絞ります。

 その良い例が、日本随一の憲法学者だった宮沢俊義氏です。氏は国際法違反の「日本国憲法」を日本国民が自主的に作ったという理屈を考え出して、GHQを喜ばせました。

 学者に検討させたり、宮内庁幹部と打ち合わせをしたりと、そのような手順を踏まずに「おことば」の発信が行われたことが伺えてきます。

 ウィキペディアの解説を、続けます。

  ・宮内庁関係者は、ビデオメッセージという形式を選択した理由について「天皇陛下のお気持ちを国民に分かりやすく正確に伝える」ためとしている

  ・発表後、宮内庁ウェブサイトに英語訳を含めた全文が掲載され、ビデオメッセージも公開された

 「おことば」の発信は、宮内庁の主要関係者や内閣と密な相談がなされていないようですが、海外向けの英訳の準備がされていた手回しの良さが目立つ気がします。

  ・同年12月23日の83歳の天皇誕生日の記者会見で、天皇は「多くの人々が耳を傾け、親身に考えてくれている」と感謝の意を示し、おことばを「内閣とも相談しながら表明した」と述べた

  ・公表当時に前宮内庁長官だった羽毛田信吾によると、「6年前の平成22年の『参与会議』の席で、すでに第125代天皇の『譲位』についての議論は始まっていた」という

  ・天皇自身によるビデオメッセージの公表という具体的案に関しては、平成28年5月半ばから、風岡典之宮内庁長官や河相周夫侍従長らの会合で検討が進められてきたとされる

 陛下は内閣とも相談したと述べられていますが、当時安倍首相は「預かり知らなかった」と語っていました。どちらの意見が正しいのかでなく、「ねこ庭」は、ことほど左様な混乱の中で「おことば」が発信されたという事実を重視しています。

 ウィキペディアの解説の途中ですが、突然出てきた『参与会議』について、次回に併せて紹介します。

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天皇陛下の「おことば」(平成28年8月8日)

2025-01-04 09:54:15 | 徒然の記

 宮内庁のホームページから、上皇陛下 ( 当時の天皇陛下 ) がNHKを通じて述べられた「おことば」( 全文 ) を、転記いたします。

 

 ・戦後70年という大きな節目を過ぎ,2年後には,平成30年を迎えます。

 ・私も80を越え,体力の面などから様々な制約を覚えることもあり,ここ数年,天皇としての自らの歩みを振り返るとともに,この先の自分の在り方や務めにつき,思いを致すようになりました。

 ・本日は,社会の高齢化が進む中,天皇もまた高齢となった場合,どのような在り方が望ましいか,天皇という立場上,現行の皇室制度に具体的に触れることは控えながら,私が個人として,これまでに考えて来たことを話したいと思います。

 ・即位以来,私は国事行為を行うと共に,日本国憲法下で象徴と位置づけられた天皇の望ましい在り方を,日々模索しつつ過ごして来ました。伝統の継承者として,これを守り続ける責任に深く思いを致し,更に日々新たになる日本と世界の中にあって,日本の皇室が,いかに伝統を現代に生かし,いきいきとして社会に内在し,人々の期待に応えていくかを考えつつ,今日に至っています。

 ・そのような中,何年か前のことになりますが,2度の外科手術を受け,加えて高齢による体力の低下を覚えるようになった頃から,これから先,従来のように重い務めを果たすことが困難になった場合,どのように身を処していくことが,国にとり,国民にとり,

 ・また,私のあとを歩む皇族にとり良いことであるかにつき,考えるようになりました。既に80を越え,幸いに健康であるとは申せ,次第に進む身体の衰えを考慮する時,これまでのように,全身全霊をもって象徴の務めを果たしていくことが,難しくなるのではないかと案じています。

 ・私が天皇の位についてから,ほぼ28年,このかん私は,我が国における多くの喜びの時,また悲しみの時を,人々と共に過ごして来ました。私はこれまで天皇の務めとして,何よりもまず国民の安寧と幸せを祈ることを大切に考えて来ましたが,

 ・同時に事にあたっては,時として人々の傍らに立ち,その声に耳を傾け,思いに寄り添うことも大切なことと考えて来ました。天皇が象徴であると共に,国民統合の象徴としての役割を果たすためには,天皇が国民に,天皇という象徴の立場への理解を求めると共に,

 ・天皇もまた,自らのありように深く心し,国民に対する理解を深め,常に国民と共にある自覚を自らの内に育てる必要を感じて来ました。こうした意味において,日本の各地,とりわけ遠隔の地や島々への旅も,私は天皇の象徴的行為として,大切なものと感じて来ました。

 ・皇太子の時代も含め,これまで私が皇后と共に行って来たほぼ全国に及ぶ旅は,国内のどこにおいても,その地域を愛し,その共同体を地道に支える市井の人々のあることを私に認識させ,私がこの認識をもって,天皇として大切な,国民を思い,国民のために祈るという務めを,人々への深い信頼と敬愛をもってなし得たことは,幸せなことでした。

 ・天皇の高齢化に伴う対処の仕方が,国事行為や,その象徴としての行為を限りなく縮小していくことには,無理があろうと思われます。また,天皇が未成年であったり,重病などによりその機能を果たし得なくなった場合には,天皇の行為を代行する摂政を置くことも考えられます。

 ・しかし,この場合も,天皇が十分にその立場に求められる務めを果たせぬまま,生涯の終わりに至るまで天皇であり続けることに変わりはありません。

 ・天皇が健康を損ない,深刻な状態に立ち至った場合,これまでにも見られたように,社会が停滞し,国民の暮らしにも様々な影響が及ぶことが懸念されます。更にこれまでの皇室のしきたりとして,天皇の終焉に当たっては,

  ・重い殯 ( もがり ) の行事が連日ほぼ2ヶ月にわたって続き,その後喪儀そうぎに関連する行事が,1年間続きます。その様々な行事と,新時代に関わる諸行事が同時に進行することから,行事に関わる人々,とりわけ残される家族は,非常に厳しい状況下に置かれざるを得ません。こうした事態を避けることは出来ないものだろうかとの思いが,胸に去来することもあります。

 ・始めにも述べましたように,憲法のもと,天皇は国政に関する権能を有しません。そうした中で,このたび我が国の長い天皇の歴史を改めて振り返りつつ,これからも皇室がどのような時にも国民と共にあり,

 ・相たずさえてこの国の未来を築いていけるよう,そして象徴天皇の務めが常に途切れることなく,安定的に続いていくことをひとえに念じ,ここに私の気持ちをお話しいたしました。

  国民の理解を得られることを,切に願っています。

 
 今回は陛下の「おことば」のみをご紹介し、次回はウィキペディアとBBC  NEWSが、どのように解説していたのかを紹介いたします。
コメント (2)
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