陛下の「おことば」に続き、今回からウィキペディアとBBC NEWSの解説を紹介します。
重要な事柄なので、なるべく客観的な事実を息子たちと「ねこ庭」を訪問される方々へお伝えしたいと考えています。「ねこ庭」のコメントは、その後で述べたいと思います。
〈 ウィキペディアの解説 〉
・平成28年7月13日にNHKが『NHKニュース7 』の冒頭において、「天皇が数年内の生前退位(当時の皇太子徳仁親王への譲位)の意向を示していることが、宮内庁関係者への取材で分かった」とスクープした。
・宮内庁側は、(報道されたようなことは)「あり得ない」「事実とは異なる」等といったように否定をしたが、
・5月半ばから、風岡典之宮内庁長官や河相周夫 ( かわい ちかお ) 侍従長らの会合で検討が進められてきていたと修正され、8月4日に、天皇自身による「おことば」が放送されることが発表された。
・8月7日に皇居宮殿・表御座所(執務棟)において皇后美智子の立ち合いの下、「おことば」の朗読を収録し、
・翌8日15時をもって解禁、公共放送NHK・民放全国網の地上波テレビ各局で、急遽編成された特別番組内で放送された。
・「おことば」の中で天皇は「憲法上の制約により、具体的な制度についての言及は避ける」と述べていたが、「加齢による体力の低下から、象徴としての職務を勤め続けることが困難になりつつあり、そのため、生前退位の意向をにじませる」と報道される。
・そのほか、「おことば」では摂政を置くことには否定的であり、身体不良時の社会の自粛傾向や、長期の葬儀関連行事による負担にも触れられており、それらも含め、象徴天皇の務めに対する国民の理解を求めている。
・天皇の生前退位は 、江戸時代後期にあたる文化14年の、光格天皇以来行われていない。
・現行の「皇室典範」には天皇が退位する規定はなく、既存の君主制にも倣い、天皇は即位したら崩御(死去)するまで天皇の位にある、「終身制」が採用されているため、生前退位を実現するには、皇室典範の改正や特別法の制定などの法整備が必要である。
・しかしながら、「日本国憲法」では「天皇は国政に関する一切の権能を有さない」(罤4条)と規定されているため、天皇が退位の意向を明確にし、法整備を求めることは憲法に違反する懸念があった。
ウィキペディアの解説を読みますと、陛下の「おことば」放送は、関係者の間で十分に検討されないまま行われたのではないかと推察されてきます。
国の重大事であるのに「あり得ない」「事実とは異なる」と、7月の時点で宮内庁が否定し8月には放送されています。
ウィキペディアの解説では、
・5月半ばから、風岡典之宮内庁長官や河相周夫 ( かわい ちかお )らの会合で検討が進められてきていた
と内情が語られています。みっともない間違いをしないのが宮内庁のはずですから、辻褄合わせのような言い訳しかできない不始末は更に疑問を生じさせました。
陛下が「おことば」の中で「退位」の意向を明確にされなかったのは、憲法違反の恐れがあったからだというウィキペディアの解説が、さらに疑問を深めさせます。
陛下のお立場であれば、「憲法違反」にならない手立てを考える学者がいくらでも集まります。一流の学者は、世間を騒がせないための知恵を絞るのが役目ですから、陛下のためなら、白を黒とする意見をと知恵を絞ります。
その良い例が、日本随一の憲法学者だった宮沢俊義氏です。氏は国際法違反の「日本国憲法」を日本国民が自主的に作ったという理屈を考え出して、GHQを喜ばせました。
学者に検討させたり、宮内庁幹部と打ち合わせをしたりと、そのような手順を踏まずに「おことば」の発信が行われたことが伺えてきます。
ウィキペディアの解説を、続けます。
・宮内庁関係者は、ビデオメッセージという形式を選択した理由について「天皇陛下のお気持ちを国民に分かりやすく正確に伝える」ためとしている。
・発表後、宮内庁ウェブサイトに英語訳を含めた全文が掲載され、ビデオメッセージも公開された。
「おことば」の発信は、宮内庁の主要関係者や内閣と密な相談がなされていないようですが、海外向けの英訳の準備がされていた手回しの良さが目立つ気がします。
・同年12月23日の83歳の天皇誕生日の記者会見で、天皇は「多くの人々が耳を傾け、親身に考えてくれている」と感謝の意を示し、おことばを「内閣とも相談しながら表明した」と述べた。
・公表当時に前宮内庁長官だった羽毛田信吾によると、「6年前の平成22年の『参与会議』の席で、すでに第125代天皇の『譲位』についての議論は始まっていた」という。
・天皇自身によるビデオメッセージの公表という具体的案に関しては、平成28年5月半ばから、風岡典之宮内庁長官や河相周夫侍従長らの会合で検討が進められてきたとされる。
陛下は内閣とも相談したと述べられていますが、当時安倍首相は「預かり知らなかった」と語っていました。どちらの意見が正しいのかでなく、「ねこ庭」は、ことほど左様な混乱の中で「おことば」が発信されたという事実を重視しています。
ウィキペディアの解説の途中ですが、突然出てきた『参与会議』について、次回に併せて紹介します。