田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

美智子の危機(2)/三億八千万年の孤独 麻屋与志夫

2011-05-04 08:35:44 | Weblog
2

犯人からはなんの連絡もない。
不安な夜が明けた。

唄子の事件でマスコミは狂騒している。
さいわい美智子の失踪は、かぎつけられていない。
同じ芸能事務所「バンビ」に所属する美智子まで行方がわからない。
などと、
新しい刺激をあたえたら、
マスコミがとびつき、
むらがり、たいへんなことになるだろう。
美智子がマスコミの集中砲火をあびるのだけはさけたい。

はやく、さがさなければ。
隼人たちは焦っていた。

「いままでのことを、復習してみよう。
美智子さんがはじめて襲われのは日光の帰りだ。
東北道で襲われ、
これはぼくとキリコがヘリでかけつけるのがはやかった。
ことなきを得た。
つぎは記者会見の席。
まだ薬物は特定されていないが、グラスの水が苦かった。
毒殺などという意思はない。
ただのいたずらだったかもしれない。
そしてこんどの拉致。
ぼくらの目前で実行された」
「……どこにいるんだっぺ」

隼人の焦燥をやわらげようとしている。
ひさしぶりで、キリコの栃木弁がでた。

わからない。
ぼくにはわからない。
ほんの、タッチの差で拉致された。
目の前から、美智子を拉致された。

「美智子さん。帰ってきさっせよ。帰ってきさっせ」

キリコが栃木弁で祈りの気持ちをこめている。
美智子がぶじに帰ってくることを願っている。



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