7
跳弾が翔太郎の左の肩甲骨にめりこんだ。
「ジイちゃん!!」
焼けるような激痛。
意識のコントロールがきかない。
周囲のひとがかすんでいく。
いや意識がモウロウとしている。
「ジイちゃん」
薄闇のなかで誰か戦っている。
――美智子をたのむ。美智子をたのむ。
部屋の隅に誰かが運んでくれた。
足手まといだ。
なんのやくにもたてないジジイだ。
肩のあたりがぐっしょりとしている。
おびただしい血だ。
血をながしている。
出血している。
バラの匂いがする。
妖艶な香り。
鹿沼の家にいる。
バラの棘をさしたのだ。
智子が血を吸ってくれている。
「毒がまわるとたいへんよ。知っている。リルケはバラに刺されて死んだの」
智子が指の血を吸っている。
この香りはブルームーン。
智子が指からふきだした血をくちびるでぬぐっている。
うっとりとして……意識がうすれていく。
ツルバラが咲いている。
黄色のモッコウバラ。
アンジラも咲きだしている。
もの狂わしいほどのバラの花々。
バラの花と香りのつつまれて死ねるなんてしあわせだ。
ルイ十四世。アイスバーク。紫雲。
リルケの薔薇

アイスバーク゜

マチルダ

紫雲

ルイ14世

智子の姿が薄らぐ。
女が隣に倒れている。
翔太郎は知らなかったが酒の谷唄子だった。
「翔太郎、オジイチャン」
美智子がいる。
叫んでいる。
美智子が泣いている。
「おやおや、一族再会ですか。涙の対面ですね」
鬼沢組の黒服がいる。
黒いカラスのように戦っている。
王仁が余裕の笑みで近寄ってくる。
王仁の配下もかけつけた。
隼人、キリコ、秀行か王仁に追いすがって駈けよってくる。
かれらは入り乱れて戦っている。
「智子は?」
意識をとりもどした翔太郎が声にだした。
こんどこそ、翔太郎は現実にもどっている。
隼人がくびを横にふった。
イメージで見たとおりのことが、鹿沼で起きたのだ。
翔太郎はそう悟った。
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血をながしている。
出血している。
バラの匂いがする。
妖艶な香り。
鹿沼の家にいる。
バラの棘をさしたのだ。
智子が血を吸ってくれている。
「毒がまわるとたいへんよ。知っている。リルケはバラに刺されて死んだの」
智子が指の血を吸っている。
この香りはブルームーン。
智子が指からふきだした血をくちびるでぬぐっている。
うっとりとして……意識がうすれていく。
ツルバラが咲いている。
黄色のモッコウバラ。
アンジラも咲きだしている。
もの狂わしいほどのバラの花々。
バラの花と香りのつつまれて死ねるなんてしあわせだ。
ルイ十四世。アイスバーク。紫雲。
リルケの薔薇

アイスバーク゜

マチルダ

紫雲

ルイ14世

智子の姿が薄らぐ。
女が隣に倒れている。
翔太郎は知らなかったが酒の谷唄子だった。
「翔太郎、オジイチャン」
美智子がいる。
叫んでいる。
美智子が泣いている。
「おやおや、一族再会ですか。涙の対面ですね」
鬼沢組の黒服がいる。
黒いカラスのように戦っている。
王仁が余裕の笑みで近寄ってくる。
王仁の配下もかけつけた。
隼人、キリコ、秀行か王仁に追いすがって駈けよってくる。
かれらは入り乱れて戦っている。
「智子は?」
意識をとりもどした翔太郎が声にだした。
こんどこそ、翔太郎は現実にもどっている。
隼人がくびを横にふった。
イメージで見たとおりのことが、鹿沼で起きたのだ。
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