田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

愛の絆(2)/三億八千万年の孤独 麻屋与志夫

2011-05-17 08:29:06 | Weblog
2       

美智子は奥の扉の向こうへ消えた。
隼人は美智子を目前にして助けられなかった。
美智子は男たちに引きずられて……。
隣の部屋に消えた。

扉は開かない。

冷酷な、リアルな世界。

扉でへだてられただけだ。
もう美智子は見えない。
美智子の姿はここにない。

隼人は廊下にとびだした。
隣の部屋には廊下から入る扉がない。
なにか、この建物はおかしい。
怪しい。
ふつうの建物の基準からいっ奇妙だ。
廊下がながくつづいている。
隼人は走る。
走る。
走る。
手を伸ばせばとどく距離に美智子がいた。
それなのに助けられなかった。
王仁には榊流の拳法はつうじなかった。
ことごとくかわさけれた。
美智子!
美智子!!
美智子!!!

扉がない。
あの扉のノブを破壊するべきだった。
ドラマでよく見るように拳銃でうてばよかった。
いまからでも、部屋にもどるか?
もどるべきか……。

廊下がいきづまった。
上下に向かって階段があった。
「みんなは、上へ」
秀行が叫んでいる。
隼人は階下への階段をかけおりていた。



 今日も遊びに来てくれてありがとうございます。
 お帰りに下のバナーを押してくださると…活力になります。
 皆さんの応援でがんばっています。

にほんブログ村 小説ブログ ホラー・怪奇小説へにほんブログ村