8
美智子が部屋の隅から声をとばす。
「ジイチャン」
翔太郎がすばやく反応する。
肩の痛みは感じない。
血も止まっている。
孫の美智子への愛が翔太郎に気力をあたえた。
美智子を助けようと男に向かって突き進む。
翔太郎が襲おうとした男。
翔太郎を拉致した男だ。
翔太郎はそのまま進む。
美智子をかかえこんでいる男。
「来るな。ジジイ」
定番どおりだ。
男は美智子の喉元にナイフをあてている。
「王仁と呼ばれるのはおまえなのか」
「それがどうした」
「ならば。遠慮は無用だな」
翔太郎が掌底突きの構えをする。
「いいのか。喉をきるぞ」
「首にかみついたら」
と翔太郎は、冷淡にいいはなった。
「そのほうが、好みだろう」
ブラフだった。
わずかなこころのスキが王仁に生じた。
一瞬、王仁は美智子に首筋に視線を落とした。
色白のなめらかな美女の首筋。
王仁の足を美智子がヒールでおもいきり踏みつけた。
王仁がよろける。
そのすきに、美智子が翔太郎に走りよってくる。
「オジイチャン」
ナイフが投げられた。
翔太郎が美智子をかばう。
翔太郎にナイフがつきたつ。
翔太郎が倒れる。
肩から鮮血が噴く。
肩にナイフが刺さっている。
銃弾が当ったとおなじ箇所だ。
「まだだぁ!!」
翔太郎が、起きあがる。
両足を開く。
エネルギーのありったけをこめた。
智子の仇だ。
翔太郎は生涯一度の殺人念波を放った。
王仁が部屋の隅までふっとんだ。
美智子が翔太郎にすがりつく。
「オジイチャン!!」
肩から血が吹きだしている。
起き上がる。
座ったままだ。
「オジイチャン。死なないで」
敵の正体をはっきり見て死ねる。
生まれたときから、いやむかしからわが一族が戦ってきた敵に。
一矢報いることができてよかった。
長いこと封印されていた能力もこれで出し切った。
美智子を救えて満足だ。
孫の手を握って死ねるなんて幸せだ。
「直人くんに、美智子の気もちは伝えておく。
智子と一緒にあの世から、美智子のことは見守っているからな」
「オジイチャン!!! いっちゃいやだ。いやだよ」
「美智子……」
もう声がでない。
美智子が耳を寄せてくる。
――でも……でも……こんなことでは、
これくらいの痛みでは、
傷ではおれは死にはしない。死なない。死ねはしない。
まだ、そうだ守るべきものがある。
子どもたちがいる。孫がいる。
敵には致命傷をあたえていない。
アイツラが確実に存在するからには、おれは死ねない。
死に行くものの演技をしているだけだ。
こんなことで死んでたまるか。
智子に会うのは後だ。今少しおれに時間をくれ。
直人君、おれとともに美智子を守ってくれ。
声にはなっていなかった。
――美智子……
恋をしなさい…………
もういちど恋をするといい
………隼人君と……恋………………」
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美智子が部屋の隅から声をとばす。
「ジイチャン」
翔太郎がすばやく反応する。
肩の痛みは感じない。
血も止まっている。
孫の美智子への愛が翔太郎に気力をあたえた。
美智子を助けようと男に向かって突き進む。
翔太郎が襲おうとした男。
翔太郎を拉致した男だ。
翔太郎はそのまま進む。
美智子をかかえこんでいる男。
「来るな。ジジイ」
定番どおりだ。
男は美智子の喉元にナイフをあてている。
「王仁と呼ばれるのはおまえなのか」
「それがどうした」
「ならば。遠慮は無用だな」
翔太郎が掌底突きの構えをする。
「いいのか。喉をきるぞ」
「首にかみついたら」
と翔太郎は、冷淡にいいはなった。
「そのほうが、好みだろう」
ブラフだった。
わずかなこころのスキが王仁に生じた。
一瞬、王仁は美智子に首筋に視線を落とした。
色白のなめらかな美女の首筋。
王仁の足を美智子がヒールでおもいきり踏みつけた。
王仁がよろける。
そのすきに、美智子が翔太郎に走りよってくる。
「オジイチャン」
ナイフが投げられた。
翔太郎が美智子をかばう。
翔太郎にナイフがつきたつ。
翔太郎が倒れる。
肩から鮮血が噴く。
肩にナイフが刺さっている。
銃弾が当ったとおなじ箇所だ。
「まだだぁ!!」
翔太郎が、起きあがる。
両足を開く。
エネルギーのありったけをこめた。
智子の仇だ。
翔太郎は生涯一度の殺人念波を放った。
王仁が部屋の隅までふっとんだ。
美智子が翔太郎にすがりつく。
「オジイチャン!!」
肩から血が吹きだしている。
起き上がる。
座ったままだ。
「オジイチャン。死なないで」
敵の正体をはっきり見て死ねる。
生まれたときから、いやむかしからわが一族が戦ってきた敵に。
一矢報いることができてよかった。
長いこと封印されていた能力もこれで出し切った。
美智子を救えて満足だ。
孫の手を握って死ねるなんて幸せだ。
「直人くんに、美智子の気もちは伝えておく。
智子と一緒にあの世から、美智子のことは見守っているからな」
「オジイチャン!!! いっちゃいやだ。いやだよ」
「美智子……」
もう声がでない。
美智子が耳を寄せてくる。
――でも……でも……こんなことでは、
これくらいの痛みでは、
傷ではおれは死にはしない。死なない。死ねはしない。
まだ、そうだ守るべきものがある。
子どもたちがいる。孫がいる。
敵には致命傷をあたえていない。
アイツラが確実に存在するからには、おれは死ねない。
死に行くものの演技をしているだけだ。
こんなことで死んでたまるか。
智子に会うのは後だ。今少しおれに時間をくれ。
直人君、おれとともに美智子を守ってくれ。
声にはなっていなかった。
――美智子……
恋をしなさい…………
もういちど恋をするといい
………隼人君と……恋………………」
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