日々 是 変化ナリ ~ DAYS OF STRUGGLE ~
このプラットフォーム上で思いついた企画を実行、仮説・検証を行う場。基本ロジック=整理・ソートすることで面白さが増大・拡大
 



セリエAで起ったサポーターによる警官殺人事件の報道を読んでいて、「ん?」と思うのは、パレルモもカターニアは両方ともシチリア州のチームで、同じ南部かつシチリア州同士の超躍進しているチームのダービーマッチだったことが、今回の大きな火種になっていることについて、全く言及していないことです。
(パレルモは31年ぶり! カターニアも23年ぶりのセリエA昇格)
ちなみにシチリア州チームはセリエAでもう一チームあります。それはメッシーナ、オガサワ~ラ!
現象だけでなく、そういった背景もちゃんと調べて書いて欲しいです。


と想ったことがきっかけで、前々から気になっていたこの一冊を読んでみました。
二宮清順氏が去年のベスト本として新聞紙上で挙げていましたし、このタイトルが何ともそそります。

「サッカーが世界を解明する」How Soccer Explains the World
というか、「世界がサッカーを解明する」という感じ?


表紙は、赤い発煙筒に染まるスタジアムそしてクロアチアサポーターたち。
去年のWC会場でも、その独特の雰囲気を感じはしましたが。
ちなみに当ブログに写真をアップしています。
(試合終了直前、切れたクロアチアサポーターが発煙筒を! 2006-06-22 )

著者は、アメリカ人のフランクリン・フォア、実にサッカーの中立ゾーンの人。
こういう人がまわった世界のサッカー。
その目を通した現代の縮図。

セルビアのチーム、レッドスターの超暴力的フーリガン取材からはじまり、セルティックとレンジャーズの危険な関係の分析、トットナム、アヤックスにかかわるユダヤ人への差別、ロンドン(=フーリガン!)、ブラジルのサッカー界の腐敗そしてペレの悲劇、ウクライナ リボフでのナイジェリア選手、セリエのどす黒い八百長疑惑、バルセロナと政治の因縁、イランの民族文化とサッカー文化の軋轢、そして最後にアメリカに帰ってきます。
まさに世界一周。

どのエピソードもよく調査した充実した内容で、それぞれの国、民族のサッカーの歴史の中にどろどろとたまっている問題を浮き彫りにしています。
その問題はたまっているというよりは、骨から染み出てくる感じ。
グローバリズムが進行する中、21世紀のサッカーがかかえている問題を理解できるという点で、この本は、サッカーフリークマストバイの世界でしょう!!

読み終わると、島国の日本はいかに恵まれていると言うか、おめでたいなあと感じてしまいます。
気楽に海外チームのユニを着て現地で応援することの危険性を実感します。
今度は、やはりこの問題を掘り下げこの本の出発点にもなったという「サッカーの敵」を読もうかなと。


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