インターネットを語る上で、必須のキーワードとなっている、「ロングテール」
インターネットというツールを通すと、シェアの高い大衆市場ではなく、無数のニッチ市場が今後の重要市場であるという指摘にあふれた一冊。
やっと読むことができました。
物理的制限(店舗スペース、販売棚など)がなくなるインターネット空間では、どんな品ぞろえも可能。
このことによって、マイナーへのニーズを捨てる事なく商売が出来、しかもそのこれまで捨ててきた部分が意外に大きな市場であると。
ただ忘れていけないのは、その抑圧された部分が解放されたことによって、これまでたまっていたニーズが一時的に一挙に!吹き出している部分があることも忘れてはいけないので、一概に浮かれてもいられませんが...
ただマイナーなものが一気にメジャー化するようなことが起ると、この構造は大きなパワーを発揮するように思います。
著者のワイアード編集長、クリス・アンダーソンは昔ミュージシャンだったこともあって音楽界の事件を貴重なケースとして取り上げています。
それは70年代の後半に起った、ロンドンパンク~パンク~New Wave~の流れ。
この時起ったのは、既存の音楽シーンへのアンチから始まったシンプルかつ自分をさらけ出す音。
Sex Pistolsあたりの動きがあっという間にイギリス→世界へ拡大、世界のあちこちでパンクから始まって実験的な試みが同時多発的に発生。
輸入レコード屋に行き、世界から届くLPジャケットのアート、そしてその音の実験を聴くのは異様に刺激的な時代でした。
「ロングテールはくずばかりでない」ではなく、「ロングテールが主流」な方向に時代が急転換したねじれた世界だったのです。
またこのような動きがこのインターネット時代に発生した時、大きく音楽界を揺るがすムーブメントになることは間違いないでしょう。
脱線したので本に戻りますと、個人的には前半部分がおもしろく後半はやや前半をなぞった感じ。
とはいえ、ここ半年ではそうとうに刺激的な内容がかなりある一冊ではありました!