日々 是 変化ナリ ~ DAYS OF STRUGGLE ~
このプラットフォーム上で思いついた企画を実行、仮説・検証を行う場。基本ロジック=整理・ソートすることで面白さが増大・拡大
 






映画「スティーブ・ジョブズ」では、最も輝かしい10年間にほとんど触れられていない(時間的に仕方ない)
このため、逆にここにフォーカスしている本書に手が伸びた。


その輝かしい10年間とは?
当ブログ:ジョブズ2000年以降の偉業を振り返る、より引用。

2001年 1月 iTunes初版発表
2001年10月 iPod発表
2003年 4月 iTunes Music Store発表 価格は一律1曲99セント。開始後1週間足らずで100万曲を販売。
2003年 9月 iTunes Music Storeの販売1000万曲突破。
2003年10月 Windows版iTunes発表
2003年12月 iTunes Music Storeの販売2500万曲突破。
2004年 7月 iTunes Music Storeの販売1億曲を突破
2005年 6月 iTunes 4.9が発表され、ポッドキャストに対応
2005年 8月 iTunes Music Store in Japanが販売を開始 価格は1曲150円~200円。4日間で100万曲の販売を達成。
2005年10月 iTunes 6発表。ジャケット写真を選ぶ感覚で、閲覧できて即聴けるシステムが初搭載
2007年 1月 iPhone発表

ここでのポイントは、ハードに先駆け、必ずソフトで「ユーザー・インタフェイス」の次の手を打ってきていること。
例えば、

1.2001年  1月 iTunes初版発表 → 2001年 10月 iPod発表

2.2005年 10月 iTunes 6発表。ジャケット閲覧機能を初搭載 → 2007年 1月 iPhone、iPod Touch 発表


「音楽をいかに楽しく聴くか」から感性的に発想されたマルチタッチディスプレイ。
これが次の「ユーザー・インタフェイス」として発展し、現在に至っている。
またこれがiPod、iPhoneだけでなく、Mac側にもフィードバックされMagic MouseとかTouch Padとか、O.S. Lionになっているところもポイント。

こうして振り返ってみることで、ショブズの「2000年以降の偉業を振り返る」という大仰なテーマ設定にもご納得いただけただろうか。
説得力は十分にあったと思うが、いかが?

(当ブログ:ジョブズ2000年以降の偉業を振り返る、PART 1、2 2011年10月19日、23日より引用)



さてここから、やっと本について。
サブタイトルは「ケーススタディから競争戦略を読み解く」
上記の iPod、 iPhone、そして iPad の3商品にフォーカスしたつくり。
ヨーゼフ・シュンペーターのイノベーション理論をあてはめながら、この最も輝かしい10年間をまとめようとする。
途中まではふむふむと面白がって読んでいた。

ところが!
この本の致命的欠陥に気づいてしまったのだ(汗)


その致命的欠陥とは、さきに引用した文章がぴったりハマる。
「ハードに先駆け、必ずソフトで「ユーザー・インタフェイス」の次の手を打ってきていること」について、全くと言っていいくらい記述が、ない!

全て「ハード」ありきでしか語られていないのだ。
その後の iTunes Music Storeについてはふれられているのだが、あくまでもネット上購入ベース(曲、アプリ)

元々の音楽ファンの気持ちがどうして Walkman→ iPodそしてiPhone に移っていったか、これを作者は全く理解していない(と判断する)
このような根幹にかかわる「本命ポイント」を外してしまった事で、シュンペーターをいくら引用されても響かない読書に化してしまった。



せめて前半で良かったフレーズを以下、書き出してみる。

過去には、ソニーの創始者である盛田昭夫がこれに長けていたとクリステンセンは指摘している。
盛田は顧客が片付けなければならない用事を見抜き、その用事と解決策を結びつける名人であった。
そのため、ソニーは1950年代から1982年までの32年間で何と12の新市場型破壊的事業を気づくことに成功している。
ジョブズとのケースとの単純な比較は総計であるかもしれないが、ジョブズの1製品あたりの新市場型破壊製品の開発ペース
は3.3年で、盛田のケースの2.7年を若干 下回るが、それでも顧客の興味が多様化する現代において、ジョブズの新市場型
破壊的製品の開発ペースには驚くべきものがある。



最後に3度めの正直で、この言葉を言わせていただきたい。

スティーブン、あなたのおかげでよりエキサイティングな20世紀末~21世紀冒頭10年を過ごせたよ。
本当にありがとう。


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