日経が1600億円で巨額買収したフィナンシャル・タイムズ(以下、FT)
色々な質問が湧き上がってくる。
質問1.そのFTは一体、どんな新聞なのか?!
質問2.なぜ買収に至ったのか?!
一度日経新聞の別刷で、丸々FTが付属したが、紙面の色がピンク!
質問3.なぜピンクなんだろう?
とか、湧き上がってくる質問の答えを期待して読み始めた。
第1章~第3章で印象に残ったのは、
・実はライバル ドイツの新聞最大手アクセル・シュリンガー社を「出し抜いた」買収だった。
・日経による買収報道直後の内部から様々な声が発せられていた。
・日英メディアの個性の違い。
英ー荒馬のような存在 権力に阿らない
日ー礼儀正しい(笑)
・いみじくもその差が浮き彫りになった、オリンパス事件
・世界大戦後、別々の新聞合併したことで FTは大きくなった。
1998年、海外での販売部数が英国のを超える(!)
ここまでも面白かったが、白眉なのが、第4章
「FTの電子化作戦とは」
FTは、電子版を成功させた世界的に貴重な事例のひとつ。
現在73万購読者のうち、50万が電子版。
電子版が上回ったのは、2013年。
7.6万(2005)→12万(2009)→50万(2015)と急増。
2005年当時、ニュースは無料で提供されるべきという声が圧倒的。
FTは、世界中に100人以上の特派員を置き、コンテンツの質を高める。
そして2007年 「メーター制」課金制導入。
しかも情勢を見ながら、柔軟な運用で「買わなければ」という状況を創り出した。
例えば、
登録作業後の契約までの過程を「できるだけシンプルにする」
閲読アプリを独自に開発してみるなどの努力を怠らず、ノウハウを蓄積した。
買収によってテクノロジー開発チームを設け、リアルタイムで読者の動向を把握(ディープビュー)「ウェブ・ファースト」のみならず、「デジタル・ファースト」を宣言。
実行したことはざっと、
1.大きなweb制作チーム、小さな印刷版専用チーム
2.印刷版は1日1版とし、夜の変更は最小限に
3.紙版はグラフィックやデータを駆使しながら「見せる」ページになるように工夫
4.記者レベルでは速報よりも「文脈」を最重要視する
5.放送局のように、24時間常時ニュースを出していく
6.webアクセスの多い昼、午後に人を配置
7.目指すのは「読者とのエンゲージメント」を深めること→このチームを編集
ここに、質問2.なぜ買収に至ったのか?!の解答が明確に現れている、と思う!
結論:このように、様々な疑問の解答を得られる、貴重な読書!