著者は 大前研一 氏。
氏の週刊ポストの連載はほぼ毎週読んでいる。
ただ彼が主幹する、通信制のビジネス・ブレークスルー大学には参加していない。
このため、彼の新刊を読んだ時の印象は「既視感」と「新鮮」に分かれる。
この本は、そういう点では当たり=「新鮮」
ビジネス・ブレークスルー大学で教えている内容が中心のよう。
この本では、ここだという点を、アービトラージ・ポイント Arbitrage Point と読んでいる。
読みにくいのはこの言葉が元々フランス語だからで、意味は「さや取り」的ニュアンスだが、ここでは「差別化」と解釈しておこう。
さて、読んで刺さったアービトラージ・ポイント「差別化」部分をメモ。
・情報格差でサヤを稼ぐ
・固定観念にとらわれず、外からものを見る
旅行会社 ラストミニッツドットコム=ナローキャスティングに特化
=お客さん。あなただけに…今から2人でパリに安く行こうパック
価格だけでなく、どう付加価値をつけるか
「空き」をナローキャスティング・ポイントキャスティング
クリーニング屋連携で、気化器を効率活用、なケース
・「固定費」を遊ばせておいては、利益は産まない。
稼働時間を分析して混んでない時には値段を下げてでも稼働率を上げよ
(なケースもある 当ブログ 笑)
・稼働率を上げるには、ナローキャスティング・ポイントキャスティングの方法で顧客をシールドする
カンニングOK 。
知識を問うのではなく、レポートや論文を書かせる。ネット上の知識を駆使して、どれだけオリジナルの論を展開できるかに評価軸を変える。
・個々のデジタル機器がインターネットなどによってつながり、「デジタルアイランド」が、「デジタル大陸」になりつつあるという現実を認識する
・その上で、「5年後の生活・ライフスタイル」を想像し、そこからサービスや商品に落とし込む
「早送り」の発想 = Googleの動きをヒントにする(笑) 兆し、を読む
・全ての「新しい概念」は、既に存在している(世界のどこかにある)と考える。
・小さな「兆し(=ヒント)を捉えて高速の早送りを行い、来るべき未来を想像する
そして当然登場、という感じで出てきたのは、
空いているものを有効活用する発想 = airbnb、UBER、
初の地下鉄ロンドン。これも空いているもの(地下)を有効活用 → 常識外れなユートピア、と新聞は書いた(笑)
アイドル・エコノミー idle economy と最近読み替えている
・既存の発想にとらわれず、360度の視野で「空いているもの」を探す。
・「働いていない」「使われていない」「空いているもの」を有効活用する。そのためにはネットを使ってユーザーとサービスを結びつける
・A と B という2つの方法論がある場合、その中間地点でポジショニングすることで、差別化を図る。
・折衷案ではなく、大きな枠の中にスイートスポットを見つける
etc… 面白いキーワードが続出。
ところが!
最後の章だけは、かなーり 引いた(汗)
そのくだりは、ウィルト・ディズニーが手付かずの湿地帯を見て、ディズニーワールドを構想した、その構想力を絶賛している部分。
つい最近、幼い子供がプールの端からワニに引きずり込まれ、死亡した事故が発生したばかりだったので…
そういう教訓のSF映画を何本か思い出してしまったところで読書完了。
自然の力をなめちゃいけない、ということだろうか…
結論:この本を鵜呑みにするのではなく、自分が進めているプロジェクトがあるのなら、それに当てはめつつ読むのがマル◯!な一冊。