約50年ほど前の動力噴霧器は、外部を掃除したぐらいでは始動しません。燃料タンク、そこからの燃料パイプ、燃料フィルター、さらにはキャブレターの中に燃料が変質した物がベットリと付着しています。当然、それらは分解して掃除しました。
と、ここまでは、目に見える範囲の中で対応できたのですが、大きな難問が待ち構えていました。キャブレターのニードルがまったく動きません。
ニードルとは、燃料を気化する際にその量を加減する部品です。ここが動かないとエンジンのシリンダーには燃料が入りません。汚れは簡単に灯油などでは洗浄できません。そこで、急遽、キャブクリーナーとか云うものを購入してスプレーを吹きかけたところ、なんとかニードルが動き出しました。
さて、それではと喜んだのですが、よく見るとニードルに繋がるべきワイヤーが切れていました。しかも、ワイヤーが短くなったしまったので、別のワイヤーを調達しなければなりません。手元に自転車を廃車した時に取っておいたブレーキ用のものがありました。でも、これは長すぎるので、半分以下に切断しました。次に難題がありました。ワイヤーの端にはタイコという円筒型のものが付いていますが、切断してしまったので新たに作らなければなりません。今までの私でしたら、その時点で途方に暮れてしまいます。ところが還暦を過ぎましたので、新たなパワーを持ちました。少々のことではへこたれません。部品が壊れたら、部品を造ればいいのです。畑沢の「おのこ」は、機械に強いはずです。インターネットで調べてみました。ありました。バイク好きの方々は、しょっちゅうタイコ作りをやっているようです。早速、真似をさせてもらいました。
外形6mmの真鍮パイプを切り、横にワイヤーを差し込む小さな穴を開けます。適度な長さに切ったワイヤーを穴に差し込んで、半田を流し込みました。私でもできました。文字にすれば、ただこれだけですが、実は1日以上を費やしました。失敗の連続で、3回ほどのやり直しがありました。やはり、還暦パワーでないとできません。