アメリカ発の株の暴落が世界的に広がっている。
発端は、アメリカの国債は信用できないと、格付け機関が判断したからだ。
情けないのは、この段になってやっと特例公債法案を通すことに与野党が合意したことだ。
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まったく、経済について分かっていない政治家というのはどうしようもない。
( 貸した金を期限までに返すかどうか、返済期限ぎりぎりまで、貸した人間の返してくれるかどうか心配してやきもきする気持ちなんて考えずに、内輪もめしている。こんな国を、いったい誰が信用するのか?それもこれから貸すお金でなく、すでに貸し付けたお金について。踏み倒されたら貸した方、特に銀行は金がなくなり、決済ができなくなる。決済できなくなれば、経済活動は停止する。そういう不安を、銀行だけでなく、経済活動をする会社、個人みんなが不安を持っている。踏み倒されるかもしれないと考える銀行、会社、個人は、早めに現金を回収したがる。そうなれば経済活動がますます萎縮する。こうした連鎖になることが、なぜ分からないのだろう?)
格付け機関が、アメリカ国債のランクを下げたのは、こんなに重要なことが彼の地の政争の材料になり、ぐずぐず論争している政治に愛想をつかしたからに他ならない。
この国でも、こんな重要なことが、何ヶ月もぐずぐずとほっておかれ、退陣の条件にされ、政争の具になる。
震災後、最初にしなければならないことなのに。
アメリカ国債のランクを下げたのは、アメリカのせいだけではない。
アメリカの国債を買い支える、ばかな国の政治のレベルの低さもどうしようもないと格付け機関が判断したからに他ならない。
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3月11日の震災後の首相の慌てふためいた動きを見ていればすべては分かる。
どこからも、正確な情報が入ってこない。
だから、しかたなく首相は自ら福島の原発まで飛んでいったのだ。
事態をどこも(会社も国も)正確に把握していなかったから。
そもそも、今回のようなことは「絶対に起こらない」と決めてかかっていたから、何が起こったかさえ分からなかったのだ。
全電源喪失なんて、単なるいいわけでしかない。
そうした事態を考えもしなかったことは、その後のドタバタからも明らかだ。
慌てて、外国から濾過装置を買ってきたり、ロボットを借りてきたり。
昔の日本人なら、腹をくくるところだ。
恥かしくて生きていけないから。
何も考えていなかったのだ。
諸外国は、日本の政治や原発の技術はこんなにレベルが低かったのかとびっくりしただろう。
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特例公債法案の国会通過も、まったく同じである。
アメリカの国債が格下げされるなんてことはないと、はじめから決め込んでいた。
アメリカ発の危機が報道されるに及んで、慌てふためいてドタバタと特例公債法案を通過させようとする考えのなさ。
こんな何の考えもない国に買い支えられているアメリカの国債の評価は、当然下がるに決まっている。
下がらない方が不思議なくらいだ。
政治をする人間が、経済のことが分かっていない。
日米共通なのは、政治家が一部企業や国民と一緒になって、国家を食い物にしていることだ。
政治家は、利益を還元するために、票を集め、当選すれば、票を投じた企業や国民に利益を還元する。
経済は、そのからくりを全部見抜いているのだ。
だから、そうしたからくりの国家は信用しない。
それが、今回のアメリカ発の経済危機の本質だ。
アメリカの国債格下げに至った、期限ぎりぎりの国債発行額の拡大のゴタゴタは、この国にはまったく関係ないと考え、特例公債法案の国会通過をずっと引き延ばしてきた連中。
こうした連中こそ、国家(=国民)を食い物にしているのだ。
企業や国民の、これからどうなるか心配で仕方ないという憂慮を一顧だにせず。
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我々は、これから国家を食い物にしてきたこうした連中のつけを支払わされるだろう。
我々は、神の前で、国家のためになくなった方に対して、本当に申し訳ないと悔い改めてきただろうか?
戦争や原爆で亡くなった方たち、国家のために命を捧げた方たちに、本当に申し訳なかったと反省してきただろうか?
反省してきているとは、とても思えない。
あの戦争、原爆さえ、いいかげんにされてしまっている。
しっかり、反省されていない。
(誤解のないように付け加えるが、アメリカのさる著名な歴史研究者は、アメリカは日本を追い詰めるべきではなかった、日本に対して対して戦争を起こすべきではなかったとさえ明言している。(アメリカは戦前から、それくらい厚みのある深い考えを持った人物がたくさんいる国だった。それこそが国富なのだが)私は、それより前、つまり日露戦争に勝った頃から、日本は間違ってしまったと考えている。間違ってしまったのは、維新前後に育った人材が枯渇したからだ。欧米に追いつくことを至上命題にしたから、短兵急な人材養成になってしまい、深みのある人材がいなくなってしまったからだと考えている。)
今回の一連の出来事は、我々に対する神の裁きでしかないように私には思える。