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セルビアクライシスについて、その1914バルカン半島の危機

2022-03-06 07:46:00 | 戦争映画
 
 ──2022年2月24日。

 ウクライナのNATO参加を巡り、ロシア・ウクライナ両国の交渉決裂。ロシアは報復としてウクライナ領内へ侵攻。
 ロシア軍はドネツク・ルガンスクを掌握し、ベラルーシ・黒海からも部隊を展開。キエフ・ハリコフなど各都市を攻撃する。

 ウクライナ大統領・ゼレンスキーは国民に徹底抗戦を呼び掛け、自らもキエフに残ることを決意。
 国家の存亡、民族の誇りを賭けた戦いが始まった──。


 ゼレンスキー 
 プーチンに屈しなかった大統領



 さて、冗談はさておきw


 でも、この戦争も100%映画化するよね。
 まぁ、さすがにプーチン政権がある限りは無理だろうけど。プーチンをそこらの独裁者と比較するにもちと無茶があるしな。

 ただ歴史は繰り返すといいますか、今回見た映画はかなりタイムリーな内容でした。

 時は遡り、1914年。第一次世界大戦。
 セルビア王国 VS オーストリアハンガリー帝国のお話。

 主人公は実在したセルビア王・ペータル1世。
 一応、群像劇みたいな感じで、国王兵士マリンコその母親マクレナ。帝国に家族を殺された少年モムチロ

 この4人で物語が進む。
 サラエボ事件に端を発し、帝国から最後通牒を突き付けられた王国政府は急遽、引退していたペータル1世に復職を懇願。

 ペータル1世、その時71歳。

 大変だよ~w
 今でも国内で人気が高いだけあり当時も重鎮として権威みたいなのがあったんやろね。

 最初はむっちゃタバコ吸って、偉そうなジイサンと思ってましたがw
 しかし、帝国の屈辱的な要求に対しても飄々と「受ける」の一言。

 「今日恨みに思っても、明日バカらしく思える」

 「罰だと思っても、大きな破壊を免れることに繋がる」
 

 セリフはカッコいいんだよな。
 まぁ、結局は戦争が始まってしまうんやが。元々、この前に豚戦争という戦いがあって帝国との関係は悪化してたんだと。

 何事も順序というか、起こるべくして起こってるんやな。
 最初の戦いが結構劇的だった。苦戦してると見せかけての……映画として見せ方が上手かった。

 しかし、勢いはここまで。
 緒戦の勝利から徐々に追い詰められ、ついにアルバニアへと撤退。

 そして、後に24万人が死亡することになるアルバニアの山越えという悲壮な逃避行の幕開け。

 一応、国王は着いてくるか来ないか国民に選択を委ねたけどね。それにしても何というか……まぁ、残った所で帝国に何されるか分かんないし。
 それに周囲の事情もあるんでしょう。この山越えの過酷さは雪山だってこともさることながら、アルバニアは別に友好国という訳ではなく、普通にセルビア人に追い討ちをかけてきますw

 通行許可取ってなかったんですかね? 当時アルバニアは無政府状態だったらしく、どういう意図があったのか分かりませんが。
 火薬庫と言われるだけあって複雑なんでしょう。まだ国王に着いてった方がマシという状況。忠誠心とかそういう話ではないとは思う。
 
 ちなみに映画の半分はこの山越えシーンとなります。
 これは見てて拍子抜けだったけど、原作がそういう展開だから仕方ないかな。

 原作は1994年に発表された『ペータル1世の靴下』という小説。

 前線で戦う息子を心配する母親。
 撤退の最中、ばったり国王に会った母親は咄嗟に「息子に靴下を届けてほしい」と頼む。国王は快諾し、部隊を確認しながら息子を探す。

 といった内容。映画もそういう物語ですね。
 靴下の行方は映画を見てのお楽しみということでw

 戦争中に家族の無事を祈るというのは胸に来るものがあります。
 俺には堪えられそうにない……と見てて思った。

 そして、ついに山を越えアルバニア沿岸へと到達。
 国王は海岸を見渡しながら、自分の戴冠式の記憶がフラッシュバックする。

 ポツリと、

 「この戦争が、最後の戦争であってほしい」


 そう呟くのでした。

 それから、国王は海路を使いギリシャへと亡命。
 国民は海岸で難民キャンプを張ります。別に置いて逃げたわけではないぞw

 最終的にセルビアは第一次世界大戦で、人口の3分の1という130万の人々が亡くなります。
 万骨枯る……というやつかな。一歩間違えれば、それだけ王の責任は重いということ。

 今回のペータル1世の判断が誤ってたかどうかは別として。

 終戦後、セルビアとクロアチア・スロベニアが合併しユーゴスラビア王国へ。
 ペータル1世はそこでも王位に就き、1921年、77歳で天寿を全う。

 しかし、王国に平和が訪れることはなく、再び戦乱に巻き込まれる。
 後に、人類史でも未だかつて無い『民族浄化』という殺戮の舞台になることを。 


 その事を、海岸に佇む1人の王は、まだ知らない──。

 では、また。





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