1996年4月、オーストラリア・タスマニア島にて銃乱射事件。死者35人。
その殺人犯、マーティン・ブライアントの半生を描いた実話映画。
久々の映画レビュー。復帰する作品にしてはヘビーなもんを選んでしまったw
でも、UNEXTで見つけて「絶対見よう」と。一目惚れというのか何というか。サムネ見た瞬間に衝撃。
題名の『ニトラム』はマーティンの綴りの逆さ読み。MARTIN→NITRAM。
知的障害を持ったマーティンを近所の人等が馬鹿にして呼ぶあだ名。
母親の冷徹な態度、優しい父の自殺。恩人ヘレンの死。孤独を深めていくマーティン。
互いを苛み、誰も助けられず。悲劇の幕が上がる。
今でこそ発達障害やADHDなど話題になって、本人が感じる社会の生き辛さや周囲がどう向き合えば良いか注目されるようになったが。
未だ答えが見えてない、正解の出し様がないのは今も昔も変わらないんかね。
銃規制が進まない国、障害者へのケアが不十分な社会。
もっと根本的な、他人を思いやる気持ちが足りないのか。何が問題なのか。
まぁ、この事件に関してはマーティンがそこそこクソってのもあるんですがw
マーティンは知的障害ながら、自分が何をしたか理解している節があって。
ヘレンの事故で、咄嗟に嘘をついちゃったのは自分が殺してしまったことを自覚していたからだろうし。
マーティンは愚かでどうしようもなかった。金輪際、彼が許されることはない。それは当然だが……。
でも、そこまでに至る過程。
銃の引き金はバカでも引ける。人と分かり合うより、人を殺す方がずっと楽で分かりやすい。そこまで彼を追い詰めたのは何だったのか。
誰しもが加害者になり、誰しもが傍観者になる可能性がある。
あのクソママ然り。「自分はあーはならない」と頭で理解してたとしても。そういう無自覚や無関心から事件は始まってたんだと思う。
マーティン役を演じたケイレブランドリージョーンズはこの作品でカンヌ映画祭主演男優賞。
お見事な仕事ぶりでした。なんか没頭して見ちゃったよ。引き込まれました。
マーティンは同年3月にスコットランドで起きた小学校襲撃、ダンブレン事件のニュースを見て凶行を決意。
事件後逮捕され終身刑(オーストラリアに死刑はない)。
現在も服役中。
では、また。
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