おジャ魔女どれみと徒然

おジャ魔女のこと、

日常のこと、

いろいろ。

ある船頭の話について、そのThey say, “Nothing stays the same”.

2021-02-28 10:51:00 | 邦画
渡し船の船頭・トイチは町と村の交通を担い、客のいない時は釣りや木彫りと穏やか毎日を過ごしていた。
だが、長年往来していた川にはとうとうレンガ作りの橋が完成しつつあり、トイチは内心穏やかではなかった。

その矢先、船を漕いでいると上流から気を失った女の子が流れ着いてきて──



オダギリって頭の中でこんなこと考えてたんだ。まずそれに驚き
初監督とは思えない。岡山のヤンキーのくせにすごい才能の持ち主やったんやなw

撮影監督には著名なクリストファードイルさん。
オダギリさんとは仲良くて強い絆があるんだそう。

ほとんど二人の共同作品みたいなとこありますよね。
特に風景は度肝抜かれます。外国人目線というかエキゾチック&エキセントリック。この美しさ、ドイルさんの本気度、気合いの入り様よ。

他にも音楽にはジャズピアニストのディグランハマシアンさん。
衣裳にはアカデミー賞受賞のワダエミさん。

この製作陣はオダギリさんならではですかね。
どういう繋がり、どっから連れてきたんでしょうか?w 監督の個性を象徴していると思う。

役者陣も豪華でね。特に主演の柄本明さん。ベテランの妙かもせんが、もうこの人しかできんやろというオンリーワン。見事な名演やった。
監督が「甘えが出ないように緊張する相手」として柄本さんを選んだらしいが、何か運命というか奇跡的なベストマッチ。

ストーリーはちょっとまだ甘い部分あるが。
川の亡霊が出た時はさすがに「?」ってなってしまった。ファンタジーにするのかドラマにするのかシリアスにするのか。

そこは振れ幅が曖昧ではある。唐突感は否めんな。
時代設定も明治なのか昭和なのかハッキリしてほしかった。そこら辺の基本設定をしっかりしとけば戸惑いも少なかったんちゃう?

まぁ、初監督でこれなら上出来も上出来ですが。
何よりもドイルさんの援護が凄まじい。弱点を補って余りあるな、この人の仕事ぶりは。

細部まで手が届くというか、日本はまだまだ美しい場所が多いんやね。
川が主役と言ってもいいくらい。山があり谷がありと。

この映画見てたら「風の電話」や「象は静かに~」の共通点や違いが分かったような気がする。
「象の静かに~」のあの虚無感はなんやったんやと思ってたけど、中国大陸は広すぎやね。

人と建物、そして地平線と大地。
大陸の雄大さだが、それがそのまま色んな距離感を生み出してると思う。

人と人との距離であったり、心すらも。
人は死ぬし建物は崩れる。後に残るのは大地しかない。

宇宙怖いみたいな幼稚な話ですがw
でも、そういう何もかも遠退いてしまうような根源的な怖さがある。

日本の場合は国土が狭い代わりに自然がすぐ近くにありますからね。
山があり川があり海がある。今まで日本人が何千年と培ってきた死生観であったり宗教観。全てが詰まっている。

仁平のお父さんみたいにはさすがにいかんでしょうが。もしかしたら「風の電話」もハルと森尾が自然へ帰っていく。そういうエンディングも有り得たかもしれない。
自然に溶け込む、帰るという意識は日本人なら少なからず誰しもが持ってる共通の感覚なんじゃないでしょうか?

この映画の最後も別に悲劇とは思わなかった。むしろ当然かと。
だから、寂しくないってわけではなくて、なんていうか……

昨日レビュー上げた「すばらしき世界」とも何か通ずる物があるよな。
今、多くの人が疑問に思ってることなんかも。

文明が進歩して人々の生活が便利に豊かになる。
このコロナ禍もある種の進歩みたいなとこあるしね。これからはリモートワークが当たり前になるんしょ。

俺だって消えていく人間だ。
別にパソコンでバリバリ仕事できるようなスキルも経験もない。

古いもの新しいものが入れ替わっていく。
季節の移り変わりのように。風が吹けば消えていく。

オダギリさんは「何かも消費し尽くす時代」と言ったそうですが、時代は時代。
例え間違いだとしても、抗うのが本当に正しいのかどうか。

むしろその時代を受け入れるための作品なのかもしれない。
でも、きっと帰る場所は一つなんだと、信じるしかないんじゃないか。

では、また。




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