或る日ヴィーナスは、あやまってクピドの矢で胸を傷付けられてしまった。傷の癒えない時に見かけたアドニスに迷ってしまう。
アドニスは狩りの大好きな美青年である。女神はアドニスの後を追って森を走り回り、自分も兎や鹿のような動物の狩りを楽しんだ。
しかし、獰猛な獣には手を出さず、アドニスに対しても危険な動物の狩りはしないように戒めた。狩り好きのアドニスはそれでは物足らず女神を振り切って出ていってしまう。そして見つけた巨大な猪に槍を投げるが狙いどころが外れて猪の反撃に遭い、倒されてしまう。ヴィーナスが白鳥に挽かせた二輪車で駆けつけるが、見つけたのは息絶えたアドニスの亡骸であった。嘆き悲しんだ女神がアドニスの血の上に神酒を撒くとそこから草花が生えて赤い花をつけたが、その花の名は「アネモネ」という。
以上とは異なる内容の物語もあるが、絵画としては女神とアドニスの愛の語らいの場面、女神の制止を振り切る場面、死んだアドニスに驚き悲しむ場面という三つの場面はどれでも当てはまるようである。





◎ 下の絵は「ヴィーナスとアドニス」の一連の絵画の中では珍しいもので 女神ダイアナ(中央)がニンフと登場している。
これは狩猟の神でもあるダイアナが、自分の狩り場を荒らすアドニスすの引き渡しを要求しているのに対し、左手のヴィーナスがクピドとをとアドニスを変身させたクピド二人を見せて断っているという場面のようである。




◎ 下は狩りに出るアドニスを引きとめている絵なのだが、左手奥を見てもらうと雲の上のヴィーナス、地上に倒れたアドニス、逃げる猪が描かれている。このように時間的に異なる複数場面を同一画面に描く技法は過去にも何度か登場している。






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