思い出して展示会場のＳ君に電話でサンプル依頼してもらうつもりでした。Ｓ君は会場の受付ブースで女子社員の中に男子一人の大奥状態でいる筈でした。彼は携帯に出られる状態で無いらしく諦めてママにしてみました。彼は前日唯一人僕が出会えなかった登竜門通過者です。支店の応援に行っていた彼は最近本社に戻ってきたばかりなんです。応援赴任中に彼は激痩せしたんですが僕には面食いの彼が恋してのダイエットなのか失恋しての結果なのか判断できませんでした。
事実は彼の同僚の話によると若年？の糖尿病らしいとのことでした。
そんな訳で会場で彼を見掛けなかった僕は彼の同僚に何処かの物陰か階段の途中で彼が低血糖で倒れていたらコンデンスミルクか蜂蜜漬けの羊羹に砂糖でもまぶして食わしてやってくれと頼んで展示会場から帰ったんです。
展示会場近くは子供達のダンスオーディションか
大会が催されたらしく大人顔負けのスタイルをした子供達と付き添いの親達で
ゴッタガエシテおりました。
さてママに電話するとコレといったポジションの無かった彼は直に
電話に出てくれたのですが低血糖どころかサンプル見本の食べ過ぎで
血糖値急上昇で軽快に動いているとのことでした。
「聞きましたよ 社長！！・・・・」
僅か数分で当店にとっては大きな買い物をした事を彼は既に
知っていたんです。
「あのぅ～～私からは・・・」
遭えたらドウコンだったかもね なんて言ったら
「それじゃ来年 来年お願いします！」
鬼の笑うような話は分かりませんって！
もっと安く買えたんじゃと言う人もいるかも知れません。
もっと粘ればとアドバイスする人も・・・。
けれど僕にとって商談は僅か数分ではないんです。
話をした Ｔ君は入社当時から僕は知っているんです。
僕の無理難題を何度も彼はクリアしてくれたんです。
当日の商談時間は確かに数分で価格も条件も全て彼にオマカセでした。
僕が買ったのは彼の言った「任せてく頂ければ頑張ります」なんです。
商談は数分の前に２０年の時間があったんです。
２０年前の展示会ではビデオカメラを担いで会場の撮影係りをしていた
Ｔ君は今や展示会運営の総括になりました。
もっとも僕の電話を受けたママも Ｔ君と同期で現場最強。
明日まで待てない品物を引き取りに行って倉庫受付で見た
事務所の呼び出し表 僕の知っている名前にはママ以外
皆肩書きが付いていました。
本部長の前には課長に係長 机の配置を見てなるほどなるほど・・・
頑張れママ！君の言っていた生涯現場主義をこれからも見てるよ。
それには暴飲暴食は危険だね。
会場の往復に通った浅草には百基からの町神輿が出ていて
いたる所で神輿に遭遇しました。