前編 からの引き続きです。
いよいよ観音埼灯台に上っての、一層 高い場所からの船観察です・・ウキウキ
灯台の高さは、船がいる海上の平均水面から灯火まで 約56.0mです。そこから見下ろすと、海面が・・・つまり海全体が、広ーく見えるのです!
航行する船も上から見ることになるので、立体的に良く見えます。
灯台のてっぺんの展望デッキ(デッキと呼んでいいのか?)から。前編でお見せした、自動車運搬船「神北丸」(かみきたまる)と、小型のコンテナ船。
右側通行なので、奥のコンテナ船は北航(東京湾の奥へ)、手前は南航(出ていく)しています。
あそこは、君津港かな? ガイドさんに尋ねるのを忘れました
「LNG」と書かれた大型船が停まっているのがよく見えました。球体が見えないので、メンブレン方式の液化天然ガスタンカーというみたいな・・・?
ちなみに、球体とは・・
こちらの球体を積んだ方を、よく海岸から目撃しています。
お次もコンテナ船。
この船をガイドさんが、「あれは バラ積みコンテナ船だな。」とおっしゃったのですが、お良しは「コンテナをバラバラに積んでいる船かな」などと思ったら、大きな間違い
船内に、バラスト水 という、船を安定させる水を積んでいるのです。コンテナを積んでいない あるいは あまり積んでいなくて、軽いので浮いてしまう船体を安定させるため、水を入れているというわけです。それを「バラ積み」というわけなんです
・・・この「バラスト水」には、問題が起こっていまして、それは 外国で給水したものが東京湾で放出されたとすると、東京湾にその外国に生息している海洋生物が持ち込まれることになるのです。日本では、ナントカ貝という外来種が、アサリなどを駆逐してしまい、日本のワカメの胞子が食習慣のない外国の海で繁茂して困っているそうです。 「ヒアリ」だけじゃないのですね!
「PRT KAHO」
船腹に梯子が見えます。これについて、非常に興味深いお話を聞きました!
それについては、次の船で書き記します。
巨大コンテナ船がやって来ました!東京湾を一路外国へ向けて出航していくところだそうです。
はい、この巨大船の前を、タグボートが航行しています 写真の右端にいます。
アップにすると、このような感じ。
この力持ちな船に、「水先案内人」(パイロット)が乗っていて、危険物搭載船 及び 巨大船(全長200mを超える船)は、このパイロット船が先導しなければならない決まりになっているとの事。
つまり、例えば1万トンの船が東京湾に入港する場合は、位置通報ラインで「東京湾海上交通センター」(観音崎にある)に通報し、浦賀水道航路の手前 久里浜沖で水先案内人(パイロット)を乗船させて船長に代わって操船するのだそうです
先ほどの、船腹のハシゴは、パイロットがパイロット船(タグボート)から乗り降りするためのものなのです。
お良し「えーっ 船が動いてるままで乗り降りするんですかーーー」
ガイドさん「そうです。もちろん速度を合わせてやるんですけどね。」
おーっ・・・驚きの事実にひっくり返るお良し
そんじゃまぁ、水先案内人さんて、すごい人数がいらっしゃるんじゃないでしょうか? 全長50m以上の船は一日540隻も航行しているのですから。
ただし、これは東京湾をよく知らない外国船に主に適用しているとのことで、事故を起こす確率が少ないだろう日本人船長さんなど、よくわかっている船は、パイロットさん無しで航行してもいいのだそうです。
ここでもう一回、この図を見ていただきたいのですが、
S字型に曲がった航路は、海堡(かいほ) と呼ばれる人工島(要塞として造られた)3つを避けるように設けられています。「中の瀬」という場所は、海底が浅くて航行ができない場所だということです。東京湾を出入りする船舶は、これらを避けて航行しています。
この航路を設定している場所は、太古の川だった所だそうです!ですから、左右は岸だった所で浅いのです。そして、航路の南側の終わりは、河口。久里浜沖から、海底は急激に深くなています。深海ザメなども投網に掛かることもあるのですよ 専門的には、この南側航路からを「東京湾」と呼ぶのだそうです。
第一海堡が見えます
奥に見える陸地
第二海堡は
船の脇、わりとギリギリですねー。
第三海堡は、今はもうないそうです。この写真に写っているのは、千葉県富津市の、「富津岬の明治百年記念展望塔」です。近くへ行くと、五葉松の姿を表現した、何層にも重なった大きな大きな展望台が岬の突端に建っています。一番上からの眺めは素晴らしく、壮大です!ただし、暴風の時は避けた方が無難です
お天気がいいと、観音崎から、東京湾アクアラインと海ほたる、東京スカイツリーも見えるそうです。この日はダメでした。
灯台から下を見ると・・・右の芝生地帯は、やっぱり砲台の跡だそうです。その先端にちょろっと海に浮かんでいる岩は、岩ではなくて、なんと戦時中に外国船の音を聴いていたという、塹壕・・というんんですか?施設ですって 海の中から探知していたのですね、あんな中に入って大変なことですね。
おーっ 航路内は12ノットを越えてはイケナイ決まりなのに、時速80kmで突っ走っていく、「伊豆大島への高速船」
名誉のために解説 この船は航路外航行許可なので、オッケー なんですって きれいなお船、気をつけていってらっしゃーい
(12ノットは、時速に直すと、約22km)
灯台から陸側を見たところです。この山の上に大砲が備えられていて、外国からの要人が船でやって来ると、歓迎の祝砲を11発、今も鳴らしているのだそうです。
観音崎公園内を何度も散歩したことがありますが、見たことがないので、一般立ち入り禁止区域にあるのかな
灯台の敷地には、屋外に保存資料や、資料館もあります。こちらは、八丈島で活躍していた「灯ろう」というものです。解説は下を。
灯火って、厳しい気象条件のもとに立ちつくしているので、ほんとうにご苦労さまと言いたいです。
灯台から下りてきて見上げると、さっきからカラスが見張りで陣取りっぱなしでした。
上で見たコンテナ船が、まだ眼下に。
ほら、この巨大船にも、操舵室近くに、乗り降りするためのハシゴが下りています。
この梯子が下りていて、目印の旗が掲げてあると、パイロットが乗船していることを示しているのだそうです。
それにしても、水色できれいな船ですね ガイドさんたちも、きれいな船だなぁ・・・とおっしゃっていました。
それから、赤い喫水線が見えているから、コンテナをまだまだ積めるって 上の方に、積める余裕があるって。詳しい方は見ればわかるのネハッハー。
祝日だったこの日、航行している船舶が少なく、お良しが自宅近所から見ているほどたくさんの船に出会うことができませんでした。それはなぜかというと理由があるようで、「日本の港湾使用料は高いから、外国船は荷物を下ろしたらすぐに出ていきたい。それに休日は荷物を下ろしてくれる港湾職員も少ないから時間がかかってしまう。だから休日は入港を控えているんだよ。」とのご解説。
なぁーんだ、そーいうことか こんどは平日に見に来ようっと
観音埼灯台周辺の風景です
地震で上から崩れてきたと思われる、巨大岩。
海岸にも。地層の向きにご注目!
昔は手掘りで道を開きました。 手で削った跡が見えます。
トンネルも手掘り。
何の変哲もない岩場に見えますが・・・
矢印のところは、人間が掘ったものだそうです。左は弾薬を入れた四角い場所。右の穴は、建物の基礎の穴だとか・・・。
第二次世界大戦後まで、観音崎一帯は立ち入り禁止の要塞でした。そのことがつくづくわかる・・・。
この石碑は横になったままなので、このまま写真を掲載します。
観音埼 の 埼 という字。土ヘンは、海軍。
観音崎 の 崎 という字。山ヘンは、陸軍。
5月に行った「劔埼灯台内見会」では、地名は 崎。灯台は 埼。としている、と習ったけれど・・・
驚いたのは、ここにお寺があったとは!!!!!
今も残る一本だけのイチョウの木が、その名残だそうです。ホントだー(権現洞のそば)
このように転がっている物体は 関東大震災で崩壊した、2代目の灯台だそうです!
かたずける重機もなかったし、立っていた丘の上から落として処分した残骸だそうです。見ての通り、あまり鉄筋も入っていないコンクリート製でした。
(明治元年初点灯、日本初の洋式灯台だった初代は、レンガ造り。現在3代目は鉄筋コンクリート造りです)
われらが海岸から別れを告げるころ、先ほどのきれいなコンテナ船は、パイロットさんを下ろして久里浜沖を出ていこうとしていました。
観音崎公園内は、灯台尽くし
感想 知らないことを教えてもらうのは、ほんとうに楽しいものでした いっぱい話してもらったので、メモもしないで、お良しの頭はパンクしそうです このブログ記事に、早くして、記録としたかったのです。ますます船が好きになりました 横須賀シティガイドさんたち、ほんとうにありがとうございました また!
日曜日なら、観音崎ボランティアステーションへ直接来ていただいて、「観音崎の何を見せてほしい。たとえば、海・船・動植物・歴史など、言ってもらえればすぐにご案内しますよ」ということでした。個人でも、子供会、会社の仲間でもOKだそうです。
「このことを宣伝してください!」と、ブログ掲載許可をいただいての、このお良しなさい日記でした
「東京湾 大型船入港・出航予定情報」 東京湾海上交通センター HP
上記のHPからの情報で、この記事を書いている今日、11月26日は、客船が3隻も浦賀水道を通るようなので、お良し、午後から海岸線で見張ってみました(主人と、マクドナルド三浦海岸店へ行った)
スーパースターヴァーゴが、パイロット船に先導されて東京湾へIN!
75338トン、全長269m
三浦半島にはいつもの強い南風が吹いていて、海上には白波が・・・
続いて、ぱしふぃっくびいなす号
絶好のウィンドサーフィン日和の向こうに。
26594トン、183m
最後に姿を現したのは、飛鳥Ⅱ
球形タンク方式のLNGタンカーとすれ違い。
50142トン、240m
久里浜沖から姿を消し、浦賀水道に入っていきました。
今日は、観音埼灯台に上っていたら、ものすごくいい景色だったなぁ・・・ なかなかタイミングがうまく合わないなぁ、残念 お楽しみはまたにとっておこう。それにしても、この豪華3隻は、みんな横浜港に集合するのだろうか??? 3隻は、約2時間の間に、次々とやって来ましたよ。
さらに更に! 12月1日の夕方には・・・
イタリアの客船 コスタ ネオロマンチカ
57150トン、全長220.6m
寒ーい海岸で、姿を見せるのを延々と待っていた・・・ 時間通りに来ない。
長々と、お読みいただきありがとうございました