ノリントンが「N響の肩書き」を得る可能性を高めた定期公演!
「ノリントン節」全開の演奏会だった。好きな人は好き、であり、嫌いな人は嫌い、である。「ベートーヴェンオリジナル」に忠実であり、ノンビブラートの弦。チェロパートで(首席をはじめとして)ビブラートを掛けてしまった人もいたが、大勢には影響ない。
ノリントンの棒は「職人」であり、極めて鮮明であり、その意図は実現した演奏会
である。
15~20年前のN響は、「名誉指揮者=サヴァリッシュ+シュタイン+ブロムシュテット」と言う「独欧系偏重布陣」であったが、今やブロムシュテットだけが振れる状況。「東京の聴衆は、独欧系を(偏狭に)好む」と言う説もある。あぁ、私高本も「シューベルト好き」なので、この仲間か!(爆
ノリントンは「ダイナミクスの巾」最優先であり、ティンパニ+金管楽器を鳴らす
が基本路線だった。
「ベートーヴェンの旧録音」を聴き慣れている私高本としては、「木管楽器が異様に引っ込んだ」感触があるのだが、これは「座席 + NHKホールの響き」の問題かも知れない。
ノリントンは『ピュア・トーン』を掲げていることで有名だが、
ピアノの平均律と同じ感覚で「音」を出し、「テンポとダイナミクスをきちんと当てる」ことをオーケストラに要求
するのが特徴。
多くの「古楽器指揮者経験者」とは「音作りの方向性」が全く違う。
この日は思いかけず、エルガー「エレジー」を冒頭に演奏したので、「エルガー → ベートーヴェン → エルガー」が聴けたが、「音作り」は全く同じ。弦楽器だけの時には違和感は少なく、管+打楽器が加わった時に「ノリントンサウンド」が全開となる。聴いただけで「ノリントンが振っている!」と判る音だ。
ベートーヴェンでもエルガーでも(信じられない早さで)フライング拍手が来たのにはうんざり。こんなにマナーの悪いオケに成り下がっていたのか? > N響
ベートーヴェン交響曲全曲をノリントンを3年で実行するとのこと。大いに期待している。