詩人PIKKIのひとこと日記&詩

すっかりブログを放任中だった。
詩と辛らつ日記を・・

夜勤仕事中に作った詩(1) きみがいた季節

2008年08月07日 | 政治
きみがいた季節は
白いヒメジョンが揺れる
廃線に沿った夕暮れの道を
なかなか別れ言葉を言い出せなくって
歩いていた季節

あの頃はまだ
沈む夕日の湾岸から
磯臭い風が吹いってきていたっけ

互いに
なにも言わなくても ぼくらは
羽根をもがれたサモトラのニケ
泳ぎを忘れてしまった人魚と
飛ぶことを忘れてしまった鴎

ぼくらの目の前には
どんな日にも
荒々しい波に囲まれて
切り立った断崖

いつだったかきみが
「父があそこから自殺を図って助けられた場所だよ」
という断崖だった

そしてきみの父という人は
ぼくが考古学の道を目指していた頃
憧れていたただ一人の人




夜勤仕事中に作った詩(3) 切り株の詩

2008年08月07日 | 日記
いまではすっかり
熊の巣だらけとなってしまった
生まれ故郷を
一度だけ訪れたことがある

ぼくが入学した小学校がとっくに廃校になり
廃線になってすぐの頃だった

小学校も駅舎も
とっくに解体されていて
丘の上の小学校のぐるりを囲んでいた
桜並木はすべて切り倒されていた

その切り株のひとつに腰掛けようとすると
切り株の真ん中から
新しい芽が出ていた
お前も俺も
似たもの同士だなと思わず呟いていた

そっと目をつぶると
にぎやかだったあの頃と同んなじ
あちこちからのせみ時雨のなか
遠いぼくらの喚声が聞こえた

夏休みには
校庭の真ん中での
七夕の飾りつけやビデオ鑑賞会
やぐらを組んでの盆踊り

冬には
雪像の間での雪合戦や
下登校どころか
体育や遠足までもスキーで滑った
ぐるりの山々

こんな小さな村に
数千人が住んでいたなんて
とても信じられないよなと
切り株たちに
語りかけるしかなかった

夜勤仕事中の詩(4) プカプカ

2008年08月07日 | 日記
淋しくなるといつも
ふるさとの海を思い出す
入江へと延びる月影や
行き交う漁船の灯火を

顔だけを
海面から出して
プカプカ プカプカ
浮かんでるのがぼくの趣味だった
水着姿でいっぱいの昼間の砂浜でも
誰もいない夜の入江でも

人生なんかも
明日なんかも
糞くらえ

ただただ
空をゆく雲を見つめて
プカプカ
空いっぱいの群星を見つめて
プカプカ


夜勤中に作った詩(2) たった独りの反乱

2008年08月07日 | 日記
創価学会系企業で首切りされた後も
どんな風に
奴らと刺し違えようかと
奴らの後をうろついていた
裁判などでは
到底勝てるはずがないから

何故かと聞かれると
たった独りでの反乱が
大好きなんだというしかない
それこそ
奴らの望んでいたことなのかもしれないが・・

去年読んで
そのどの巻も好きだった松下竜一全集の中にあった
たった一人になっても
ダム建設に反対するような
意固地な人間が大好きだ

明治時代の渡良瀬川公害でも
すべてのものに
敢然と独りで立ち向かった田中正造もまた
いまだ始まることのない
新しい時代の先駆者でありつづける

良心のままに生きるとは
誰かに褒めてもらうとか
誰かに認めてもらうとか
誰かの賛成を求めるとかとは
まったく次元の違うことだ

自分のこころを
納得させるものこそが
人生そのものなんだという意志は
確実に弱められつつある
それを許さない社会が
ますます強固になりつつある
かっては
誰もが持っていた意志が
奪われつつある

たかだか十数年で
きみは何をするつもりなのか?
それとも考えることなど放棄して
誰かに任せてしまうつもりなのか?

あの世には
きみのささやかな地位も財産も愛も
何も持ってはいけない

無へと還ってゆくということだけが
誰にも平等な運命だ
それに向かって
一人一人が立ち向かわなければならないのだ