可憐が花梨が
きみそのものだったなど
あの頃の16歳のぼくには思えた
まん丸い梨より
でこぼこざらざらの西洋梨を
下校途中いつも頬張っていた
学校帰りの通学路に
はみ出した梨など
齧りつくのが日課だった
ある日の午後
「こら!」と追いかけられた
もう大丈夫だろと
後ろを振り向いたら
なんと同級生の親父だった
それに懲りてから
盗みはいっさい止めていまった
昨日森から採ってきてた
部屋中の不ぞろいな花梨たちは
馥郁と西洋梨の香りでないかい
幸少なかった天国のきみにも
このすがすがしい香りを贈る
山盛りの可憐な花梨たちたちを贈る
不揃いでいて可憐な花梨だったを
そろそろ
原野の片隅にぽつりと建つ
きみのお墓の天辺にも
まっさらな雪が
ふわり ふわふわ
舞いはじめる季節
洋ナシはむりなので
可憐な花梨を贈ろう
きみそのものだったなど
あの頃の16歳のぼくには思えた
まん丸い梨より
でこぼこざらざらの西洋梨を
下校途中いつも頬張っていた
学校帰りの通学路に
はみ出した梨など
齧りつくのが日課だった
ある日の午後
「こら!」と追いかけられた
もう大丈夫だろと
後ろを振り向いたら
なんと同級生の親父だった
それに懲りてから
盗みはいっさい止めていまった
昨日森から採ってきてた
部屋中の不ぞろいな花梨たちは
馥郁と西洋梨の香りでないかい
幸少なかった天国のきみにも
このすがすがしい香りを贈る
山盛りの可憐な花梨たちたちを贈る
不揃いでいて可憐な花梨だったを
そろそろ
原野の片隅にぽつりと建つ
きみのお墓の天辺にも
まっさらな雪が
ふわり ふわふわ
舞いはじめる季節
洋ナシはむりなので
可憐な花梨を贈ろう